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退職代行で損害賠償を請求される?事例7つとトラブル回避のポイント・対処法

退職代行で損害賠償を請求される?事例7つとトラブル回避のポイント・対処法

最終更新日 2023年7月13日

この記事の監修者
新野 俊幸(「退職代行」専門家)
自身が会社を退職する際に苦しんだ経験から、日本初の退職代行サービス「EXIT」を2017年に開始。「退職で苦しむ人をなくしたい」という思いで、退職代行を日本に広め続けている。

「退職代行を使うと損害賠償を請求される?」と不安な方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、退職代行を利用したことを理由に損害賠償を請求されることはありません。ただ、突然退職により会社に甚大な損失を与える場合などは、損害賠償を求められる可能性があります。

今回は、退職代行を利用した際に損害賠償を請求される事例とトラブルを回避する方法についてご紹介します。

本記事を読めば、損害賠償のリスクがある辞め方とトラブル回避方法について知れ、安心・安全に退職代行を利用できるでしょう。また後半では、損害賠償を請求された場合の対処法や退職代行の利用で考えられるさまざまなリスクと回避方法についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

退職代行を理由に損害賠償は請求されにくい!

「退職代行を利用した」という理由だけで、損害賠償を請求される可能性は低いです。従業員が退職代行で損害賠償を求められるのは、義務違反が原因で会社に明確な損害を与えてしまう場合です。

民法627上では、雇用期間の定めがない限り、労働者が会社に対して退職の意思を伝え、2週間経過すれば雇用契約が解除されると示されています。

参考:民法 | e-Gov法令検索

法律上、従業員が退職する際、上司と直接対面してやり取りせずに辞めても、基本的に会社に大きな損害が生じることはないため、退職代行は違法行為とはなりません。

しかし、有期雇用における期間途中の突然退職や、従業員としての義務違反により会社に実害を与えてしまう場合は、損害賠償を請求される可能性があります。

退職代行で損害賠償を請求される可能性がある事例7つ

退職代行を使って辞める場合、損害賠償を請求される可能性があるトラブルの事例についてご紹介します。

突然退職する前後のタイミングによっては、賠償責任を負うこともあるので、リスク回避のためにもチェックしておきましょう。

具体的な事例として、以下の7つがあげられます。

1.普段から無断欠勤が多い

退職代行を利用する際、無断欠勤を繰り返していた場合は、損害賠償を請求される事例があります。頻繁な欠勤により会社に迷惑がかかることで、業務に実害が生じるリスクがあるからです。

また、無断欠勤を繰り返し、会社から懲戒解雇扱いにされることもあります。懲戒解雇とは、規律違反を犯し社内の秩序を乱した従業員に対して会社が行う制裁のことです。

懲戒解雇は、退職金の不支給や減額となったり、離職票に記載されて転職が難しくなったりと、労働者にとって不利な状況に置かれてしまいます。

損害賠償や懲戒解雇とならないためにも、無断欠勤を繰り返しているタイミングで、退職代行サービスを利用することは可能な限り避けましょう。

ただ、職場のパワハラやセクハラなど、劣悪な人間関係や労働環境が原因であれば、事実を証明することでトラブルを回避できる可能性があります。

2.SNSなどで会社の名誉を傷つける

退職代行を利用する際、SNSなどに会社の名誉を傷つける書き込みをすると、損害賠償を請求される事例があります。不特定多数の人に書き込みが閲覧されると、会社のイメージや売上の低下につながるリスクがあるからです。

会社に対する愚痴や不満をネットに掲載すると、誹謗中傷と判断され、名誉毀損による損害賠償請求が認められることもあります。非公開のSNSアカウントであっても、他の誰かが投稿を拡散する可能性も否定できません。

そのため、退職代行を利用するならSNSに会社に関するネガティブな内容を投稿するのは避けてください。

3.自分の退職が原因で大きな損害を与える

退職代行の利用によって会社に大きな損害を与えた場合、損害賠償を求められる事例があります。

例えば、重要なプロジェクトを一任された状態での突然退職や、引き継ぎを完全に放棄する場合などです。業務をバックレることで会社の事業が上手く回らなくなり、売上低下や取引数の減少などの実害が生じると賠償責任を負う可能性があるでしょう。

退職代行で損害賠償を請求されないためは、自分しかできない業務を終わらせたり、簡易的な引き継ぎ書を残しておくなどの対策が必要です。

4.他の社員を引き抜く

退職代行の利用する際に他の従業員を引き抜いた場合、損害賠償請求を受ける事例があります。社内で一斉に従業員が退職すると、業務を回せなくなり経営に著しい支障が生じるからです。

法律によって退職の自由は認められていますが、会社に大きな損害を与える行為は違法行為に該当することもあります。

損害賠償を請求されないためにも、退職時における従業員の引き抜きは控えましょう。

5.会社の機密情報を持ち出す

退職代行を使って会社を辞める際に、機密情報を持ち出した場合、損害賠償を請求される事例があります。

競合他社に自社の顧客情報や仕入れ先リストなどの社外秘の情報が漏れると、売上減少につながるだけでなく、会社自体が損害賠償を受けたり社会的信用を失ったりするリスクがあります。また、従業員の住所やメールアドレスが漏洩すれば、個人情報保護法にも抵触するかもしれません。

そのため、退職代行で損害賠償トラブルが起きないためにも、機密情報を持ち出さず、取引先の名刺や仕事のメモなども、郵送して返却しましょう。

6.会社からの貸与品を返さない

退職代行を利用する際、会社からの貸与品を返却しなければ、損害賠償を請求される可能性があります。会社に貸与品を意図的に返さないことで、個人の不正利用や情報漏洩の疑いをかけられるかもしれません。

そのため、退職代行を利用する際は、正式な退職日までに貸与品は会社に郵送しましょう。郵送を使うことで、出社せずに社内のメンバーと出会うことなく返却できます。

7.会社の従業員としてトラブルを起こす

退職代行を利用する前にトラブルを起こしていた場合、会社から損害賠償を請求される可能性があります。会社に実害を与えるトラブルを起こすと、退職代行を利用してもスムーズに退職できないでしょう。

高額な会社の貸与品を破損したり紛失したりした従業員は、業務に支障が生じたとして弁償代や損害賠償請求を受けることもあるのです。

退職時に会社の損害賠償請求が認められた判例と請求金額

従業員の退職に対して、会社の損害賠償請求が認められた判例と請求金額は、以下の通りです。

判決と請求金額 元従業員に対して「70万円」の支払いを命じた。
事件の概要 取引先との契約履行のため、元従業員を採用したが、入社後病気を理由に欠勤し辞職した。

取引先との契約は解除され、会社は1,000万円の利益を失ったと主張し、元従業員に対して200万円を支払う念書を取り付ける。損害賠償を求める。

裁判所の判断 経費を差し引けば、1,000万円ほどの実損額はなく、会社の労務管理にも問題がある。

元従業員の対応にも問題があると判断し、「200万円の1/3」の支払いが妥当。

参考:厚生労働省 退職 – 裁判例

基本的に、労働者は退職の自由が認められていますが、辞め方によっては損害賠償請求を受けるのです。

退職代行で損害賠償のトラブルを回避するポイント

退職代行を利用する際、損害賠償のトラブルを回避するポイントをご紹介します。

  • 安いだけの怪しい業者に依頼しない
  • 可能な限り引き継ぎをしておく
  • 事前に就業規則を確認しておく

損害賠償請求のリスクを抑えるためにも、実績が豊富で安心できる業者に依頼することや、可能な限り就業規則を守り、会社に迷惑がかからないタイミングで退職することが大切です。

ここからは、上記3つのポイントを詳しく解説します。

安いだけの怪しい業者に依頼しない

退職代行を業者に依頼する際は、格安だからという理由だけでサービスを選ぶと、損害賠償などのトラブルに発展するリスクがあります。

料金が安くても実績が不明瞭なサービスは、悪徳業者が運営している可能性があり、会社との交渉が無効・退職が失敗することもあります。

場合によっては、料金を支払った後に連絡が取れなくなり、会社に退職の意思を伝えてくれないかもしれません。結果的に無断欠勤となり、懲戒解雇や損害賠償を請求されるリスクがあるでしょう。

損害賠償などのトラブルを回避するためにも、退職代行サービスを選ぶ時は料金設定だけでなく、実績や口コミ・評判の事前チェックが大切です。

下記ページでは、格安で実績が不明瞭な退職代行業者に依頼した際のトラブルについてご紹介しているので、気になる方はぜひご覧ください。

退職代行の最安値は5000円じゃない!安い・実質無料のおすすめサービス

 

可能な限り引き継ぎをしておく

退職代行を利用する際は、可能な限り引き継ぎをしておくことで、損害賠償を請求されるリスクを抑えられます。引き継ぎをしておけば、突然退職で会社に与える損害が小さくなるからです。

社内に出向いて引き継ぎをしたくない人は、退職代行を使う前に引き継ぎ書を作成することをおすすめします。引き継ぎ書を残しておくだけでも、法的にも損害賠償を求められる可能性が低くなります。

例えばクライアントとの商談状況や資料の保管場所などをメモとして、残しておきましょう。

下記ページでは、退職代行における引き継ぎについて詳しく解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。

退職代行なら引き継ぎしなくて良い?損害賠償を請求されるケースやトラブル回避方法

事前に就業規則を確認しておく

退職代行の利用前は、事前に就業規則を理解しておくことが重要です。可能な限り就業規則に沿って退職すれば、損害賠償のリスクを抑えられます。

一般的に、就業規則には退職の手続きやルールが記載されており、「退職の申し出は1か月以上前から」などが例としてあげられます。

就業規則に沿った行動を取れば、損害賠償を求められる可能性が低く安心して退職代行を利用できるでしょう。

ただ、民法627条では雇用期間の定めがない限り、労働者は2週間前までに申し出をすることで、退職できると定められています。就業規則よりも民法の方が法的効力が強いため、基本的に会社が決めた申し出期限を守らなくても、2週間経過すれば辞めることが可能です。

退職代行の利用後に損害賠償を求められた場合の対処法

退職代行の利用後、会社から損害賠償を求められた場合の対処法として、以下の3つがあげられます。

  • 賠償責任のある根拠や事実があるのか確かめる
  • 労働組合に相談する
  • 弁護士に相談する

退職代行の利用で損害賠償を求められた場合、焦らずに根拠や事実を確認することが重要です。賠償責任を自分が負うべき根拠がなければ、会社の要望に応じる必要はありません。

自分で判断がつかなかったり損害賠償請求の減額を交渉したい場合は、弁護士や労働組合に相談することで解決できるでしょう。

退職代行における損害賠償以外に考えられるリスクと回避方法

退職代行において、どれも可能性は低いですが損害賠償以外にもリスクはあります。具体的なリスクと回避方法は、以下の通りです。

  • 退職金が不支給・減額となる
  • 有給休暇を消化できない
  • 同じ業界や地域に転職しづらくなる

勤め先の就業規則に退職金規定がなかったり支給条件を満たしていない場合、不支給や減額となる可能性があるので、事前に就業規則をチェックしておくことが重要です。

有給休暇を消化することで即日退職することができます。ただ、退職時の時季によっては、有給休暇の日程をずらされるリスクがあるので、会社の繁忙期に退職代行を利用することは避けましょう。

また可能性は低いですが、退職代行を利用した経歴が会社から漏れることがまれにあります。同じ地域や業界に転職しづらくなる場合があるので、会社が利用経歴を漏らさないよう業者に念押ししてもらうか、どうしても気になる場合は異業種や別の地域で転職活動にチャレンジしましょう。

弁護士監修のEXITなら退職代行における損害賠償を防ぎやすい!

今回は、退職代行で会社から損害賠償を請求される事例とトラブルを回避するポイントについてご紹介しました。

退職代行の利用自体は、損害賠償請求の対象とはなりません。ただ、就業規則に違反する行為や会社に大きな損害を与える辞め方をすると、損害賠償を求められる可能性があるので注意しましょう。

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