自己都合退職とは?会社都合退職との違いメリット、デメリット
今の職場で働いている方でも、環境の変化や自分の状況の変化によって継続するのが難しくなることもあるでしょう。もし仕事を続けるのが難しいと判断した場合、自己都合による退職を考える人もいるはずですが「自己都合と会社都合の場合は何か違いがあるのか?」と疑問に思う人もいるはずです。
自己都合により退職にはメリットもあればデメリットもあるため、よく考慮しておく必要はあります。それぞれの内容について紹介しましょう。
そもそも自己都合退職とは?
自己都合退職とは、どのような辞め方になるのか把握しておきたい人もいるでしょう。自己都合退職は名前の通り、労働者本人の事情で退職することです。ただ、自己都合の内容や会社都合との違いについてはしっかり理解しておく必要があります。自己都合退職の内容について紹介しましょう。
自己都合退職とは労働者自身の都合による退職
仕事を続けている方でも自分の環境や状況が変化して、自分の都合で辞めなくてはいけないケースもあります。
例えば、結婚した場合は専業主婦になる人もいるため、仕事を辞職する人もいますし、出産をきっかけに辞める方もいます。また、自分が急に体調不良になって今の仕事を続けることができなくなって退職するケースや、家族の介護が必要になりフルタイムで働くのが難しくなるケースもあるでしょう。
また、会社の規則違反や法令に違反した際は、会社から懲戒解雇されることもありますが、この場合も自己都合退職として処理される場合もあります。つまり、自己都合退職は自分の事情や行動の責任によって、会社を辞めなくてはいけない場合に該当すると覚えておきましょう。
会社都合退職との違い
会社都合退職とは、労働者の一方的な都合ではなく、会社の業績や経営状況などによって仕事を辞めなくてはいけないケースです。例えば、会社の業績が悪くて倒産や廃止してしまった場合、または赤字経営などで人員削減が必要になり、リストラを宣告された場合などです。
また、契約内容と大きく異なる労働条件で働かされるケースや、パワハラやセクハラ、長時間残業などで労働基準法に違反しているのが原因で退職するのも、会社都合に当てはまることがあります。会社側の都合と自己都合では理由が異なりますが、退職後の影響も違いが生じるので把握しておく必要があります。
まず失業保険の給付です。退職したあとはどちらも失業保険の手当を受けることができますが、給付日数や制限時間が違います。
自己都合退職 | 会社都合退職 | |
待機期間 | 7日 | 7日 |
給付制限期間 | 最短2〜3ヶ月 | なし |
給付日数 | 90日〜150日 | 90日〜330日 |
必要書類 | 退職届など | なし |
自己都合の場合は給付を受けるまで最短で2ヶ月必要であり、給付日数は90〜150日ほどです。
一方、会社都合退職は給付制限なしなので、申請してから7日後に受け取ることができ、給付日数も90日〜330日と長く設定されています。
また、退職までの手続きも会社都合であれば退職届などは原則必要では有りませんが、自己都合だと期日までに退職届など必要書類を準備しなくてはいけません。自己都合退職と会社都合退職の違いについて内容を把握しておきましょう。
自己都合退職するメリットとデメリット
自分の状況の変化により、仕事を続けられなくなったなら自己都合退職する必要も生じるでしょう。ただ、自己都合退職する際はどのようなメリットやデメリットがあるのか把握しておくのも大事です。それぞれの内容について紹介しましょう。
自己都合退職のメリット
自己都合退職する際はメリットがあります。2つあるので詳細な内容を解説しましょう。
自分の環境を改善できる
自己都合退職の場合は、自分の環境を改善できます。自分の意思で会社を退職するため、急な変化が生じた際に自分の生活を守ることが可能です。例えば、結婚した人の場合は、共働きという形態を取りたくても現職場の正社員のままでは難しい人もいるはずです。その際に自己都合退職にするなら、結婚生活とのバランスを取りやすい仕事に変えることができます。
また、キャリアアップや独立したい方も次のステップに進むために、退職を自分のタイミングで行えます。自己都合退職する際は基本的に会社主導ではなくて自己主導になるため、自分の環境に合わせて決定できるのが最大のメリットと言えるでしょう。
履歴書の退職理由を「一身上の都合」と記載するだけで良い
自己都合による退職をする際、再度自分に合う仕事を探すために転職を行うはずです。ただ、転職する際は履歴書を記載しなくてはならず、以前会社を辞めた理由なども記載しなくてはいけません。
ただ、自己都合退職であれば理由を長々と記載する必要はなく「一身上の都合」と記載するのみで大丈夫です。理由を簡潔に記載できるので、転職する際の書類の準備をスムーズに進められます。
ただ、会社に在籍した期間が極端に短い場合や何度も職場を入れ替えている場合は理由を記載しなくてはいけないため、自分の状況について確認した上で記載しなくてはいけません。
特に入社して数ヶ月の方は転職する際に「一身上の都合」では済ませられないので注意してください。
自己都合退職のデメリット
自己都合退職には、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか把握しておくと、慎重に検討できるため押さえておくべき2つの内容について紹介します。
失業保険保険の給付金を受け取るまで期間が長い
自己都合退職の場合は上記でも紹介しましたが、失業保険保険を直ぐに受け取れるわけではありません。失業保険を受け取る場合は退職してから3ヶ月ほど期間があるので待たなくてはいけません。
ハローワークへの申請も必要になるため、待機の7日間も合わせると早くて3ヶ月7日後になります。
失業保険が必要なく直ぐに転職して働く気でいる人の場合はデメリットになりませんが、自己都合でしばらく働けない方だと3ヶ月も収入がないので生活が困難になるケースもあります。
退職金が減額されるケースが多い
自己都合退職の場合は、退職金が減額されるケースもあります。一定期間働いていた方の場合、辞める際に退職金を得ることができますが、勤続年数やポジションなどによって金額が決まるため、普通の正社員で期間が短いなら少ないです。
次の仕事など予定が決まっていない状態で予想以上に退職金が少ない場合は、生活面で不安を感じるはずです。貯金があまりない人であれば、失業保険との期間も合わせて生活をやり繰りするのが難しくなるリスクもあります。そのため、自己都合退職する際は、自分の貯金なども考慮して決定してください。
会社都合退職するメリットとデメリット
会社都合で退職する際も、メリットとデメリットがあります。どのようなメリットやデメリットがあるのか把握しておくと万が一の際に備えて準備ができます。それぞれの内容を紹介しましょう。
会社都合退職のメリット
会社都合退職の場合は、2つのメリットがあります。それぞれ詳細な内容について紹介しましょう。
失業保険の受給が早くと金額が大きい
会社都合退職の場合は、失業保険の受給が早く、金額も大きいです。まず、受給開始日数はハローワークに申請して、7日間待機すれば受給できます。急にリストラを受けた方でも、直ぐに収入を得られるため、生活面で不安を感じるリスクはありません。
さらに、受給できる金額も上記で紹介した自己都合退職と比較すると倍以上違うため、家族がいる場合も比較的余裕を持つことが可能です。さらに、会社都合退職だと受給期間も1年ほど得られるため、余裕を持って次の職場を探せます。失業保険の内容が良いことから、直ぐに生活について慌てなくて済むでしょう。
退職金が上乗せされる可能性もある
会社都合退職の場合は、退職金の上乗せも期待できます。会社都合退職の場合は会社側の不手際が原因です。そのため、従業員に辞めてもらう際に退職金を多く上乗せすることで、トラブル対策をする企業も多いです。
退職金が予想以上に多くもらえるなら、当分生活面で困る心配はなく、次の仕事を探すときも焦る必要はありません。また、退職した後は国民保険を自分で払わなくてはいけませんが、会社都合の場合は軽減される措置もあるため、支払い負担を抑えることも可能です。
会社都合退職のデメリット
会社都合退職の場合でも、デメリットはあります。デメリットは2つあるのか把握しておくのは大事です。それぞれの内容について紹介しましょう。
急に仕事を失うことになる
会社都合対策の場合は倒産や赤字によるリストラなどで、急に仕事を失うケースになります。心の準備ができないまま仕事を失うため、やりがいを感じて仕事をしていた人や職場に愛着や魅力があった人の場合、精神的なダメージを受ける人もいるでしょう。
失業保険など収入面の優遇はありますが、会社都合退職で急に仕事を失ったなら、自分に合う職場を再度探さなくてはいけないので、転職活動が困難になるケースも考えられます。以前と同じ職場の条件で探しても、年齢や知識、スキルなどから採用されず、無職の状態が続くケースもあるでしょう。
転職の面接で質問される機会が多いケースもある
会社都合退職をした後も、無職のままでは厳しいため次の仕事先を選ぶはずです。ただ、転職する際は自己都合退職と異なり、面接の際に質問をたくさん受ける可能性があります。
履歴書で「会社都合による退職」と記載している場合、会社が倒産した理由であれば深く追求されませんが、もし「解雇」が理由であれば問題起こしていないのか、トラブルがあったのか転職先も不安になります。そのため、慎重に雇用を検討するためにも質問が増え、自分も明確に答えなくてはいけません。
会社都合退職の場合は「問題のある人」という印象のある企業もあるため、説明をしっかり行えるように、質問内容をある程度押さえて対策しておきましょう。
自己都合退職で会社を辞める際のポイント
自己都合退職で会社を辞める際は、失業保険の給付期間などデメリットがあるので、ポイントを把握しておくのが大事です。自己都合退職する際の3つのポイントを紹介しましょう。
退職後の計画を考える
自己都合退職する際は、仕事を辞めた後の計画を考えておくべきです。今の仕事を辞めれば収入源は無くなります。失業保険などの兼ね合いもありますが、次の仕事をいつまでに始めるのか計画していないと、生活が苦しくなるリスクもあるので、辞める前に考えておく必要があります。
また退職したとしても、自分の条件に当てはまる職場が直ぐに見つかるわけではありません。状況変化などによって転職しにくい時期もあり、またスキルやキャリアが重要になる求人もあります。転職する際は状況を踏まえていないと、無職の期間が長引く可能性があるので、よく計画した上で決定しましょう
退職後の計画について家族に伝える
自己都合退職する際は自分1人で決定するのではなく、家族に伝えることが大事です。環境の変化などで現職場の退職を決定するとしても、急に辞めることになれば家族は困惑します。収入源もなくなり、家族として今後どう生活していくのかなど方針が不透明になるからです。
小さい子供がいる場合は尚、退職は大きなリスクがあるため承諾を得ておく必要があります。そのため、自己都合退職を検討しているなら、会社を辞める前に自分の配偶者に伝えておき、その後の計画についても説明しておくべきです。
家族と相談して承諾を得ていれば、後の計画もスムーズに行きやすく、家庭内でのトラブルも回避できるため、必ず話し合いをしてください。
会社側には前もって伝えるようにする
自己都合退職する際は、会社側に前もって伝えるのも大事なポイントです。法令では、自己都合退職は2週間前に申し出ていれば、職場の同意が無くても受理してもらえます。しかし、会社側としても辞める人がいれば、仕事の引き継ぎや求人募集などをしなくてはいけないため、ある程度の時間が必要になります。
法令の期間内でも問題ありませんが、会社とわだかまりを残さないようにするためにも退職する2〜3ヶ月前までに上司に伝えておくのがおすすめです。急な体調不良や親の介護の必要性などは難しい場合もありますが、期間を前もって伝えておくと、会社側も必要な準備を行うことができ、円満退職しやすくなるでしょう。
まとめ
自己都合退職と会社都合退職の内容について紹介してきました。2種類の退職は、どちらもメリットとデメリットがあるので、慎重に検討する必要があります。ポイントを押さえて退職するとリスクを軽減できるので、自己都合退職を考えている人は慎重に計画してください。
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