やめ知識 やめ知識

契約社員って契約途中の退職は可能?退職方法や退職条件、退職の流れをご紹介!

契約社員って契約途中の退職は可能?退職方法や退職条件、退職の流れをご紹介!
この記事の監修者
新野 俊幸(「退職代行」専門家)
自身が会社を退職する際に苦しんだ経験から、日本初の退職代行サービス「EXIT」を2017年に開始。「退職で苦しむ人をなくしたい」という思いで、退職代行を日本に広め続けている。

日本では契約社員などいわゆる非正規雇用で働く労働者の割合が36.9%と年々高くなっており、非正規雇用での働き方が一般的なものになりつつあります。※

※参照:公益財団法人生命保険文化センター「生活基盤の安定を図る生活設計」

契約社員と正社員の違いは様々ありますが、その中の1つに退職が挙げられます。正社員などの正規雇用であれば辞めたい時に辞められる一方、契約社員などの非正規雇用は原則として辞めたい時に辞められないのです。

本記事ではなぜ契約途中での退職が原則できないのかを中心に、契約途中に退職できるケースやスムーズに退職するためにできることなどをご紹介します。

本記事を読むことで、契約途中で退職したいと思っている契約社員の方がどんなアクションを起こせばいいかがわかります。

契約社員は本来契約途中の退職はできない

結論から言いますと、契約社員は本来契約途中の退職はできません。その理由は会社側と契約社員側の双方が契約を結んでいるからで、契約を結んだ以上はそれを履行する必要があるからです。

そもそも契約社員とは「有期雇用契約」を結んでおり、一定の労働期間で契約を結んでいき、契約の更新を行います。その点、正社員は「無期雇用契約」となるため、退職する気がなければ場合によっては定年まで働き続けることもできます。

有期雇用契約を結ぶ以上は、契約期間中は原則働き続ける必要があり、無理に辞めようとすれば損害賠償請求を行われる可能性もあります。しかし、どうしても辞めざるを得ないケースもあるでしょう。そのケースについて次の項目で解説します。

契約社員が契約途中に退職できるケース

契約社員が契約途中に退職できるケースは大きく分けて3つあります。

  • 契約から1年以上が経過したケース
  • 会社と話し合って合意が得られたケース
  • 契約社員側にやむを得ない事情があったケース

契約期間中ではあるものの1年おきに契約更新を行うというのがポイントになります。またどうしても辞めざるを得ない状況になれば退職が認められるのも特徴的です。ここからは契約社員が契約途中に退職できるケースについてご紹介します。

契約から1年以上が経過したケース

契約社員が契約途中に退職できるケースの1つ目は、契約から1年以上が経過したケースです。

労働基準法第137条では有期雇用契約を結んだ労働者は、労働契約を結んだ初日から1年が経過してからは使用者への申し出を行うことでいつでも退職ができるということが記載されています。※

参照:e-GOV法令検索労働基準法

法律で定められているため、たとえ有期雇用契約を結んでいて、本来は契約途中の退職はできないとしても契約から1年以降であれば会社に退職の申し出を行えばいつでも退職できます。退職の申し出以降はいつ辞めることができるのかなど、その会社のルールに合わせるなどして実際に退職を目指します。

会社と話し合って合意が得られたケース

契約社員が契約途中に退職できるケースの2つ目は会社と話し合って合意が得られたケースです。

お互いに契約を解除することに合意すれば、たとえ契約から1年未満だったとしても退職することは可能であり、契約違反には問われません。ここでポイントになるのが会社の合意であり、合意してもらえなければ退職はできないため、いかに退職を認めてもらえるかが重要になります。

特に円満に契約社員を辞めたい場合、高圧的な交渉をすれば退職の申し出を拒否し、1年が経過するのを待つしかなくなるので、何らかの策を講じなくてはならなくなるのです。

契約社員側にやむを得ない事情があったケース

契約社員が契約途中に退職できるケースの3つ目は、契約社員側にやむを得ない事情があったケースです。

この場合のやむを得ない事情としては以下のことが挙げられます。

  • 職場で発生したハラスメントで被害に遭った
  • 病気やケガの影響で働けない状態になった
  • 家族を介護することになった

これらのケースであれば「やむを得ない事情」として認めてもらうことができます。一方で、正社員として働けるところを見つけて転職することになったというケースは「やむを得ない事情」として扱われるかはケースバイケースとなるでしょう。

その場合は会社との同意を目指すことになりますが、契約を急に解除するように求めるため、交渉はそれなりに難しくなっても不思議ではありません。

契約社員がスムーズに退職するための方法は?

契約社員がスムーズに退職を目指すにはどのようなことを行えばいいのか、その方法についてご紹介します。

  • 契約期間を気にせずにまずは会社に相談を行う
  • 就業規則を前もって確認しておく
  • 契約してから1年が経過するまであと少しなら待つのも手
  • 体調を崩した場合などはすぐに伝える
  • できるだけ忙しい時期は避ける
  • 一番確実なのは契約満了を待つこと

結局のところ、入念な準備を行い、不備がないように準備を重ねていくことが大切です。ここからは上記の項目についてそれぞれ解説していきます。

契約期間を気にせずにまずは会社に相談を行う

契約社員がスムーズに退職するための方法1つ目は、契約期間を気にせずにまずは会社に相談を行うことです。

契約してから1年が1つの目安となるため、「契約から1年が経過していないのに辞めるのは難しいのではないか」とついつい考えがちです。しかし、契約してから1年が経過しなくても会社側と合意できれば途中での退職は可能です。

そのため、まずは会社に相談を行っていくことがおすすめです。ここでの話し合いで退職に合意をしてくれればその時点で目的は達成されます。あとは途中で辞めることが許されるのかどうかという段階に入るでしょう。

就業規則を前もって確認しておく

契約社員がスムーズに退職するための方法の2つ目は、就業規則を前もって確認しておくことです。

正社員であれば、民法で退職の申し出を行った2週間後に退職できることが定められているので、就業規則でルールが決められていたとしても民法が優先されるため、何も気にしないで済みます。しかし、有期雇用契約を目指す契約社員の場合は就業規則がルールとなります。

退職の申し出を行うにはいつまでに申し出を行えばいいかなどを就業規則でチェックする必要があります。できる限りルールを守るというスタンスで臨むことで退職に関する合意を得られやすくなると言えるでしょう。

契約してから1年が経過するまであと少しなら待つのも手

契約社員がスムーズに退職するための方法の3つ目ですが、契約してから1年が経過するまであと少しなら待つのも手というものです。

会社側の合意が得られるかどうかを気にしながら交渉に挑むのは何かとストレスがかかります。裏を返せば、契約してから1年が経過してしまえば何の心配もいらなくなると言えるでしょう。なので、あと少し我慢すれば契約してから1年が経過するという場合にはそれまで待ってみるのも1つの手です。

例えば、人員の問題もあり、今辞めると言っても認められそうにないとなれば、無理やり辞めようとしてトラブルになるくらいであればある程度我慢するのも戦略としてはアリでしょう。待つのも大変ですが、無用なトラブルを避けられる点ではおすすめの一手です。

体調を崩した場合などはすぐに伝える

契約社員がスムーズに退職するための方法の4つ目は、体調を崩した場合などはすぐに伝えることです。

契約途中であったとしても、体調不良を理由として退職を申し出ること自体は十分に「やむを得ない事情」として認められるでしょう。例えば、精神疾患になる、何らかの病気が見つかるなどの場合にはすぐに伝えることがおすすめです。

やむを得ない事情には家族の介護などもあり、休職が可能であれば休職で対応したいという切り口で話を進め、休職は厳しいとなれば退職を選ぶという流れであれば退職まで話が進むでしょう。

できるだけ忙しい時期は避ける

契約社員がスムーズに退職するための方法の5つ目は、できるだけ忙しい時期は避けることです。

合意を得やすい状況で退職を切り出すのが理想的であり、合意の可能性を高めさせます。一方で繁忙期に退職の申し出を行えば、人手不足は明白なので認められない可能性は極めて高いと言えます。

また繁忙期の場合、退職の申し出をしても引継ぎに時間がかかるなど、周囲に多大な迷惑をかける場合があります。ですので、できるだけ忙しい時期は避けるのがおすすめです。

一番確実なのは契約満了を待つこと

契約社員がスムーズに退職するための方法の6つ目は、一番確実なのは契約満了を待つことです。

退職するのに一番確実な方法は契約満了を待つことです。例えば契約更新のタイミングで契約更新をしないで辞めるという判断もしやすいですし、キリがいいタイミングなので会社側も認めやすいでしょう。

途中で辞めるとなると人員の補充なども必要になりますが、契約満了のタイミングならば関係ありません。特に契約満了までが近い場合には、契約満了金がもらえるのであれば契約満了まで頑張ってみるのも1つの手です。

契約社員が契約途中に退職する際の流れ

ここからは実際に契約社員が契約途中に退職する際の流れについてご紹介していきます。

  • 退職の準備を進める
  • 直属の上司に伝える
  • 貸与品や保険証などを返却する
  • 場合によっては退職代行サービスを活用する

スムーズな退職を目指すために、それぞれ行っておくことが求められます。1つ1つ解説を行っていきます。

退職の準備を進める

契約社員が契約途中に退職する際の流れの1つ目は退職の準備を進めることです。

退職の準備を進める際には契約満了時以外であれば退職届が必要となるほか、いつまでに申し出をすればいいかも就業規則で決まっているのでチェックを行います。場合によっては引継ぎの準備をするなど、やれることはやっておきましょう。

転職先の検討を始めつつ、退職の準備を進めていけばスムーズに移行できるので、やれることは最大限やって備えることがおすすめです。

直属の上司に伝える

契約社員が契約途中に退職する際の流れの2つ目は直属の上司に伝えることです。

退職をする際には直属の上司に退職を伝えます。直属の上司に退職を伝えること自体は有期雇用契約を結んでいる契約社員も無期雇用契約を結んでいる正社員も同じことです。まずは直属の上司に伝えてから周囲の同僚に伝えていくことが求められます。

直属の上司に対して前もって退職の相談を行い、場合によっては退職をするかもしれないと事前に予告するだけで唐突な状態にはなりにくくなります。

貸与品や保険証などを返却する

契約社員が契約途中に退職する際の流れの3つ目は、貸与品や保険証などを返却することです。

会社側から貸し出された貸与品や保険証などは退職の段階で返却することになります。いつまでも持ち続けていればあとで返すように求められ、面倒なやり取りを退職後にしないといけなくなります。

出勤最終日に貸与品などをすべて返却できる状態なのが理想的であり、会社にも迷惑を掛けずに済むでしょう。

場合によっては退職代行サービスを活用する

契約社員が契約途中に退職する際の流れの4つ目は、場合によっては退職代行サービスを活用することです。

会社と退職の話をするのが嫌だ、うまく話を切り出す自信がないという場合におすすめなのが退職代行サービスです。退職代行サービスであれば淡々と退職の話を切り出してくれるので、スムーズな退職につながりやすくなります。

弁護士などが監修する退職代行サービスもあるので、円満に、ルールに従って退職まで目指せるようになり、おすすめです。

契約社員が退職する際にもらえるお金について

最後に契約社員が退職する際にもらえるお金についてご紹介していきます。契約社員は以下のお金をもらうことになります。

  • 失業保険
  • 契約満了金
  • 退職金

契約満了金や退職金など時にもらえないこともありますが、どちらかでももらえれば生活していく上で助かります。ここからは退職時にもらえるお金についてご紹介します。

失業保険

契約社員も雇用保険には入っているので、失業保険を受け取ることができます。会社側が契約更新を認めなかった場合は会社都合退職となるため、給付制限なしですぐに受給できます。

契約社員ならではのルールというよりも、労働者であれば誰しも与えられる権利と言えるでしょう。

契約満了金

すべての企業にあるわけではありませんが、契約満了金が存在します。3年間の契約期間を終えたらまとまった契約満了金がもらえることがあります。あともう少し我慢すれば契約満了金がもらえるとなれば続けないわけにはいかないでしょう。

就業規則などに契約満了金のことが書かれているので、自分の会社に契約満了金があるかどうかを事前に確かめることをおすすめします。

退職金

正社員だと当たり前な退職金ですが、契約社員に限るとかなりの少数派で、もらえないことがほとんどです。しかし、退職金も満了金ももらえる太っ腹な企業はちゃんとあるので、満了金と同じく、就業規則で確認できるものは確認していきましょう。

契約社員が円満に退職するなら退職代行の活用を!

誰しもが円満に退職したいものであり、トラブルを避けたいところです。また会社とのやり取りもストレスになると感じる人もいるでしょう。

そんな時におすすめなのが退職代行サービスの活用です。第三者が代わりに通知を行うことで退職までスムーズに運べる可能性があります。特に正社員としての働き口が見つかった時には退職代行サービスを使って確実に退職を目指すのがおすすめです。

退職代行サービス「EXIT」