最終更新日 2022年9月14日
ゲーム会社2社を経て、漫画家へと転身したやしろあずきさん。「社会人に向いていなかった」と語るやしろさんは「はたらくこと」、「辞めること」についてどのように考えているのでしょうか?
そしてなんとやしろさんに退職代行EXITの紹介漫画も描き下ろしていただきました! 必見です。
つばき
ではまず、新卒でゲーム会社に就職してから、現在のフリーランスの漫画家という道を選ばれるまでの経緯をお伺いします。
やしろ
初めの会社は、ゲーム業界のイベント“CEDEC”で声をかけて頂いたうちの一社に入社しました。“ペライチ”という、ゲームの企画を紙一枚にまとめて見せるという企画があり、そこでいくつかの企業に声をかけて頂いた中の気に入った一社に入社した…という感じですね。
やしろ
そこでは面接もありましたけど、あくまで形式上でした。一応それまでも就活はしてたんですが、とにかく集団面接というのが嫌で、集団面接があるとわかった時点で自分からその企業を蹴ったりしていました(笑)
つばき
面接が嫌という気持ち、とてもよくわかります(笑)やしろさんは2社を経てフリーランスになったとお聞きしていますが、1社目はどういった理由で退職されたのでしょうか?
やしろ
朝会社に行って夜帰るということを単調に繰り返すというのが個人的に無理だったということ、ですね。その時には確信がなかったんですが、社会人が向いてなかったんじゃないかと…。結果、向いていなかったんですが。朝来て掃除しろ、みたいなこともありましたし。
やしろ
裁量労働制って言っておきながら朝定時があったり(笑)
やしろ
そういうめちゃくちゃなことをやられたので、ムカついてきて…それで会社サボりまくったんですよ。
やしろ
結果的に、ですね。僕は“試用期間中に契約社員になる”と目標を持って会社をサボっていたら“正社員から契約社員にならない?”と持ち掛けられて…。その時は“やったあ!”と思いましたね。契約社員は正社員と比べて雇用をきりやすいと聞きますから。次の更新時に“どうする?”と聞かれたので“辞めます”と…。自主都合退社ということで、会社を辞め、半年で新卒ブランドを捨てましたね。捨てたら…なんとSEGAから声がかかって。
つばき
すごい!大手企業ですよね。どうしてSEGAに入社することになったのでしょう?
やしろ
偶然なんですが、Facebookで退職したことを報告したら声がかかりました。その時は“ベンチャーより大手企業の方が自分に向いているのでは?”と考えていたので入社しました。SEGAはとてもいい会社で、風通しもよく、大切に扱ってくれるし、才能がある人はその才能を発揮できる場所でしたね。
つばき
まさに理想の職場ですね。でも、そのあとSEGAも退社されていますよね。
やしろ
オタクの集まりということもあって僕はとても居心地が良かったんですが、結局仕事へ行くために朝起きるのが無理だったんですよね。それで“あ、社会人というものが向いてねえんだな…”と。
つばき
根本的なところで社会人が向いてない、と気づいたんですね。
やしろ
そうですね。本当にいい会社で、僕が社会人に向いてさえいればずっといたい会社でした。なので、僕の中ではこれはもう個人の向き不向きの問題だなと考えていて。辞めようと思ったら僕はサボるタイプなので、SEGAもめちゃくちゃ休みまくって“やしろ君、ちょっと…”ということになり(笑)最終的にSEGAは円満退社でしたけどね。
つばき
なるほど。そしてそのあと、フリーランスの漫画家として…ということでしょうか?
やしろ
どちらかといえばSEGA勤務と並行して、でした。ちょうど辞めようとなった時にインターネット経由で絵のお仕事をいくつかいただけるようになってきまして。僕の中では絵の仕事が本業の収入を抜いたら本業を辞めようと思っていて、結局絵の収入が本業を抜いたのでそのタイミングで辞めました。
つばき
なるほど。では漫画家として働かれていた時も、本業は続けていたんですね。
やしろ
ええ。でも、やはり絵のために時間を取るというのが結構限界を超えてきたというところもありましたね。なので、そろそろ辞めようというのは決めていました。
つばき
なるほど、会社を辞めた理由については“社会人が向いていなかった”というところが大きいということでしたが。
やしろ
2社を通してそれが顕著にわかったからですね(笑)環境が良くても悪くても、結局会社勤めが難しかったという。
つばき
なるほど。漫画家になった後の1日はどのようなスケジュールでお過ごしになられているのでしょうか?

やしろ先生の自宅に送られてくることで有名なカラーコーン。「マジで送られてくるんだ…」と思った
やしろ
というのはさすがに冗談ですが、体のことを考えて朝はちゃんと起きるようにしていますね。漫画家なりたての頃は徹夜とかも結構していましたが、それは辞めました。朝8時半くらいに起きて朝のブログを書いて、あとは適当に…。
やしろ
これは自分で決めていることなんですが、1日4時間くらいしか働かないようにしていて。僕自身筆が早いので、時間を使わなくて済む、というのはあります。なので、実働が3時間から4時間というのは記事に書いていただきたいです。楽をしているぞ、という(笑)
つばき
楽してるアピールですね。しっかり記事に書いておきます。
やしろ
撮影などが入るとガッツリ時間を取られるので、まあ日によってまちまち…というところはありますね。ただ、最近は秘書を雇うなどして絵を描く以外のスケジュール管理やメール返信などは任せているので、自分で筆を動かし働く時間というのは4時間以内に収めています。締め切りがヤバいときは別です(笑)
やしろ
結局実働時間としては会社員の時より長いかもしれませんが、僕にはこちらの方の働き方があっていた…ということですね。
つばき
自分主体で動けるというか、自分の裁量で働けるという部分でしょうか。
やしろ
自分で時間を決めて働ける、というのが僕には向いていました。これに関しても僕は個人の向き不向きだと思っていて、全員に対して“会社辞めたほうがいい”とは言いたくないですし、会社員に向いている人も絶対向いていると思うんですよ。
ある種、それも才能だと思います。朝起きて会社に行って仕事をこなす、というルーティンができるのも立派な才能だと思います。
つばき
そうですね。今は仕事を辞めてフリーランスになって、という考え方も広まっているかと思いますが…。
やしろ
そういった流れもありますが、やっぱり会社員を続ける才能もある人もいますから、自分にどっちに才能があるかを見極めてから舵を切ったほうがいいと思いますね。なので、フリーランスを目指している人でも一度社会に出るというのはアリだと思いますね。
つばき
社会に出て、そのうえで…という見極めですよね。
やしろ
僕もなんだかんだで社会人歴はSEGAを含めて三年ほどですが、コミュニケーション能力とか得たものももちろんあります。ゲーム会社では主にプランナーだったので、いろんな人と話す機会がありましたから。
つばき
プランナーはそれぞれ異なる分野の人々をつなげるお仕事ですよね。
やしろ
例えばデザイナーとプログラマーという違う業務の人々を結び付けるという、かなりの労力のいるものでした。そのなかで人との対話、コミュニケーション能力というのを磨いてきたので、そういった意味では“会社員はやっててよかったな”と。
つばき
やしろさんの漫画には、ブラック企業に勤めていたころの体験談などもありますよね。
やしろ
“定時退社する方法”とかですよね。そういう、肌で経験してきたものが描けますね。もう二度と戻りたくありませんが、自分の人生の経験としてはありだったと思います。
つばき
なるほど。ここでちょっとお話を変えまして、弊社の退職代行EXITというサービスについてどう思うかをお伺いしたいのですが。
やしろ
僕は退職の仕方などもわからなかったので、会社をひたすらサボるという手段を取るしかなかったんですが…。そもそも辞められない人って多いと思うんですよね。普通にまじめな人ってまじめに働いてしまうと思うので。
僕の身の回りにも仕事を辞めたいと考えている人は多かったので、退職代行が流行っているというニュースを見て“おっ、キテるねえ”と思いましたよ。
つばき
退職の糸口というか、次のステップへ進むために使われる方が多いですね。
やしろ
退職代行っていうのが素晴らしいですね。そしてそういうのを使う人が多いというのが日本という国のダメさを表しているというか(笑)そういところ含めて、日本人に向いているサービスだと思います。
つばき
ありがとうございます。最近は特に利用者も増えているように思いますね。
やしろ
潜在的に辞めたがっている人は多いと思いますね。予想以上にブラック企業は多いと思いますし。そういう人たちを救済できるかな、と。
新卒で入ってしまうと、自分の会社が正しいと思い込んでしまう人もいるでしょうし、そういう人に向かっては“そんな会社ばかりじゃないよ”とも言いたいですし“新卒ブランドにこだわる必要はないよ”とも言いたいですね。
つばき
新卒ブランドにこだわる必要がないというのはわかりますね。
やしろ
勉強しながらバイトでもいいですし、なにか目標があるならそっちを中心に動いたほうが絶対いいと思いますよ。大学はすぐ“絶対に新卒で入社しろ”と言ってくるかもしれませんが、今はインターネットで色々できたりもしますし…。
つばき
なるほど。では、これから新たな一歩を踏み出したいと考えている方々へやしろさんなりのエールをいただければと思うのですが。
やしろ
そうですね…。僕は“成功している”なんて言われたりもするんですが、僕自身は逃げ続けているタイプで、勉強も嫌で逃げて、会社も嫌で逃げて…という、言ってしまえば逃げの人生でした。人生で好きなことばかりをしていたらこうして有名になりました。
ただ、全員がそういう風になれると保証はできないし、お勧めはしないけれど、嫌だからという理由で辞めても死ぬわけではないと考えたら、ちょっと楽になるかな、と。
“辞めたら死んでしまうんじゃないか”と考えている人も多いと思うんですけど、辞めたくらいで死んだりはしませんし目標があるならそっちに向かって動いたほうがいいですし、辞めることってぜんぜん“悪くない”んですよね。
逆に嫌なことに耐え続けるよりは、自分の心に正直になってほしいですね。
辞めたいのか辞めたくないのか、自分の心は嘘をつかないと思うので。
個人の状況もあると思いますが、辞めたくらいであまり困窮しない状況であれば、辞めてしまっていいと思います。もっと気楽でいいんじゃないでしょうか。
まとめ
今回は、漫画家やしろあずきさんにインタビューしました。
自分に向いている働き方を見極めてほしい、と語ったやしろさん。
「どんな体験も決して無駄な体験にはならない」とも仰っていました。あまり深刻に思い詰めずに最初の一歩を踏み出してみては、という意見は、今この先の進路に悩んでいる人に届けたいと思いました。
そしてそんなやしろあずきさんから見た「退職代行EXIT」のサービス紹介漫画を描き下ろしていただきました!

やしろあずき
漫画家。過去にゲームプランナーとしてゲーム会社に勤めていたが、社会に適合できなさ過ぎて退職。家族との日常や、ブラック企業にまつわる漫画を多数執筆。三角コーンがひたすら家に送られて来る人としても有名。独特な絵のタッチで描かれる「スタバで見た小学生の話」など、強烈なエッセイを発信中。
ライター:つばき
23歳。前職はメディア系。試用期間のうちに合わないと感じ、新卒で入った会社を即退職。辞めたいと思っていた日々に見つけたEXITに魅力を感じ入社する。“やめる”をポジティブにするべく、ライターとして日々奮闘中。
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EXIT株式会社が提供するサービスで、「辞めさせてもらえない」「会社と連絡を取りたくない」などの退職におけるさまざまな問題に合わせ、退職に関する連絡を代行してくれる。相談当日から即日対応が可能で、 会社との連絡は不要。離職票や源泉徴収票の発行確認など、退職後のフォローも行ってくれる。
退職代行サービス「EXIT」