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退職代行は裏切り・無責任?頭がおかしいと言われる理由や対策について解説

退職代行は裏切り・無責任?頭がおかしいと言われる理由や対策について解説

最終更新日 2023年12月31日

この記事の監修者
新野 俊幸(「退職代行」専門家)
自身が会社を退職する際に苦しんだ経験から、日本初の退職代行サービス「EXIT」を2017年に開始。「退職で苦しむ人をなくしたい」という思いで、退職代行を日本に広め続けている。

退職代行サービスを利用することで、退職に必要な面倒な手続きや雇用主とのやりとりを専門業者にマルっと委託することが可能です。しかしながら、退職代行サービスを利用することが企業への裏切り、頭がおかしいと思われることもあるようです。

そこで本記事では、退職代行サービス利用で「裏切り」「無責任」「頭がおかしい」と言われてしまう理由について、またその対処法について詳しく解説していきます。

本記事を最後までお読みいただくことで、安心して退職代行サービスを利用できるようになりますので是非とも参考にしてみてください。

そもそも退職し転職するのは裏切り行為?

結論からいうと、今の会社を辞め転職するのは裏切り行為ではありません。憲法22条第1項では、職業選択の自由が認められているため、会社側に人生を決める権利はありません。

参考:厚生労働省

 

しかし会社によっては、文化や状況、個々の価値観から裏切り行為と思われるケースもあるのです。

 

例えば、長期雇用が一般的な社風文化では、転職を裏切りと見なす人もいるかもしれません。

 

裏切られたと思われないためには、退職する理由も重要であり、自己成長やスキルの向上、家庭の事情など、正当な理由で転職をする場合は、多くの人々がそれを裏切りとは見なさないでしょう。

退職代行を使うのは裏切り・無責任?頭がおかしいと言われる理由

退職代行サービス利用が、会社への裏切り、無責任、頭がおかしいと言われる理由として下記6つの理由が挙げられます。

  • 自分でやめると言わないのは失礼
  • 代行サービスで急にやめるのは無責任
  • サービスが世間に浸透していない
  • サービスが違法ではないかと思われている
  • 会社を辞めないことが美徳と考えている
  • ただ辞めることを妬んでいる

ここでは、それぞれの理由について解説していきます。

理由1: 自分でやめると言わないのは失礼

1つ目の理由として、退職の意思を自分自身で伝えないのは社会人として失礼だと言う理由です。

通常退職する際には、次のような手順を踏むはずです。

  1. 上司へ退職の意思を直接伝える
  2. 退職願を上司に提出する
  3. 上記が承諾されて、退職する

しかし退職代行を利用するということは、上記の退職プロセスから逸脱するわけなので、マナー違反ということになります。特に日本人は、道徳観を重んじる種族であり、「他人に迷惑をかけないこと」「感謝を重んじる」という傾向があり、この気持ちに拍車をかけています。

理由2: 代行サービスで急にやめるのは無責任

2つ目の理由として、退職代行サービスを利用して会社を急に辞めるのは無責任であると言う点が挙げられます。

退職代行を利用することで、即日で退職できるケースがあります。こういった場合には、担当業務の引き継ぎをすることなく現場を離れることにつながるため、関係者へ迷惑がかかります。

とはいえ、業務が適切に回る環境構築をするのは所属している会社の仕事であって、1ワーカーであるあなたの責任ではありません。この文脈においては、自分が職場を離れることで周囲に迷惑がかかることを心配する必要はないのです。

理由3: サービスが世間に浸透していない

3つ目の理由として、退職代行サービスの認知が浸透していないことが挙げられます。

初めて退職代行サービスについて聞いた人は、

「そんなサービスがあるのか…」
「退職を自分で伝えられないのは労働者の怠慢だ」

と思う方が一定数いるでしょう。

しかし後述するように、労働者には退職の自由が認められていて、退職代行サービスは合法です。退職代行サービスを活用して、胸をはって退職をする人が増える社会になると我々は信じています。

理由4: サービスが違法ではないかと思われている

4つ目の理由として、退職代行サービスが違法なのではないか?と思われている点が挙げられます。

結論から言うと、退職代行サービスは違法ではありません

なぜなら、退職代行サービスが行っている「依頼主の退職意思をそのまま伝える行為」自体は認められているからです。

しかしながら、

  • 退職願をを代わりに作成する
  • 給与の未払いについて交渉する

といった行為は非弁行為(弁護士法72条に定められた「弁護士でない者が報酬を得る目的で代理や仲裁、和解などを禁止する」ことに反する行為)にあたり、違法となります。

関連記事: EXIT社の「退職代行サービス」は法律的に問題ないの? 労働者の権利について詳しい弁護士の先生に聞いてみた

理由5:会社を辞めないのが美徳と考えている

会社を辞めないことを美徳とする考え方は、長期雇用と企業への忠誠が重視される文化や産業でよく見られます。

日本のような国では、かつては「一度入った会社は定年まで勤め上げる」というのが一般的な価値観でした。このような文化の中では、会社を辞める行為自体が「忠誠心のない行為」と見なされがちです。

退職代行サービスを利用すると、一部の人々からは「会社や同僚に対する責任を放棄している」と見なされる可能性があります。特に、自らの手で退職の手続きを行わないことが「無責任」や「裏切り」とされる場合があります。

理由6:辞めることを妬んでいる

一部の人々は、他人が自分ができないことをすると、それに対して嫉妬や羨望を感じることがあります。例えば、自分自身が会社を辞めたいと思いながらも、何らかの理由でそれができない場合、他人が退職することに対して負の感情を抱くことがあります。退職代行サービスを利用する人々は、その決断を下すために多くの事情や考慮を経ています。

しかし、そのような背景を知らない人々が「頭がおかしい」といったレッテルを貼ることもあるでしょう。単純に他人の選択を尊重できない、またはその選択に対する理解が足りないからとも言えます。

いずれのケースも、退職代行サービスの利用が一概に「裏切り」や「無責任」とは言えない多面的な要因に影響されています。文化や個々の価値観、そして人間心理が複雑に絡み合っているため、一方的な評価は避けるべきです。

退職代行の利用に賛成派の意見

退職代行サービスの利点や賛成派の方の意見として次のような意見が挙げられます。

  • 労働者には会社をやめる権利がある
  • 会社側にも問題がある場合がある
  • 仕事をバックレるよりはまし

ここでは、それぞれの意見について解説していきます。

意見1: 労働者には会社をやめる権利がある

そもそも、所定の条件を満たす場合に、労働者には退職の権利が認められています。

先述したように、退職代行サービスを利用して、職場を離れる労働者へ非難の声がある一方で、業務を回す仕組みを作るのは会社側に責任があり、労働者に責任はありません。

意見2: 会社側にも問題がある場合がある

退職代行を利用する方の中には、上司からのパワハラやセクハラなどの理由で直接会社に退職の意思を伝えることができない方が一定数存在します。このように退職者側ではなく、会社側に問題があるケースが存在します。

このようなケースの場合には、退職代行を利用することが労働者側にとって合理的であると言わざるを得ません。

参考: パワハラ防止法が施行!労働者がパワハラ防止法で守られることって?

意見3: 仕事をバックレるよりはまし

会社に何も伝えずに辞める(=バックれる)方が存在する中で、直接的ではないにせよ、業者を活用し退職の意思を伝えている時点で最低限の義理を果たしていると言う意見も存在します。

雇用主からすれば、無断欠勤されると人員補充をすべきか否かの意思決定ができない期間が発生するため、退職の意思を伝えてもらった方が業務遂行の観点では助かるのです。

関連記事: 「会社をバックレる」のと「退職代行で会社を辞める」のならどちらがベター?

退職代行サービス利用で裏切り、頭おかしいと言われないための対策

退職代行サービス利用で、裏切りと言われないための対策として、下記3つの対策が挙げられます。

  • 業務の引き継ぎを丁寧に行う
  • 無断欠勤を行わない
  • なるべく繁忙期を避ける

ここでは、それぞれの対策について解説していきます。

対策1: 業務の引き継ぎを丁寧に行う

退職代行サービスを利用することで「裏切り」と言われる一番の理由は「業務の引き継ぎが行われていない」ことです。退職の意向を周囲に表明することは難しいため、業務引き継ぎはすぐにはできないはずです。

しかしながら、自身の業務の引き継ぎ書を事前に作っておいたり、業務の進捗が管理者が把握している状態を作ることはできるはずです。

あなたが退職をしたとしても業務が円滑に回る環境を丁寧に作ることで、残された同僚の不満は軽減されるはずです。

対策2: 無断欠勤を行わない

退職代行サービスの利用で「裏切り」と言われないためには、日頃から良い勤務態度を維持しておくことが大切です。

特に、次のような社会人として当たり前の行動ができることが大切です。

  • 無断欠勤を行わない
  • 報連相ができている

無断欠勤は、会社側としてはただの迷惑行為に他なりません。無断欠勤をして音信不通になると、最悪の場合懲戒解雇の対象になることもあります。懲戒解雇になってしまうと、次の転職が不利になることもあるので、日頃から会社とは丁寧なコミュニケーションを心がけるようにしましょう。

退職後新たな仕事を探す前に、まず自分が向いている仕事についてしっかり考えることが大切です。適正診断にご興味ある方は下記記事がおすすめです。

参考: 自分に向いてる仕事がわからない!おすすめ適職診断5選を紹介 | ユニークキャリア

対策3:なるべく繁忙期を避ける

退職代行サービスを利用する際に「裏切り」とか「頭がおかしい」といったレッテルを貼られないための一つの対策として、繁忙期を避けることが考えられます。

 

繁忙期に退職すると、会社や同僚に多大な負担をかける可能性が高く、それが「無責任」や「自己中心的」と見なされるリスクがあります。

 

繁忙期を避けて退職することで、会社が人員調整や業務の再分配を行いやすくなります。会社や同僚に対して責任感を持っているという印象を与える可能性があります。また、退職のタイミングをよく考えることは、後々の人間関係や評価にも良い影響を与えるでしょう。

退職代行でよくある質問

次に退職代行サービスを利用する際によくある質問についてご紹介します。これから安心して安心して退職代行サービスを利用したい方の手助けになるはずですので参考にしてみてください。

Q1: 退職代行は転職活動にマイナスにならないか?

A:退職代行を利用することで転職活動でマイナスになることはほとんどありません。これは退職自体が全ての労働者に認められているためです。ただし、近年ではリファレンスチェックと呼ばれるバッググラウンドチェックを前職に課すような企業が増えているため、日頃から良い勤務態度を心がけることが大切です。

Q2: 退職代行を利用することが家族や友人にバレないのか?

A:家族や友人の元へ連絡がいくことはほとんどの場合には起こり得ません。ただし、同じ職場で友人が働いていたりする場合には、友人を通して連絡が行く可能性は考えられます。そのようなケースを想定し、事前に友人には退職の意思を伝えておくことをおすすめします。

Q3:退職代行を利用して会社から訴えられないのか?

A:稀に訴えると言う会社が存在しますが、実際に訴えられたケースは存在しません。これは、労働者に対して裁判をする費用対効果を考えると会社にとって割に合わないためです。

退職代行を使うことは無責任、頭がおかしいわけではない

退職代行サービスに対して、批判的な意見があるものの、利用すること自体は「裏切り」でも「頭がおかしい」わけでもありません。

本記事で解説した通り、退職代行サービス自体が新しいサービスである点や退職の理由が会社側にもある点を考慮すると、サービスを利用することは合理的であると言えるでしょう。

これから退職代行サービスの利用を検討している方は、本記事の内容を参考にしていただけると幸いです。読者様の退職の意思決定のお手伝いができれば幸いです。