銀行員を辞めたい…退職したい理由や後悔しないためのポイント、体験談も紹介
最終更新日 2023年9月28日
銀行員は高年収が期待できる職業であり、毎年就活の人気ランキングで上位に来るなど、いつの時代も人気があります。しかし、実際に入ってみると銀行員の仕事はかなりきつく、高年収であっても辞めたいと感じてしまう人が少なくありません。
なぜ「銀行員を辞めたい…」と感じるのかですが、そこには銀行員だからこその悩みや仕事の内容、働き方改革と逆行している現実などがありました。とはいえ、高年収であることも事実なので、もしも辞める場合は慎重な行動が求められます。
本記事では、銀行員を辞めたいと思う方、今後銀行員になりたい方にとって参考になる、退職したい理由や退職を後悔しないためのポイントなどをまとめています。
ぜひ最後までご覧ください。
銀行を辞めたいと感じる理由
高年収が期待できる銀行員の仕事を辞めたいと感じる理由として、主に6つ挙げられます。
- 長時間労働が一般的
- クレームや顧客対応が辛い
- 目標が高くストレス
- キャリアパスが見えない
- 年功序列が目立つ
- 異動や転勤が多い
働き方改革が叫ばれる中で、労働時間が多いことや意外と異動や転勤が多いことなど、働く前のイメージと食い違う面もあります。また最初のうちは窓口勤務が多く、クレーム対応に苦慮することも。
ここからは銀行を辞めたい理由について深掘りしていきます。
長時間労働が一般的
1つ目は長時間労働が一般的になっている点です。
銀行と言えば昼3時には窓口が閉まるので夕方5時ぐらいには帰れるイメージを持っている方がいるかもしれません。しかし、閉店後に事務作業を行い、伝票などのチェックをする中で、伝票と勘定が1円でも食い違うと、その原因が判明するまで帰ることができません。時に夜遅くまで作業が行われることもあります。
他にも銀行では末尾が0と5の日、いわゆる「五十日」が忙しくなるほか、月末や年金支給日なども窓口が大混雑します。すると、閉店後に行う作業がそれだけ増え、間違いも起こりやすくなるため、結果的に長時間勤務になりがちです。
他にも資産運用の営業や融資など様々な業務を担当する銀行員も、営業などを行っていく中で自然と夜8時、夜9時まで働くことになります。休日に相談会を開催する際には休日出勤も行うため、長時間労働が当たり前の状態となり、仕事がきついから辞めたいと思うようになるのです。
クレームや顧客対応が辛い
2つ目はクレームや顧客対応が辛いという点です。
銀行では振り込め詐欺などに巻き込まれないよう、多額のお金を預金から引き出す際には必ず本人確認を行います。ATMですぐに預金を引き出せないため、このルールを知らない方たちは「融通がきかない!」とばかりに怒りだし、クレームを入れます。
またATMでの操作がおぼつかない高齢者の方や窓口の待ち時間が長いとイライラする方など、様々な利用客からのクレームが毎日のようにあり、その都度、平謝りをすることになってしまうことがあります。
一方で、経営の先行きが不透明な会社から融資を懇願され、断りの連絡を入れるなど、時に顧客に対して辛いことを言わなければならない場面も。こうした場面に直面すると、銀行員も精神的にきつくなり、銀行員を辞めたくなるのです。
目標が高くストレス
3つ目は目標が高くストレスになりやすい点です。
銀行員はノルマを与えられることが多く、そのノルマが高く、クリアできないと上司からきつく叱られてしまいます。せっかく高い目標をクリアしても、様々な理由をつけられてノルマの再設定が行われるほか、翌月以降のノルマが上がってしまい、余計に苦しくなってしまうことも。
目標をクリアするために時に強引なことをもしなければならなかったり、友人や家族などに契約してもらったりすることがあるので、それがストレスになりがちです。目標は常に高く設定されがちなので、その目標がストレスとなることから、逃れたい気持ちが出やすくなります。
キャリアパスが見えない
4つ目はキャリアパスが見えないことです。
銀行に総合職で入ると、ほぼすべての人が窓口業務を経験するために全国の支店に配属されます。数年間の勤務を経て異動となりますが、この異動で本部に行く人もいれば別の支店へ配属される人もいます。
実際に裁量権が与えられるまでに時間がかかるほか、自分のやりたい仕事ができるかどうかがわからないなど、キャリアパスがなかなか見えてこないことがあります。
一方、配属先や上司によってキャリアに影響が出てしまうケースがあるなど、運によって左右されるのではないかという懸念もあるなど、せっかく銀行の総合職として就職できても、人間関係で大きな影響が出てしまうこともあり、その点も不安になる要素と言えるでしょう。
年功序列が目立つ
5つ目は年功序列が目立つ点です。
先ほどもご紹介した通り、銀行では新卒社員はほぼすべての人が窓口業務を数年間経験します。そのため、20代は窓口業務をこなすことに費やされ、30代以降になってから管理職への道が開かれることがほとんどです。一般企業では20代で管理職になれるケースが多い中、銀行は年功序列が目立ちやすくなっています。
もちろん銀行によっては年功序列のイメージを壊そうと30代半ばでも支店長を任せる銀行が出てくるなど、全ての銀行が年功序列を守っているわけではありません。ただ若くして管理職ができるのはあくまでも一部に過ぎず、若手がいきなり抜擢されるような人事は少ないです。
令和に入り、実力がある人が責任のあるポジションに就いて仕事をこなしていくことが当たり前の時代です。そんな時代にいまだに年功序列であることへの失望感を持った銀行員が辞めたくなるケースは十分にあり得ます。
異動や転勤が多い
6つ目は異動や転勤が多いことです。
銀行員はおおむね2年ないし3年のペースで異動や転勤を強いられます。同じ場所で勤務をし続けると横領などが起きかねないという「銀行ならではの事情」が大きな理由です。そのため、銀行員になると頻繁に異動や転勤を経験します。
家族を持つと異動や転勤の負担はより増してしまい、時に単身赴任を強いられることも。今のコミュニティでうまく人間関係を構築していた子どもや奥さんが、新たなコミュニティでうまくいかずに精神的にまいってしまうケースもあり得ます。
家族が異動や転勤に対してストレスを感じるようになり、「家族を大切にしたい」、「家族との時間を持ちたい」などの理由から退職を決断する人は少なくありません。
銀行員を辞める際に後悔しないためのポイント
実際に銀行員を辞める場合に、退職を後悔しないようにするためのポイントが3つ存在します。
- 退職理由や動機などの自己分析を行う
- 業界の情報収集を行う
- 家族や友人などに相談してみる
「あの時退職しなければよかった…」と後悔しないためには、十分な下調べや銀行員から別業界への転職事情、そして、退職の判断は正しいのかどうかを第三者に尋ねてみることが大切です。いずれにしても「勢いで辞めないこと」が重要と言えます。ここからはそれぞれのポイントについて解説します。
退職理由や動機などの自己分析を行う
1つ目は退職理由や動機などの自己分析を行うことです。
そもそもなぜ銀行員を辞めたいのかという動機を追求し、本当に退職しなければいけないほどなのかをしっかりと自己分析する必要があります。自分のやりたい仕事ができないから辞めたい場合、この仕事がやりたいという申し出をしてからでもいいのではないかなど、退職に至らない方策を考えられるでしょう。
また退職理由についても、もっともな理由がなければ引き止められる可能性は高いです。いずれにしても、勢いで退職を考えないよう、慎重に退職理由や動機の自己分析を行い、明らかに勢いで辞めたいと思っている場合に考え直すことができます。
勢いで辞めてしまったら、その後、どれだけ後悔しても取り返しがつきません。そうならないためにも、誰しもが納得する退職理由や動機を見出すことが求められます。
業界の情報収集を行う
2つ目は業界の情報収集を行うことです。
金融業界を取り巻く環境は刻々と変化しています。現状はメガバンクが強く、地方銀行は厳しくなりやすいという傾向にありますが、マイナス金利からの転換やインフレ状況などによってはメガバンクであったとしても、状況がどのようになるかはわかりません。
業界に関する情報収集を行うことは、今後どのような動きが起こりやすいかを予測することにつながるほか、効果的な手段を講じていくことにもつながります。安直な行動を抑制できるだけでなく、転職先に関しても条件のいい場所を見つけやすくなるでしょう。
情報収集を行うことは、無駄な行動を減らせることはもちろんのこと、よりよい条件で働けることにもつながるため、積極的に行うことをおすすめします。
家族や友人などに相談してみる
3つ目は家族や友人などに相談してみることです。
奥さんがいる場合であれば奥さんに相談することは必須です。銀行員は高年収で、社会的信用も高いため、ローンを組みやすいという現実があります。銀行員を辞めることはその状況を捨てることを意味するため、奥さんも無関係とは言えません。
一方で本人だけで退職の判断を決めようとすると、冷静な判断がしにくく、早まった判断をしてしまう場合があります。早まった判断をしないようにするためにも家族や友人などに相談して、冷静な視点から正常な判断かどうかを見てもらうことが大切です。
銀行員を辞めたい時の対処法
実際に銀行を辞めたい場合にはいくつかの対処法があります。
- 異動願いを出す
- 業務量の調整を相談する
- 辞めて転職する
勢いで辞めてしまうと後になって後悔する可能性が出てくるため、まずは別の職場で再スタートを切ることを考えたり、業務量を減らせて折り合いがつくようなら業務量の調整を持ち掛けたりするのも1つの手段です。それでもきついなら辞めるという形にすれば納得もしやすいでしょう。
ここからは銀行員を辞めたい時の対処法についてご紹介していきます。
異動願を出す
1つ目は異動願を出すことです。
今の仕事に不満がある、もしくは今後この仕事を続けるのに不安がある場合、別の業務への異動をお願いする手があります。銀行によっては、「この仕事がやりたい!」と異動願を出せる仕組みが用意され、実際にその要望が通ることも。異動願を出しても咎められない文化があれば、思い切って異動願を出してみるのがおすすめです。
一方で、今の仕事に不満があると言われても、「ではやりたい仕事とは何か」と指摘された際にうまく答えられないと結果的に評価を下げるだけになってしまいます。異動願を出すにしても、「自分にはこういう能力がある」、もしくは「自分は将来こんな仕事をやりたい」など、異動を願い出る真っ当な理由を用意しておくことが求められます。
業務量の調整を相談する
2つ目は業務量の調整を相談することです。
銀行員が抱える業務量は時に多くなりやすく、その人にとってのキャパシティがオーバーしてしまうことがあります。業務量が多いと感じたら上司に相談して業務量を調整してもらうことをおすすめします。
相談する際にはどれだけの業務量があるのか、実際にどれくらいにしてほしいのかを伝える必要があります。また、誰しもがその業務量をこなしているのか、自分だけが特別多いのかなど、具体的なこともリサーチし、真っ当な提案をしているかどうかをチェックすると調整を申し出た際にも受け入れられやすくなるでしょう。
辞めて転職する
3つ目は、銀行員を辞めて転職することです。
異動や業務量の調整などで対処できれば問題ないですが、自分自身の努力ではどうにもならないこともあります。その場合には転職を行い、よりよい条件の職場を見つける方が無難であり、ストレスも軽減されるでしょう。
また銀行員時代のスキルが転職先で活かされれば、人材として重宝されやすく、キャリアアップにもつながるでしょう。できれば銀行員時代の経験が重宝される職場を探すのがよく、銀行ではないものの同じ金融業界に転職するのもアリでしょう。
実際に銀行員を辞めた人のリアルな体験談
実際に銀行員を辞める決断をする人は日々存在します。ここからは実際に銀行員を辞めた人の体験談をご紹介します。
メガバンクを辞めた人の話
10年以上メガバンクに勤務し、ファイナンシャルプランナーとしても活躍していた男性は、退職すべきかどうか決断を迷う中で最終的に退職を決断しました。
銀行員を辞めた理由は様々なことがストレスになるという理由です。仕事でのストレスだけでなく、上司や同僚との人間関係でのストレス、あとは事務作業でのストレスなど、様々なことでストレスを感じやすく、自由に仕事をさせてもらえる環境ではなかったとのこと。
また家族ができ、子どもが楽しそうに小学校に通い、お友達と仲良くする様子を見る中で、仮に異動となれば家族と一緒に転勤するか、自分だけが単身赴任をするかを選ばなければならず、どれも強いストレスになることは避けられないと感じていました。
都市部では金融系の仕事が多く、自らはファイナンシャルプランナーとしての資格も持ち、場合によっては独立も視野に入れればいいと考えることができ、奥さんからの後押しもあったため、銀行員を辞める決断ができたのです。
銀行員を辞めたい方におすすめの職種・業界
銀行員を辞めたいと思っている方にとって、その後の仕事は何がいいのかを考えることが大切です。今回ご紹介するのは、4つの職種もしくは業界です。
- 地方銀行員
- ファイナンシャルプランナー
- 企業の経理・財務部門
- 不動産業界
どの仕事もこれまで培ってきた経験やスキルを活かせるものばかりです。業務量が小さそうな仕事やスキルを磨いて独立できそうなものまで様々。ここからは4つの職種・業界について解説します。
地方銀行員
1つ目は地方銀行の銀行員です。
地方銀行では地域のコミュニティに根ざした営業を行っていくため、自然と営業範囲は限定され、濃密なコミュニティの中で仕事を行います。しかも、地方銀行とはいえ、その地域にとっては超有名な銀行なので、その地域における社会的信用は相当高いため、今後そのエリアで暮らし続ける場合に十分なキャリアアップとなるでしょう。
ファイナンシャルプランナー
2つ目はファイナンシャルプランナーです。
銀行でファイナンシャルプランナーの資格を得る人も多く、銀行員時代は資産運用などを提案する際にファイナンシャルプランナーの資格があると信用されやすいため、一生懸命勉強して資格を得た人が多いです。
一方でファイナンシャルプランナーの肩書があれば、金融に関連した仕事を見つけやすく、重宝されやすいことから、独立した後のことを考えてファイナンシャルプランナーを目指すのがおすすめです。
企業の経理・財務部門
3つ目は企業の経理・財務部門です。
ほぼすべての銀行員は視点での窓口業務やそれに関連する事務作業を経験します。これらの事務作業は経理の仕事にもつながりやすいため、企業の経理なども務まりやすいと言えます。
しかも、毎日伝票と勘定を突き合わせて1円も合わないから合うまで計算し直すということもせずに済みます。もちろんノルマもないでしょう。銀行員時代と比べればゆっくりと仕事ができるため、企業の経理・財務部門は銀行員からの転職先としておすすめできます。
不動産業界
4つ目は不動産業界です。
不動産をすべて現金で買う人は少なく、そのほとんどは住宅ローンを活用します。その住宅ローンを組む際には担保をどうするかなど、色々とシビアな局面が出てきます。また銀行で使われる用語と不動産業界で使われる用語は意外と共通しているのです。
金融業界で培った経験やスキルが不動産業界でも通用しやすく、宅建など不動産業界で重宝する資格を得れば「鬼に金棒」となり、大きなキャリアアップにもつながりやすいでしょう。
銀行員を辞めたいけど退職を引き止められそうなら退職代行がおすすめ
「仕事がきついから銀行員を辞めたい…」と思い、退職の申し出を行っても、様々な理由をつけて退職を思いとどまるように上司から求められるかもしれません。どうしても退職をしたい場合は退職代行サービスの活用がおすすめです。
退職代行サービスでは、当事者に成り代わって退職に向けての連絡を企業側と行い、うまく折り合いをつけてスムーズな退職ができるようにしていきます。相手が銀行であったとしても、退職代行サービスを活用することは可能です。
一方で、銀行員は高年収が期待でき、年収1000万円も普通に狙える仕事です。本当に退職した方がいいのか、その前にやれることをやって、辞めなくても済む方法がないかを模索したり、様々な人に相談したりして、最終的に後悔しないように決断していくことが求められます。
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