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仕事を辞めたいと感じる10つの理由と対処法!辞める判断基準も紹介

仕事を辞めたいと感じる10つの理由と対処法!辞める判断基準も紹介
この記事の監修者
新野 俊幸(「退職代行」専門家)
自身が会社を退職する際に苦しんだ経験から、日本初の退職代行サービス「EXIT」を2017年に開始。「退職で苦しむ人をなくしたい」という思いで、退職代行を日本に広め続けている。

 

社会人になり、仕事をするようになってから「仕事を辞めたい」と感じた経験を持つ方は非常に多いのではないでしょうか。上司に怒られた、ミスをした、取引先を怒らせたなどの理由もあれば、同僚から小姑のように細かな指摘を受ける、後輩からナメられるなど人間関係による理由もあるでしょう。

今回ご紹介するのは、仕事を辞めたいと感じる10の理由についてです。本記事では仕事を辞めたいと感じる10の理由だけでなく、辞めたいと感じた場合の対処法などをご紹介します。

この記事を読んでいるちょうどいま、「仕事を辞めたい…」と感じている方こそ読んでいただきたい内容になっています。

仕事を辞めたいと感じる10つの理由

仕事を辞めたいと感じる理由は人それぞれで、理由を並べていくだけで非常に多くなりますが、その中でも仕事を辞めたいと感じる理由の中で多いものをまとめました。

  • 人間関係にストレスを感じる
  • 給料が少なく福利厚生が充実していない
  • 会社の将来性に不安を感じる
  • 仕事内容にやりがいを感じない
  • 残業ばかりで労働時間が長い
  • 社風や職場の雰囲気が合わない
  • 評価の基準がおかしい
  • パワハラやセクハラの被害に遭う
  • 結婚や出産などやむを得ない事情が起きた
  • ただ何もしたくない

主に職務に関することが中心ですが、中には人間関係、個人的な事情も含まれています。ただ圧倒的に多いのは会社への不満にちなんだ理由と言えるでしょう。ここから仕事を辞めたいと感じる10の理由についてご紹介していきます。

人間関係にストレスを感じる

1つ目の理由は、人間関係にストレスを感じることです。

人間関係にストレスを感じるケースとしては以下のことが挙げられます。

  • 相手への嫉妬心がある
  • 相手を信頼できないもしくは信頼されない
  • 相手を認められないもしくは相手から認められない
  • 特定の人物から嫌われている
  • 他人の言動に流される
  • 他人が自分の言動を軽んじている

これらはあくまでも一例です。しかも、上記に書かれている理由の中の1つだけ当てはまっていることもあればいくつも当てはまっていることもあるでしょう。当てはまっているものが多ければそれだけストレスを強く感じやすくなります。

基本的に職場での関係性は「仲間」という見方もできますが、営業では「ライバル」となり、出世を考えれば「蹴落とすべき相手」と状況次第で大きく異なります。またプロジェクトを組む機会が多ければ、「頼れる右腕」など関係性は様々です。

職場において同僚は「仲間」と考える人もいれば、「ライバル」、「蹴落とすべき相手」などと考えている人もいるわけですから、折り合いがつかなくなることは致し方ないことと言えるでしょう。そのため、人間関係にストレスを感じるのはある意味では仕方のないことと言えます。

過去に行われた調査で、人間関係が転職のきっかけになった人は、どの人間関係で転職を決意したかという調査がありました。この時、全体の半数近くを占めたのが先輩でした。20代では同僚が多く、30代では直属の上司を挙げる人が目立ちました。

参考:エンジャパン「1万人に聞く「職場の人間関係」意識調査」

また先輩や直属の上司との人間関係でどの部分に難しさを感じたかという質問において、威圧的な対応や相手の気分の浮き沈みなどの回答が目立ちました。そして、およそ8割以上の人が人間関係の難しさを実感しています。

以上のことからも人間関係を理由に仕事を辞めたいと感じるのは、大多数の人が思っており、実際に仕事を辞めて転職までに至った人がかなり多いことが明らかです。

給料が少なく福利厚生が充実していない

2つ目の理由は、給料が少なく福利厚生が充実していないことです。

ある会社が新卒4年目の社員を対象に行った調査では、新卒3年間で退職などを検討したことがあると答えた方は、何となく考えた人も含めて実に80%以上となりました。この中で退職・転職を考えるきっかけとして圧倒的に多かったのが「年収が少ない」という理由で、全体の半数近くを占めています。

参考:アデコ株式会社「【新卒入社後3年以内に離職しなかった若手社員を対象にした調査】」

その一方で、この調査に参加している人たちは退職をしようか考えながらも最終的には思いとどまった人たちです。その中で勤務先に残る決めてとなったのが「有休の取りやすさ」でした。また福利厚生の充実も上位を占めており、福利厚生がいいことは退職を防ぐ要因となっています。

裏を返せば、給料が少ないことと福利厚生が整っていないことが重なると、高い確率で新卒3年以内に退職を決断する可能性が高いことを意味します。先ほどご紹介した人間関係よりも、年収に関する悩みが上位に来ており、給料の問題で仕事を辞めたいと感じるのは当然の感覚と言えます。

では、若い人たちが求める福利厚生の充実とはどのようなものでしょうか。福利厚生の人気ランキングではこのような福利厚生が人気を集めています。

  • 特別休暇
  • 住宅手当・家賃補助
  • ヘルスケアサポート
  • 慶弔支援
  • ファミリーサポート
  • 自己啓発支援
  • 財産形成支援
  • 子育て支援
  • 介護支援
  • 保険サポート

参考:Wantedly「最新!2023年の福利厚生人気ランキングを発表」

有給休暇とは別に会社が特別休暇を与える福利厚生が人気を集めるほか、将来的なことを踏まえた福利厚生、自己啓発など自己の成長につながるものなど様々です。これらの福利厚生が整っていれば、年収がそれほど高くなくても退職を思い直してくれます。

給料が少ないのはもちろん、福利厚生も全然整っていない場合に退職を検討し、転職できるかを考えるのはやはり当然の反応と言えるでしょう。

会社の将来性に不安を感じる

3つ目は、会社の将来性に不安を感じることです。

また別の調査となりますが、仕事の悩みに関する調査を行っています。別の調査でも先ほどの調査同様、給与が低いことを悩みとしている人が非常に多く、その次が人間関係でした。その次に来る仕事の悩みとして「会社の将来性・安定性」を挙げるケースが見られました。

参考:株式会社ネクストレベル「男女296人に聞いた、2023年版「仕事の悩み」ランキング!」

この調査では20代から50代までの世代別で仕事の悩みのランキングが出されており、会社の将来性について不安を感じる世代は30代が多く、40代50代も多め、20代はやや少なめでした。つまり、会社の将来性に不安を感じるのは30代の人に多いと言えるでしょう。

なぜ30代以降で会社の将来性に不安を感じる人が多いかという理由として、「ライフステージ」を挙げる人が目立ちます。一家の大黒柱として十分な稼ぎがなければ家族を養うことができません。しかし、「家族を養うだけの収入をこの会社で稼ぎ続けられるだろうか」と不安になる人は多く、特に定年まで会社が続いているかどうかを不安に感じる人は多いです。

若い人からすれば、まだライフステージ的に家族を養う、家を建てるなどのフェーズに入っているケースは少ないために、会社の将来性に不安を感じるという人はあまり多くないと言えます。ちなみに、仕事を辞めなかった理由の第1位は「生活ができない」というものでした。会社の将来性に不安を感じるものの、辞めたらやめたで生活ができないという考えと思われます。

会社の将来性に不安を感じるから仕事は辞めたい、だけど、辞めたら辞めたでそれも不安だからそのままでいるという姿勢の人が多い状況です。その一方、すぐに転職先が見つかればそのような心配をせずに済みます。対応次第で不安になることなく、すっぱりと辞めることができる人も出てくるでしょう。

仕事内容にやりがいを感じない

4つ目の理由は、仕事内容にやりがいを感じないことです。

仕事のやりがいを感じるかどうかの調査では、実は8割ほどの人がやりがいはあると答えています。仕事内容にやりがいを感じないという理由は少数派にも見えますが、こちらも年代別で見ると微妙に異なります。やりがいを感じることが頻繁にあると答えた人は世代が上になればなるほど上がっていくのです。

一方で、やりがいをほとんど感じないと答える人は40代までに多く、全く感じないと答えた人も40代に多くいました。

参考:日経メディカルプロキャリア「仕事のやりがいに対する意識調査」

現在の40代はいわゆる就職氷河期の影響を受けており、不本意な就活を行った方が少なくありません。それもあり、仕事内容にやりがいを感じない事を理由にしている人が多いと言えます。

この調査は病院などメディカル系の仕事で働いている人を対象にしており、一般的な仕事よりもやりがいを感じやすい仕事をしている人たちです。その人たちでもやりがいを感じないと答える人は若いほど多いことが言えます。

実際に仕事でやりがいを感じる場面として、「相手からお礼や感謝の言葉をもらうとき」や「興味のある仕事をしている場面」などを挙げている人が半数以上いました。他人からありがとうなどの言葉をもらう時に、仕事でやりがいを感じる人は非常に多いことが言えます。

一方で上司に褒められた時や困難な目標を仕事として当てられた時にやりがいを感じている人は非常に少ないことも調査で明らかになっています。仕事でやりがいを感じない方は、同僚や取引先、お客さんからありがとうなどの言葉をもらっていない可能性が高いでしょう。仕事の充実ぶりよりも、実は感謝の言葉の方がやりがいを感じやすいことが言えます。

残業ばかりで労働時間が長い

5つ目は、残業ばかりで労働時間が長い場合です。

20代以下の若い人たちを対象にした残業時間に関する調査では、残業の有無を気にする若い人は80%以上いました。なぜ残業の有無を気にするのかの理由については、圧倒的に多かったのがプライベートの時間が減るからという理由でした。

参考:株式会社オロ「Z世代の「残業時間」に関する実態調査2023」

福利厚生の人気ランキングを見ても、プライベートに関連した福利厚生がいくつも上位に入るなど、若い世代にとってはプライベートを気にする人は少なくありません。実際に自由な時間を何に使うかという質問で、趣味や睡眠と答える人が多く、いわゆる学習系、副業系の理由はランキングの下位と、若い人がなぜ残業をしたくないか、おおよその傾向がつかめます。

昔の考え方では、若手は誰よりも早くオフィスに来て、誰よりも後に帰るのが普通という考え方があったり、若手が先んじて帰るのは許されないというルールもあります。これらに関して古いと考えている若者が多いのも事実であり、そのことに関して悩みを深めてしまう人は多いと言えるでしょう。

働き方改革もあり、労働時間を短くする、残業時間の管理を徹底するなど様々な形が取り入られています。以前よりも残業時間は減っていると感じる人は増えているはずですが、大企業なのか中小企業なのかでも徹底ぶりに違いがあります。

残業に関しては実際に入ってみなければわからない部分であり、入ってから残業ばかりの状況に後悔することもあるでしょう。

社風や職場の雰囲気が合わない

6つ目は社風や職場の雰囲気が合わないことです。

様々な調査では社風などが合わないことを理由にして転職の決め手になったという結果はあまり上位には来ていません。しかし、社風はかなり抽象的なものであり、具体的なものに突き詰めていくと人間関係や、価値観、評価制度、仕事の取り組み方などにたどり着くことから、様々な調査で上位に来る事柄の根底に社風があります。

社風に影響を与えるものとしては以下のものが挙げられます。

  • 企業理念
  • 就業規則
  • 評価制度
  • 人間関係
  • 会社内での細かなルールなど

社風に最も影響を与えるものは企業理念です。企業理念は会社の方向性を示すものであり、企業理念・経営理念は会社が大切にする価値観でもあります。企業理念や経営理念は基本的には創業者や経営者が決めるため、この方針が現場でも貫かれることになるでしょう。企業理念や社会理念が自分には合っていない時点で転職を検討した方がいいと言えます。

就業規則は会社における法律的なものであり、このルールに従って会社の中が回っていきます。風紀をやたらと取り締まるようなルールが就業規則に多いと、社風的に合う・合わないが如実になりがちです。就業規則は入ってみなければわからないことも多く、入ってからガッカリするケースも十分に考えられます。

評価制度に関しても社風に寄り添ったものになりやすいです。評価制度において実力主義をはっきりと示したものであれば、おのずと同僚がライバルとなり、自然とギスギスした雰囲気になりやすいでしょう。反対にプロセスを重視するような制度であれば、チームワークが優先され、和を乱さないことが重要視されます。意外と評価制度も社風という点では侮れない存在です。

このように、社風はぼんやりと、抽象的なものであることに間違いありません。しかし、突き詰めていくとかなり大きな要素であることは間違いありません。社風を作り出す要素はいくつもあるので、今回ご紹介した要素を確認してみることをおすすめします。

評価の基準がおかしい

7つ目は、評価の基準がおかしいことです。

人事評価に関する意識調査では、自分の企業の人事評価に対して不満を持つ従業員は全体の6割以上に上りました。評価する側、評価される側いずれも納得していない人の方が多い状態にあり、当然、評価される側の方が不満を抱く人が多い状況にあります。

参考:アデコ株式会社「人事評価制度に関する意識調査」

では、評価制度のどの部分に不満を感じているかですが、圧倒的に多かったのは評価基準が明確ではないこと。その次に評価者によって評価にばらつきが生まれる事でした。この2つが多く、自分への評価に対してなぜこの評価になったのかと不思議に感じている人が多いことを示しています。

そして、自分が働いているところでの評価制度を見直すべきかという質問に8割近い人が見直すべきだと回答しています。一方で、自分が他者を評価する側だった場合、自分自身では評価は適切に行えていると考えている人は全体の8割ほどいました。ただ、細かく見てみると、間違いなく評価ができていると断言できているケースは2割程度しかありません。

つまり、大多数の評価者は、どちらかといえばできている程度にしか思えておらず、自分は絶対に適切な評価ができていると思っている人が少数派になっていることが言えます。

評価される側は自分は正当に評価されていないと感じやすく、評価する側は「自分は一応評価しているつもりだが、正確に評価できているかはわからない」と考えています。お互いの感じ方が不一致であればあるほど、不満を抱きやすくなるのは当然であると言えるでしょう。

パワハラやセクハラの被害に遭う

8つ目は、パワハラやセクハラの被害に遭うことです。

パワハラ・セクハラなど何かしらのハラスメント被害に遭った人は全体の3割半ばにあたります。セクハラよりも圧倒的にパワハラの方が多く、その中でも、仕事ぶりを批判されることや、乱暴に叱責される、ちょっとしたミスで過剰に罰せられるなど、様々なパワハラを経験した人が多くいる状況です。

参考:パーソル総合研究所「職場のハラスメントについての定量調査」

ハラスメントは大きく分けて2つに分類でき、企業としての組織風土、もう1つは働き方に分けられます。実は経営が悪い状況でしかハラスメントが起きないわけではなく、経営がいい状態でもハラスメントは発生しやすいとされているのです。

経営が悪い状況はブラック企業的な体質のため、仕事量やスピードなどでハラスメントが起きやすく、経営が良い状況では権威主義的な体質がハラスメントにつながりやすいという結果が出ています。ハラスメント被害があると仕事をしようとする意欲が明らかに落ちるなど、影響は深刻です。

こうしたハラスメントはもちろんどの企業でもあるわけではありませんが、経営がいいからハラスメントがないわけでもありません。つまり、多かれ少なかれハラスメントの可能性は存在すると言えるのです。だからこそ、ハラスメントを理由に転職する場合、また同じような状況に陥る可能性は十分に考えられます。

結婚や出産などやむを得ない事情が起きた

9つ目は、結婚や出産などやむを得ない事情が起きた場合です。

出産をきっかけに仕事を辞める女性は以前はかなり多く、そのまま仕事を続けるケースはバブルの時期だと2割程度しかいませんでした。実は2割程度の数字は10数年以上前まで続いており、ここ10年でようやく4割程度まで伸びてきました。

参考:内閣府「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について」

しかし、妊娠前から既に退職している人、もしくは出産を契機に退職した人の合計は現状でも過半数を占めているのが実情です。以前は7割ほどいたため、かなり減ってはいますが、それでも過半数を占めているのが本当のところであり、国の調査でも明らかにされている部分です。

出産によって退職した人は2017年で20万人ほどいるとされ、それによって1兆円以上の経済的な損失をもたらしたとされ、国を挙げた対策が求められます。様々な形で結婚や出産による退職を防ごうとする動きはありますが、まだまだ足りない状況です。

もちろん、やむを得ない事情は結婚や出産に限ったことではありません。例えば病気を理由とした退職もその1つです。そして、介護を理由とした退職もおよそ10万人ほどいます。介護を理由とした退職は50代後半に多く、両親並びに義理の両親の介護に専念する形で退職を余儀なくされるケースも今後増えることが予想されます。

参考:公共財団法人生活保険文化センター「介護離職者はどれくらい?介護離職をしないための支援制度は?」

介護離職を防ぐために介護休業制度を採用する企業も増えてきました。180日ほど介護休業が認められているケースもありますが、現状は無給です。介護のために180日ほど会社を休めるものの、あくまでも無給なので退職して働きやすい職場で働く状況を防ぎきれないケースも少なくありません。そのため、介護休業給付金という制度もあります。

しかしながら、どれだけ環境がよかったとしても個人的な理由、特にやむを得ない事情があった場合に辞めたいと考えるのが普通です。早まってはいけないと思いつつ、適切な対策を教えてくれる人も周りにいないと早まった決断をしてしまうのは致し方ないと言えるでしょう。

ただ何もしたくない

最後の理由は、ただ何もしたくないというものです。

日曜の夕方になると明日から仕事であることを痛感させられる「サザエさんシンドローム」に苦しむ人が多いと昔から言われてきました。今ではテレビを見ない人も出てきたため、「サザエさんシンドローム」を知らない人も増えてきましたが、日曜の夕方や夜になってから明日のことを考えて憂鬱になる人は今も昔も多いでしょう。

休み明けの月曜日になるとトラブルが起こりやすいのはどの職場でも同じことです。漠然と仕事を辞めたいと考えている人もいるはずです。明確な理由があって辞めたいわけではなく、ただ何となく辞めたいと考えている人は多くいます。これだけを聞けば、単なる甘えに思われるかもしれませんが、実際のところ、単なる甘えで片づけられるものではありません。

そもそも仕事をするのが嫌など、周囲が改善しようとしても本人の気持ちが強く、どうしようもないケースも多々あります。

仕事を辞めたいときの対処法

ここからは仕事を辞めたい時の対処法についてご紹介していきます。今回ご紹介するのは6つの対処法です。

  • 辞めたい理由を考えてみる
  • 会社を辞めて解決できるのか判断する
  • 異動届を出す
  • 有給休暇を取る
  • 友人や家族に相談してみる
  • 辞める場合はタイミングを考える

なぜ仕事を辞めたいのか、根本の理由を探ることが重要であり、その上で辞めることで根本の理由が解消されるのかを考えてみることが求められます。また、仕事を辞めたいという感情が短絡的に出過ぎると早まった決断になる恐れもあります。

辞めたい理由を考えてみる

1つ目の対処法は、辞めたい理由を考えてみることです。

仕事を辞めたいと思う場合、実は多くの人は漠然とした理由で辞めたいと考えているケースが目立ちます。給与のこと、評価のこと、人間関係のことなど色々な辞めたい理由が出てくるはずです。しかし、辞めたい理由として決定的なものがあるケースは実は少なく、それぞれに不満を抱き、「何か辞めたい…」という気持ちにつながってしまいます。

仮にこの状態で辞めてしまうと、転職先でも同じようなプロセスで辞めたいと考えるようになってしまうでしょう。これでは癖になってしまい、意味もなく辞めてしまうような事態を招くだけです。

そこでおすすめなのが、なぜ仕事を辞めたいのか、紙にその理由を全て書き出してみることです。仕事に関する嫌なことなどを細かなものでもいいのですべて書き出してみましょう。すると、どんなことが嫌なのかが可視化されます。そして、書き出したら、それを1日寝かします。

寝かした後に改めて書き出したものを見た時に、どんな気持ちになったかを振り返りましょう。中には、「こんなしょうもないことを思っていたのか」と少し前の自分を笑い飛ばす人もいるでしょうし、辞めたい理由が明確に感じられる人もいるでしょう。辞めたい理由を明確にすることはまず自分を知ることにつながります。

そして、自分自身でどうにかなるものなのか、はたまた周囲の協力がないと難しいものなのかを選別していき、決断を下すと後悔しにくくなるでしょう。

会社を辞めて解決できるのか判断する

2つ目の対処法は、会社を辞めて解決できるのか判断することです。

例えば、人間関係を理由に仕事を辞めたいと考えたとします。具体的にその人間関係がなぜ嫌だったのかを書き出してみましょう。自分が変化すれば解決できるのか、他人に換わってもらわないと解決できないのかをどんどん洗い出してみると、会社を辞めて解決できるものなのか、会社を辞めたところで次の会社でも同じような事態になるのかが自然とわかります。

相手に非があるように見えて実は自分自身に問題があったというケースは十分に考えられ、その場合はどの転職先を選んでも結局自分自身から粗探しをし始めることになるでしょう。これでは退職と転職を繰り返すことになるでしょう。

ポイントとしては、会社を辞めればその問題は根本的に解決できるのかということです。給与面への不満であれば給与のいいところに行けば解決できるわけですし、ハラスメントの被害に遭っていた場合にはハラスメントがない所に行けば解決します。明確に会社を辞めたい理由があって、その原因を取り除けば解決できると明確に分かっていれば、行動はしやすいでしょう。

異動届を出す

3つ目の対処法は異動届を出すことです。

異動届を出して解決されるケースは、現状の仕事内容に不満がある、ストレスを感じやすい、直属の上司・同僚とうまくいっていないなどの原因が考えられます。この場合はわざわざ会社を辞める必要はなく、異動届を出してそれを受理してくれるのであれば、それで十分対処できます。

もちろん、部署が大きく変わることは新たなストレスを感じる可能性が出てきます。新しく仕事を覚えなければならない、新しい人間関係を構築しなければならないなど、ネガティブなことが色々と出てくるかもしれません。しかし、このネガティブな要因は会社を辞めて転職した場合でも起こりうることです。

もっと言えば、会社を辞めて転職した場合に新しく仕事を覚えることや新しい人間関係を構築することに嫌気が差すのと、異動した部署で同じことを思うのとでは明らかに後者の方が実害は少ないと言えます。仮に異動先で新しく仕事を覚えるなどのことに嫌気が差したら、転職する際にそのあたりに気を付けて職探しをするようになるでしょう。

異動届を出して実際に異動できれば、ある種転職がうまくいったような状態です。転職の予行演習として捉え、そのままうまくいけば問題なく、仮にうまくいかなければ善処策を改めて考えればいいのです。

有給休暇を取る

4つ目は有給休暇を取ることです。

仕事を辞めたいと考え始めると、ネガティブな方向に考えがいきがちです。仕事を辞めたいとまるで呪文のように何度も頭の中で考えてしまえば、いつの間にか仕事を辞めたいことが本心のようになってしまいます。本当に仕事を辞めたいのか、実は辞めたくないのかといった判断は、ある程度仕事と距離を置いたところで、冷静な判断ができるようになります。

そこでポイントになるのが休みです。転職など重要な判断を下す人は、休みをとって落ち着いて考えられる状態で決断した人が多い傾向にあります。休みをとらないと目の前の仕事を追いかけるだけ追いかけて、仕事を辞める・辞めないの判断をついつい先延ばしにしがちです。

また切羽詰まった状況での決断は結果的に間違うことも多く、あまりいいとは言えません。有給休暇などを取得することで心に余裕のある状態で辞めるべきか、それとも今の会社で頑張るべきかを考えることをおすすめします。早まった決断を行い、取り返しのつかないことになることだけは避けなければなりません。そのためにも休みは重要です。

友人や家族に相談してみる

5つ目は友人や家族に相談してみることです。

早まった決断をするケースには、自分自身で自問自答をする中で生じることが多く、相談相手がいなくて悪い方向にどんどんと考えすぎ、最終的に退職を決断してしまうことがあります。もちろん最終的に転職するか、転職しないかを判断するのは本人です。ただ、周囲の意見を聞いた上で総合的に判断するのと、短絡的に切羽詰まって判断するのではわけが違います。

もしも自分の判断が間違っていた場合、周囲の意見を聞いた上で納得して判断したのであれば、そこまで後悔することはないでしょう。しかし、短絡的に切羽詰まって判断した場合は、「なぜあの時誰にも相談をしなかったのだろうか」と後悔する可能性が高くなります。

もちろん、誰かに相談をしたら何かしらの解決策が必ず見つかるわけではありません。時に混乱することも十分に考えられます。しかし、視野が狭くなり、早まった決断をしかねない状況をストップしてくれるのもまた友人や家族と言えます。

また会社の同僚など自分自身が信頼できる人に相談するのも1つの方法です。大事なことは自分自身が信頼できる人かどうか。万が一いなかった場合には、SNSを使って広く呼び掛ける手もあります。どんな手を使ってでも客観的な意見を取り入れることが大切です。「会社を辞めたいのでそれをアシストするような意見しかいらない」というスタンスでは間違った判断をしやすくなります。

辞める場合はタイミングを考える

6つ目は、辞める場合はタイミングを考えることです。

会社にとって一番辞められると困るのは繁忙期です。この繁忙期に会社を辞めるとなると、なかなか会社側はいい顔をしません。もちろん労働者の権利として退職の申し出をしてから2週間後に辞めることは可能です。これは民法627条1項でも定められており、「退職の自由」と呼ばれる所以となっています。

しかし、円満退職をしたい、同僚との人間関係を保ちたいなどの気持ちがある場合にはできるだけ就業規則に沿う形で退職を目指すことをおすすめします。また、2週間後に退職を刷る場合は事前に貯金を行うなど、対策を済ませることも重要です。なぜなら、失業保険を利用し、失業手当を受け取ろうと思っても給付制限などがあるため、実際に受け取れるのは2か月以上先になるからです。

自己都合による退職であれば、2か月以上は無給の状態が続くため、貯金をしておかないとかなり厳しいことになるでしょう。「辞める場合はタイミングを考える」という意味は会社への配慮はもちろんのこと、辞めた後の対応という点でも必要なことであり、後先考えず、早まった判断をしてしまうと、退職後に大変苦しい思いをすることになってしまいます。

仕事を辞めたいときの退職すべき判断基準

仕事を辞めたいと思った場合には、3つの退職すべき判断基準があるのでご紹介します。

  • 改善の余地がなさそう
  • うつ病の症状がある
  • 自分自身に問題がある

いずれのケースも辞めざるを得ないケースと言えます。自分だけの力ではどうにもならないケース、耐えるのは精神的に厳しいケース、自分が変化するのは無理なケースなど、遅かれ早かれ辞めなければならないような状況と言えます。ここからは仕事を辞めたい時の退職すべき判断基準についてご紹介します。

改善の余地がなさそう

1つ目のケースは改善の余地がなさそうなケースです。

よく優秀な人ほど会社を辞めると言われますが、なぜ優秀な人ほど辞めやすいかといえばそれは職場の問題点を追及したところで、改善の余地がなさそうに見えるからです。例えば、人間関係の部分で問題があった場合、上司が職場環境、人間関係の改善をしようとせず、我慢を強いるような状況では、今は我慢できてもいずれ限界を迎えることは明らかです。

給与の問題や評価の問題など、会社側が改善すべき問題にも同様のことが言えます。改善をするように求めても会社側にその気がなければ、どれだけこちらが頑張ってもどうにもならないでしょう。改善の余地がなさそうなのに、いつまでも粘る必要はありません。

退職を考える理由を見ても、給与が低い、やりがいを感じないなど、自分ではどうにもならないものばかりです。給与の低さは一見すると自分自身の頑張りで改善できそうな部類ですが、よくよく考えれば給与体系などを考えているのは会社側であり、同じような成績・頑張りを示したとして、会社によっては給与に大きな違いが生じるでしょう。

退職を検討する理由の多くは自分自身ではどうにもならないものばかりです。改善されることもあるかもしれませんが、個人の不満のために組織が動くことは考えにくいでしょう。だとするならば、改善の余地がないと判断して退職を決断することは決して間違いではありません。

うつ病の症状がある

2つ目はうつ病の症状がある場合です。

うつ病の症状がある場合に退職の決断をする際にはいくつか注意すべき点があります。

  • 医師への相談を行う
  • まずは休職で様子を見る
  • 傷病手当金を受け取っておく
  • 周囲の人に相談を行う

まず医師への相談ですが、退職という重大な決断をする際には、医師に相談し、おおよそどれくらいで改善しそうかを聞いてみることをおすすめします。病院によっては認知行動療法などうつ病を改善していくための治療を行っています。おおよそどれくらいで治療の成果が出てきそうか、現時点で社会復帰ができそうかどうかを医師に相談し、診断書などを書いてもらいましょう。

診断書を書いてもらうことは、休職をする際にも活用するほか、仮に自己都合による退職で辞めたとしてもハローワークで診断書を見せれば、特別な事情があって辞めたとして会社都合退職に準じた扱い、給付制限がない形にすることも可能です。

そして、いきなり退職の判断をすることはあまりいいことではありません。うつ病にもしっかりと治療を行えばすぐに改善するケースもあるからです。会社には休職制度が存在するところがほとんどで、休職しても席を空けて待ってくれる期間が決まっているケースがあります。その間は治療に専念する形で休職するのも1つの手です。

もちろん、仕事内容などでうつ病になった場合はすぐに退職するのも手かもしれません。ただし、傷病手当金のように病気を理由に働けなくなった場合、一定額が支給され続けます。これを利用すれば、治療に専念できるでしょう。また、次の再就職先を見つけるまでの間、傷病手当金を先に活用しておき、その後失業保険に切り替えることでゆっくりと再就職先を探せるというメリットもあります。

そして、周囲の人に相談しましょう。うつ病など精神疾患を抱えている方は自分自身を強く責めすぎて早まった判断をしがちです。客観的に判断するためにも周囲の人への相談は重要です。ここまでのことをしてようやく退職の決断をしていく必要があると言えます。

ただうつ病になってしまうと、ここまでのことを事前に考えるだけの余裕がない場合もあるでしょう。最初に周囲の人に相談するのも必要です。そして、1人でうつ病に立ち向かうのではなく、周囲の人にサポートしてもらいながら立ち向かっていく方がいいでしょう。

自分自身に問題がある

3つ目は自分自身に問題がある場合です。

仕事を辞めたい理由として、自分自身の能力不足や性格などが関係している場合は自分自身の能力に見合った企業へ転職するのが合理的と言えます。例えば、営業職で働いていた場合、自分自身の能力が足りないために営業成績が常にビリだったら、会社側は厳しく能力不足を指摘する可能性があります。周囲も冷たい視線を送るほか、給与面でも期待できないでしょう。

周囲から厳しく指摘され、しかも給与はさほどもらえないとなると、最初のうちは歯を食いしばって頑張ることができてもいずれは苦しい状況に追い込まれてしまうことでしょう。先ほどのケースのようにうつ病になってしまうなど、どんどん状況は悪化の一途を辿ってしまう可能性もあります。

自分自身に問題があると自ら認めることはとてもきついことであることは間違いありません。しかし、自分自身の能力不足を認めることはスキルアップなどを目指して自己研鑽に励むことにもつながってきます。追い込まれるように仕事を辞めるぐらいであれば、自分の能力に見合った仕事や自分の性格にマッチした企業へ転職した方が合理的であり、精神的な安定にもつながるでしょう。

最近仕事を辞める理由として、「仕事が向いていないから辞めたい」という理由がありますが、これは自分の能力不足、適性から外れていることを認めた上で退職を検討しているケースです。若い人ほど仕事が向いていないと思いがちですが、人によっては甘い考えのように見えるかもしれません。しかし、仕事が向いていないから辞めるという判断に至るのは環境に恵まれていないと言えなくもないのです。

若い社員は誰しもが、「自分はこの仕事に向いていないのではないか」と感じます。ですが、実際は退職せずに踏みとどまる人がほとんどです。その大きな要因は周囲のサポートです。先輩に相談して叱咤激励を受けるケースもあれば、献身的にサポートしてくれたり、目をかけてくれたりします。「自分は必要とされているんだ」と感じられるから辞めずに済むわけです。

「仕事が向いていないから辞めたい」と最終的に退職に至るケースは、周囲へのサポートがなかったか、合わなかったかのいずれかです。自分だけの努力で乗り越えることができても、いずれ同じような問題に直面する可能性は十分に考えられます。むしろ早い段階で気づき、会社に見切りをつけることはプラスになることも多いと言えるでしょう。

仕事を辞めたいのに辞められない理由

「仕事は辞めたい、だけど辞められない」という人も多いのではないでしょうか。ここからは仕事を辞めたいけどやめられない理由についてご紹介します。主な理由は4つです。

  • 一時的に収入がなくなってしまう
  • 上司に怒られるのが怖い
  • 周囲に迷惑をかけてしまう
  • 辞め癖がつくのが不安

辞められない理由として多いのが収入面への不安です。そして、ブラック企業の場合は同僚たちの目の前で怒鳴られる恐怖もあるため、怖くて申し出ができない場合も少なくありません。職を転々とする人がいるように、辞めることに癖がついてしまうと思ってしまう人もいるでしょう。

一時的に収入がなくなってしまう

1つ目の理由は、一時的に収入がなくなってしまうことです。

失業保険を利用する場合、自ら退職した場合は自己都合による退職という形になります。すると、待期期間の7日間と給付制限の2か月ないし3か月があるため、最低でも2か月強、場合によっては3か月強も収入が途絶えてしまいます。

実際は給付制限中もアルバイトを行うことは可能ですが、雇用保険の加入条件を満たすような働き方をしてしまうと制度上「就職」とみなされ、失業保険が使えなくなってしまいます。しかも、雇用保険の加入条件は週20時間が目安になるため、1週間で20時間に満たないような働き方が求められます。仮に時給1,000円だった場合、毎週2万円にも満たない額しか収入として入ってこない形です。

私たちが生活を送る上でどうしても必要になる生活費は以下の通りとなります。

  • 食費
  • 光熱費
  • 住宅費
  • 通信費など

特に切り詰められないのが住宅費です。今まで社宅に入っていた方は退職によって社宅には住めなくなり、場合によっては光熱費まで支払うことになります。社宅にいれば住宅費も光熱費も出してくれていた人はいきなりその支払いも迫られるため、負担は大きくなるでしょう。

食費や通信費は極力切り詰められますが、それでも限度はあります。そして、いつまでも我慢を強いられているとどこかで限界を迎え、後先を考えずに就職先を決める事態も考えられるでしょう。これに社会保険料、住民税などが加われば相当な金額を払うことになります。

収入は少なく支出も多いとなると、クレジットカードを作っている人はキャッシングを利用して急場をしのぐような形になってしまうかもしれません。ところが、キャッシングにも限界があるほか、借金を作ってしまうことになるでしょう。ここまで考えると、一時的に収入がなくなることへの不安が出てくるのは当然です。

上司に怒られるのが怖い

2つ目は上司に怒られるのが怖いという理由です。

民法でも定められているように、退職するのは労働者の自由であり、退職の自由があります。にもかかわらず、退職の申し出、退職届の提出をした際に怒鳴られるケースが存在します。ブラック企業の中には、多くの同僚がいるにもかかわらず、同僚たちに聞こえるように退職の申し出をした従業員を大声で怒鳴りつけるケースが珍しくありません。

退職の申し出をした人を怒鳴りつけるとは、上司はどういう神経をしているのかと思われる人も多いでしょうが、こんな理由が存在します。

  • 上司自身への評価が下がってしまう
  • 想定した予定が乱れる
  • 期待していたが裏切られた
  • 逃げの姿勢だから

上司も上司で、会社から評価をされます。部下たちは直属の上司にこってり絞られるかもしれませんが、上司は上司でさらに上の人たちから詰められている可能性が高いです。すると、怒られたくないのは上司も同じなので、何が何でも辞めさせるわけにはいかないという焦りが、退職の申し出をした人を怒鳴りつける行動に走らせる可能性があります。

上司としては、色々な予定を立てており、「業務量をこなすにはこれくらいの人員でフル活動をしないと間に合わない」と考えている場合があります。この時、急な退職の申し出は相当な怒りにつながり、思わず怒鳴りつけてしまうこともあるでしょう。

退職の申し出をする前から、なぜか上司から厳しく指導を受けるという人がいるかもしれません。「自分のような人間に育ってほしい」、「自分の後継者としてふさわしい」と思っていたから手塩にかけるつもりで厳しく当たっていたケースも考えられます。しかし、厳しく指導される側からしたら単なるパワハラと思っていることもあるでしょう。

何より、退職をすることが逃げの姿勢に見えてしまうのはブラック企業としての体質を示す象徴的な部分と言えます。退職の申し出をすればどんなことになるかを周囲にわからせるためにパフォーマンスで怒鳴りつける人もいます。それで辞めることを怖がらせ、萎縮させた状態で働かせる企業も中には存在するので、転職の際には気を付けなければなりません。

周囲に迷惑をかけてしまう

3つ目は周囲に迷惑をかけてしまうことです。

仕事を辞めることで周囲に迷惑をかけることになってしまう理由として以下のことが挙げられます。

  • 業務が円滑に進まなくなる
  • 1人当たりの仕事量が増えてしまう
  • スキルを持っていた人がいなくなる

自分が辞めてしまうことで、業務が円滑に進まなくなるのではないかと思ってしまい、退職をためらうケースがあります。特にプロジェクトに入っている際には、プロジェクトに参加している仲間やプロジェクトリーダーなどに迷惑をかける可能性は十分に考えられます。

「自分がプロジェクトを抜けることで迷惑がかかることになれば、同僚から恨まれることになるかもしれない」と考えて、プロジェクトが終わるまで退職は考えないようにしようと思う人もいます。

また、自分が辞めることで今残されている人たちの仕事量が増すのではないかという懸念もあるでしょう。あるケースでは、退職の申し出を急に行った人物がいて、突如いなくなったために穴埋めのために1人1人の仕事量が増してしまい、相当な労力を費やしたというケースがあります。

就業規則に則って辞める場合には計画的に人員配置を行うなどするため、突如として仕事量が急増するようなことはありませんが、2週間前に退職の申し出をしても法律的には許される以上、1人1人の仕事量が増すような形になることも十分に考えられます。過去、退職に伴い、仕事量が増大する状況に巻き込まれ、腹立たしい思いをした人ほど、自分が退職を検討する際に躊躇してしまいがちです。

自分が辞めることで、スキルを持つ人がいなくなり、会社に多大なダメージを与えることになるのではないかと考える人もいます。この場合のスキルは人脈なども含まれるため、自分が培ってきたネットワークまでそのまま持っていくような形になれば、会社に迷惑がかからないだろうかと思いを巡らせる人もいるでしょう。

周囲に迷惑をかけるという意味合いにはいくつかの意味が含まれており、いずれの場合も自分自身を高く見ていたり、自分がいなくなったら戦力ダウンになるのではないかと考えたりするケースです。ただし、1人が抜けたら回らなくなる組織は組織に問題があるため、本来は退職を検討する人がそこまで考えなくていいと言えます。

辞め癖がつくのが不安

4つ目は辞め癖がつくのが不安という理由です。

退職を繰り返すことでいわゆる「辞め癖」がつくのではないかと考える人がいます。子どもの時の習い事のように、飽きたら辞めるというような形だと何事も中途半端になってしまい、仕事を深めていくことができないのではないかと不安になる人もいるでしょう。

その一方で、なぜ辞め癖がついてしまうのか、その理由は事前に知っておいた方がいいでしょう。辞め癖が付く理由には以下のことが考えられます。

  • 快楽原則と回避原則の存在
  • 瞬間的な行動に依存しがち
  • 解決策を考えられない
  • 同じような仕事が多いから問題ない

人間の行動には「快楽原則」と「回避原則」の2つがあります。快楽原則とは、嫌な出来事や不愉快な出来事をできる限り避けて、楽しいことや面白いことなどを追い求めようとするものです。一方で、回避原則も快楽原則と近く、不愉快な状況を逃れたいという傾向です。どちらも嫌な状況から抜け出すという点で共通しています。

退職を決断する場合、不快なこと、嫌なこと、不愉快なことが何かしらあって、それが耐え切れなくなったケースがほとんどです。人間関係で嫌なことがあった、同僚から評価を受けられず不快に感じた、ハラスメントが不愉快だったなど、目の前の嫌なことから逃げ出したいと思って回避行動を取るのが人間としての本能と言えます。

いわば退職によって回避しつつ快楽を得る形です。ただそれだけのために何が何でも辞めたいと人は思うようになります。ただ、それでは幼稚さが出てしまうため、色んな理由をつけて辞めようとします。本質は快楽原則と回避原則が根本にあるのです。辞め癖は快楽原則と回避原則につながってくると考えれば、しっくりくる部分もあるでしょう。

また後先のことを考えずに瞬間的な行動に依存するというのも辞め癖につながりやすい要因です。仕事を辞めたいと感じる時、直近でとても嫌な出来事や腹立たしい出来事があり、その怒りが原因の場合があります。とはいえ、一時的な怒りであり、ある程度の時間が過ぎれば忘れてしまうようなものです。しかしながら、この一時的な怒りのまま、勢いで退職届を叩きつけてしまう人も存在します。

怒りのままに早まった決断をしてしまうことは十分に考えられることであり、絶対にいいことではありません。それでも一時の怒り、感情に流されるのもまた人間です。辞め癖が目立つ人は感情的になりやすい人と考えると、周囲にもそうした人がいるのではないでしょうか。

また辞め癖がある人には解決策が考えられない人もいます。仕事を辞めるという行為は実は簡単な解決策です。自分が会社を辞めればそれで済むと思っているからです。しかし、物事はそんなに単純ではありません。自分自身に問題がある場合は、いつまでたっても問題が解決せずに、根本的な解決をしようとせず、目の前のことから逃げて問題を解決しようとします。

そして何より、似たような仕事がたくさんあると、「こんな会社辞めてやる!」と簡単に決断しやすくなります。「もうここでしか働けない!」という心境になれば、少々嫌なことも耐えようとしますが、働く場所はたくさんあると感じれば耐える必要性がないので、退職の決断をしやすくなるでしょう。

仕事を辞めたいときの退職する際の注意点

最後にご紹介するのは、仕事を辞めたい時に退職する際の注意点についてです。退職の際に注意すべきポイントは4つです。

  • 今後のキャリアについて考えておく
  • 貯金を貯めておく
  • 可能であれば退職金を受け取る
  • 身勝手な退職理由を伝えない

いずれのケースも計画性のある退職であることが求められます。無計画に辞めると今後のキャリアを考える余裕もなく、金銭的に困窮し、転職先を見極めることなく、良さそうに思ったところに調べもせずに入ってしまうということもあるでしょう。ここからは仕事を辞めたい時に退職する際の注意点についてご紹介します。

今後のキャリアについて考えておく

1つ目は今後のキャリアについて考えておくことです。

仕事を辞める際には、仕事を辞めてからどのようなキャリアを重ねていくかを考えなければなりません。そのためには以下のことを行うことをおすすめします。

  • 最終的なキャリアのゴールを定める
  • 目指すべきキャリアに向けて欠かせないスキルを磨く
  • リスキリングを検討する
  • 安定した企業で働くようにする
  • 働いていてやりがいを得られそうな企業を探す

自分が最終的にどんなキャリアを築きたいのか、そのゴールを定めることは転職先を探すにあたって非常に重要です。ゴールが決まるということは、キャリアの方向性がはっきりと定まることを意味するため、あとはそのキャリアに向かって走っていけばいいのです。このゴールがないと常にあやふやな状態で走ることになるため、無駄も多いでしょう。

キャリアゴールが定まることは、そのキャリアに至るまでにどんなスキルを磨いていけばいいのかを理解しておくことにもつながります。営業の場合、トークスキルだけが良ければいいのではなく、PDCAサイクルを回すことや説得力のある組み立て方など、やるべきことや必要なスキルがはっきりとします。自分がやりたい仕事をするために何が必要なのかを学ぶ点で、大切です。

近年注目されている言葉に「リスキリング」があります。リスキリングは新しい技術、ビジネスモデルの変化に対応していくために学び直しを行うという意味があります。最近になって知ったと感じる人が多いのは当然で、2020年に開催されたダボス会議において、この概念が登場しています。

目指すべきゴール、習得すべきスキル、リスキリングの実行を行っていく中で、安定した企業で働くことが可能になります。不安定な仕事は特段スキルを必要とせず、誰でもできるような仕事です。しかし、スキルを必要とする仕事は本来誰でもできる仕事ではありません。スキルを磨き、キャリアアップを重ねていくことで、自分に適した職業に巡り合いやすくなります。

何より、自分がやりたい仕事、誇りに思える仕事に巡り合うことができれば、やりがいなどにつながりやすく、自分がしている仕事に対する満足感が出てきます。これに給与などもついてくれば、その仕事が天職のようになっていくでしょう。こうしたプロセスからも、今後のキャリアを考えることはとても重要なのです。

貯金を貯めておく

2つ目は貯金を貯めておくことです。

先ほどもご紹介した通り、自己都合による退職の場合は少なくとも2か月以上無収入の状態となります。色々と切り詰めたとしてもそれなりの貯金が必要になることは当然です。では、無収入に耐えられるような貯金としていくらが理想になるかですが、半年分の生活費が理想的です。

半年分の生活費の理由は、段々と貯金を切り崩していくとどうしても焦燥感が出てきます。焦燥感が出てくると、仕事探しに妥協が生じやすく、「もうこの仕事でいいや」と妥協のような形で選んでしまい、結果的に後悔してしまう可能性があります。転職は決してピンチではなく自分にとってチャンスの出来事なのに、自らピンチを招くようなものです。

その点、半年分の生活費があれば3か月間無収入だったとしても、まだ3か月分は貯金があります。そこから失業手当が入れば最低でも90日分は最低限の生活ができるだけの収入が入るでしょう。この段階で転職を決めればよく、余裕な状態で転職先を見つけられます。

具体的な金額となると人によって様々となりますが、現実的なのは毎月の給料の半年分です。額として多いと思われがちですが、例えば毎年のボーナスを使わずに確保することで対応できます。もちろん、就職扱いにならない程度にバイトを行って、貯金を切り崩す額を少なくするという対応もできるでしょう。

また結婚などをしていれば、パートナーに一時的に養ってもらう手もあります。とはいえ、貯金をしておいた方が仮に転職までのつなぎですべてを使わなくても、様々な場面で貯金が役に立つことがあるでしょう。今後のことを考えても計画的に貯金を行っておくことは大事なのです。

可能であれば退職金を受け取る

3つ目は、可能であれば退職金を受け取ることです。

半年分の生活費があれば少なくとも失業手当が支給されるまでの期間は耐え忍ぶことができるでしょう。しかしながら、「失業手当が出るまで辛抱するために貯金をする」という考え方だと、「なぜこんなことをしなければならないのか」と我に返ってしまう可能性も出てくるでしょう。

もしも可能であれば退職金を受け取れるようにすれば、その心配がなくなります。退職金が用意されている企業の場合、だいたい4年間働いてきた人だと少なくて給料の1か月分程度、多くて4か月分程度とされています。10年も働いていれば、少なくとも給料の半年分を退職金として受け取れる可能性は高いでしょう。

退職金の場合、基本的には非課税になりやすいと言われています。非課税になりやすいというのは退職所得控除の存在があるからです。勤続年数が20年以下の場合は勤続年数に40万円をかけたものが所得控除額となり、下回れば非課税となります。いわば退職所得控除のおかげで退職金が守られる形になっていると言えるでしょう。

もちろん、全ての企業で退職金が用意されているわけではありません。そもそも退職金がないことは違法ではなく、福利厚生の一種です。しかも、退職金の額面は年々下がっているとされ、退職金のみをアテにするのはあまりいいことではないでしょう。その場合は就職してから地道に貯金を重ねていくことが必要です。

身勝手な退職理由を伝えない

4つ目は身勝手な退職理由を伝えないことです。

もう退職するのだから退職理由がどんな理由であれ関係ないと思っている方が多いかもしれません。しかし、世間は意外と狭いものであり、特に同業他社への転職の場合、前職での悪態が同じ業界内に広まっている可能性は十分に考えられます。この場合、自分自身も損をしますが、雇用してくれた新しい会社も、身勝手な退職を前職でしてしまったことで不利益を被る可能性が出てきます。

その報いはいずれ自分にも回ってくると考えた方が良く、仮に会社側に腹立たしい思いがあったとしても、身勝手な退職理由を周囲にぶちまけていくことはあまり褒められたものではありません。

身勝手な退職理由のほかにも、マナー違反としか言いようがない退職の申し出方法などもあります。例えば、メールで退職の申し出を行うのもあまりいいことではありません。うつ病であるなど直接伝えることが困難な場合であれば仕方ないですが、普通に通勤ができるような状況であれば直接伝える方がマナー的にもいいでしょう。

優秀な人ほど職場への配慮をした上で、周囲に迷惑をかけないように退職の申し出を行うと言われています。身勝手な退職理由を突きつけて会社を去る時点で、自らを優秀ではない人物と言い張っているようなものなのです。

仕事を辞めたいけど辞められないなら退職代行もあり

今回は仕事を辞めたい場合に関する話題を中心に、ご紹介してきました。

仕事を辞めたいと思っていても実際に辞めるのは一苦労というケースが意外と多いですが、そんな時におすすめなのが退職代行サービスです。退職代行サービスは本人に成り代わって手続きを行ってくれて、退職までスムーズに事を運んでいくサービスを行います。

例えば、退職の申し出をする際に同僚たちの目の前で怒鳴られるのが怖くて、辞めたくても辞められない人がいたとします。この場合は退職代行サービスが介入する形で手続きを行えば、びっくりするほどあっさり退職まで事が運ぶことがあります。身内に怒鳴る人は案外外面を気にする人が多いからか、退職代行サービスを使うとスムーズに手続きが進む傾向にあるのです。

「すぐにでも今の仕事を辞めたい」、「退職のやり取りでエネルギーを使いたくない」という方は退職代行サービスを積極的に活用しましょう。そして、将来的なことを考えて、長く働けそうな職場を見つけられれば最高です。

退職代行サービス「EXIT」