傷病手当金を受け取るのに診断書は不要ってホント?必要な書類や診断書が必要なケースなどをご紹介!
病気やケガをして、働けなくなった際、傷病手当金を受け取ることで当面の生活を守ることができます。一方、傷病手当金を受け取るには医師の記入欄があるなど、医師からのお墨付きが必要です。そのお墨付きの手段として診断書が必要と思われがちですが、実際は傷病手当金を受け取るのに診断書は必要ありません。
では、絶対に診断書は休職の際には必要ないのかと言われると実はそうとも言えないのです。傷病手当金を受け取るには単に申請書を出せばいいのではなく、会社の同意も必要となるからです。
本記事では、傷病手当金を受け取るのに診断書は不要で大丈夫なのかをテーマに、必要な書類や診断書が必要なケースなどをご紹介していきます。
本記事を読むことで、診断書がどんな時に必要なのかがわかります。ぜひ最後までご覧ください。
傷病手当金を受け取るのに診断書は不要!
結論から言いますと、傷病手当金を受け取るのに診断書は必要ありません。
- 傷病手当金を受け取るには傷病手当金支給申請書が必要
- 傷病手当金支給申請書の中に医師が記入する項目がある
- 医師が記入する項目を勝手に書き込んだら法律違反に
その代わり、医師の意見は必要で、申請書に書き込むことが求められます。ここからは書類に関連した話題についてご紹介します。
傷病手当金を受け取るには傷病手当金支給申請書が必要
傷病手当金を受け取るのに必要なのは診断書ではなく、傷病手当金支給申請書です。傷病手当金支給申請書を提出し、その内容を、現時点で加入している健康保険組合が審査を行って、認められることで傷病手当金を受け取ることができます。
その申請書には添付書類を付ける場合がありますが、基本的に診断書は含まれていません。ですので、傷病手当金を受け取る場合には診断書が絶対に必要とは限らないので、無理にでも用意する必要はないでしょう。
傷病手当金支給申請書の中に医師が記入する項目がある
その一方、本当に傷病手当金が必要な状況にあるのかを健康保険組合は審査しなければなりません。そこでポイントになるのが傷病手当金支給申請書の中にある医師が記入する項目です。
医師が記入する項目は「療養担当者用」として用意されており、患者の名前や傷病名、初診日などを記入していくほか、労務不能と認めた期間なども書いていきます。そして、記入した項目に間違いがないことを署名と捺印をすることで証明します。
診断書こそ必要ありませんが、この記入欄そのものが事実上の診断書のような意味合いを見せていることが言えるでしょう。
医師が記入する項目を勝手に書き込んだら法律違反に
傷病手当金申請書を出す際に本来医師が記入すべき部分を、休職する本人が書いてしまうことがまれにあります。単に間違っただけならば、新たに書き直してもらうだけでいいですが、何らかの理由から医師が傷病手当金申請書への記入を拒んだ場合、何とかして傷病手当金を受け取ろうと悪意を持って本人が記入してしまうことがあるかもしれません。
この場合には有印私文書偽造などの罪に問われかねないため、絶対にやめましょう。過去に傷病手当金を不正受給したケースでは、医師の名前や診療科などを調べ、医師の認印を購入するなどして偽造を行った公務員が有印私文書偽造や詐欺などの罪で刑事告発されています。参照:郡山市「療養休暇等を不正に取得していた元職員の刑事告訴について」
上記のケースでは傷病手当金の審査を行った組合から書類に不審点があるという連絡があり、そこから調査が行われて発覚しました。
傷病手当金を受け取るのに診断書はなぜ利用できないのか
傷病手当金を受け取る際になぜ診断書は利用できないのか、気になる方も多いのではないでしょうか。診断書では傷病手当金における医師の記入欄の代用はできないとされています。
- 診断書だけでは傷病手当金支給申請書にある医師の記入欄を埋められないから
- 診断書は発行日より未来の日付で労務不能であることを記載するから
- 診断書よりも傷病手当金意見書の方がかなり割安
結論から言いますと、診断書だけでは傷病手当金申請書の記入欄を埋めるまでには足りないということです。ここからは関連する情報を中心に掘り下げていきます。
診断書だけでは傷病手当金支給申請書にある医師の記入欄を埋められないから
診断書が傷病手当金の申請書の代用ができない要因としては、診断書だけでは医師が書く記入欄の項目を埋められないことが大きいです。
医師の記入欄には労務不能と認めた期間や初診日などがありますが、診断書ではそこまで細かなことは書かないため、診断書だけでは不十分と言えます。
診断書は発行日より未来の日付で労務不能であることを記載するから
また診断書には、例えば2か月間休職を必要とするなど、一定期間にわたって労務不能であるということが書かれています。しかし、傷病手当金の申請書には実際の労務不能の期間を示す必要があるため、診断書ではその証明ができません。
そのため、診断書が傷病手当金の申請書における医師の記入欄を埋めることはできず、代用ができないというわけです。
診断書よりも傷病手当金意見書の方がかなり割安
そもそも診断書で代用する前に、診断書の費用と傷病手当金の申請書に医師が意見を記入してもらう費用がいかに異なっているかを知ると、診断書で代用しようとは思わなくなるでしょう。
診断書の費用は基本的に自己負担となり、値段設定は病院で自由に判断できます。安くても2000円程度、高い場合だと1万円ぐらいすることがあります。一方で傷病手当金の申請書に医師の意見を書いてもらう費用は保険の対象となり、3割負担で済みます。
厳密には「傷病手当金意見書交付料」と呼ばれるもので300円程度で済みます。診断書で代用する必要は全くなく、「傷病手当金意見書交付料」を支払えば問題はありません。
傷病手当金を受け取るほかに診断書が必要になるケースも
傷病手当金を受け取るのに診断書が必要ないことは明らかです。その一方で診断書が必要になるケースもあります。
- 休職する際に診断書が必要になる
- 診断書に書かれた期間が休職期間となることが多い
- 診断書を書く医師に傷病手当金意見書を書いてもらう
会社に対して休職する旨を伝え、傷病手当金の申請をするには会社側の同意が必要不可欠です。いわば会社に実情を伝える際に診断書が必要になります。ここからは診断書が必要なケースをまとめました。
休職する際に診断書が必要になる
診断書が必要になるケースの1つ目は、休職する際に診断書が必要になることです。
厳密には会社に休職を申し出る際に絶対に診断書が必要になるわけではありませんが、診断書があった方がスムーズに事が運びやすくなります。本当に労務不能の状態にあるのかを会社側としては確かめたい気持ちがあるため、休職の際に診断書を求めていく形になります。
そのため、休職を申し出る前に医師の診断を受け、休職の必要性が出てきたら診断書を作ってもらって、それを会社に持参する形が最もスムーズな流れになりやすいでしょう。
診断書に書かれた期間が休職期間となることが多い
診断書が必要になるケースの2つ目は診断書に書かれた期間が休職期間となることが多いことです。
会社側との話し合いではどれだけの期間にわたって休職するのかを決めていくことになります。その際に診断書に書かれていることがそのまま反映されることがほとんどです。例えば、この日から療養を開始するという指定がある場合には、指定された日から休職することになります。
指定がない場合には診断書を会社に出した翌日から休職がスタートする形が理想的です。診断書に書かれた期間が休職期間となりやすい以上、診断書の中身がなかなかに重要と言えます。
診断書を書く医師に傷病手当金意見書を書いてもらう
診断書が必要になるケースの3つ目は、診断書を書く医師に傷病手当金意見書を書いてもらうことです。
傷病手当金の申請において医師の意見記入欄を書くのは基本的には主治医になります。主治医が意見記入欄への記入を断った場合には会社の産業医が書いてもいいことになってはいますが、できれば主治医に書いてもらうのが理想的です。
診断書を書いてもらった医師に、傷病手当金の意見記入欄に書いてもらうのが一番確実であり、間違いは起こりにくいでしょう。
傷病手当金を受け取るまでの診断書請求を含めた流れ
ここからは傷病手当金を受け取るまでの診断書請求を含めた流れについてご紹介していきます。
- 病院で休職の相談を行い診断書を書いてもらう
- 診断書を職場に持参して休職を願い出る
- 会社から傷病手当金の申請書を受け取る
- 医師の意見記入欄などを埋めて会社に提出する
- 健康保険組合が審査を行い傷病手当金の支給が決まる
この一連の流れで気を付けるべきなのは、どこかで不備があって再提出を強いられるケースを避けることです。そのため、1つの項目も虫ができないことは間違いありません。ここからは傷病手当金を受け取るまでの診断書請求を含めた流れに関して解説します。
病院で休職の相談を行い診断書を書いてもらう
傷病手当金を受け取るまでの診断書請求を含めた流れの1つ目は、病院で休職の相談を行い診断書を書いてもらうことです。
精神疾患などのケースでは、休職したいという労働者からの言葉を受けて、何か月ぐらい休みたいかなどの要望を聞いた上で最終的な判断を診断書に記載していきます。最近は医師の方が患者に寄り添って、どれくらい休みたいかをヒアリングすることもあります。
診断書の中身が休職期間に直結することは医師もわかっています。そのため、事前に診断書に書くことを話し合いながら決めていくような形になりやすいでしょう。
診断書を職場に持参して休職を願い出る
傷病手当金を受け取るまでの診断書請求を含めた流れの2つ目は、診断書を職場に持参して休職を願い出ることです。
会社からすれば診断書を持参して休職を願い出る状況は様々な不安や今後の準備などをしなければならないため、突如として様々な対応を強いられます。診断書がある時点で休職の必要性があることは確かであり、会社としては休職に向けて動き出さなくてはなりません。
休職し、傷病手当金を受け取ることになれば、社会保険料や住民税などの天引きなどの作業もしていくことになるため、事務的な仕事は増えるでしょう。
会社から傷病手当金の申請書を受け取る
傷病手当金を受け取るまでの診断書請求を含めた流れの3つ目は、会社から傷病手当金の申請書を受け取ることです。
傷病手当金の申請書は自ら記載しなければならない部分もあるため、その部分の記入はまず必要です。その上で医師に意見を書いてもらう項目も休職する当人が依頼を行うことになります。その後、会社側が記入する項目に関しては、その部分だけを空欄にして会社側に渡すことになるでしょう。
医師の意見記入欄などを埋めて会社に提出する
傷病手当金を受け取るまでの診断書請求を含めた流れの4つ目は医師の意見記入欄などを埋めて会社に提出することです。
実際に傷病手当金の申請書を出すのは会社です。もちろん本人が申請書を出すこともできますが、会社側が傷病手当金の申請書の提出を拒んでいるケースです。しかしながら、従業員が申請書を出した時点で会社側には証明を行う義務が生じます。この義務は退職してからも生じることになるでしょう。
健康保険法施行規則第33条には、正当な理由がなければ拒めないことが記載されています。では、拒むことができる正当な理由とは何かですが、傷病手当金を不正受給しようとしているケースなどが該当するほか、労働災害の申請を行っている場合などが挙げられます。
健康保険組合が審査を行い傷病手当金の支給が決まる
傷病手当金を受け取るまでの診断書請求を含めた流れの5つ目は、健康保険組合が審査を行い傷病手当金の支給が決まることです。
最終的には健康保険組合が審査を行う中で傷病手当金の支給が決まることになります。ここで不備が見つかれば再び書類が戻されて、不備を正してから再び申請することになるので、受け取るまでに相当な時間がかかります。そうならないためにも不備がないようにしていくことが必要です。
傷病手当金を受け取るには診断書を会社に見せて休職を認めてもらうことが重要
傷病手当金を確実に受け取るためには、診断書を会社に見せることで休職を認めてもらうことが重要と言えます。
例えば、診断書を見せたにもかかわらず、会社側が休職を認めなかったとします。もしもその後に従業員が何らかの理由で症状を悪化させてしまった場合にその責任を取るのは会社側です。診断書が出された時点で休養の必要性が生じるため、休職の申し出があれば認めざるを得ないのです。
裏を返せば、診断書がない中で休職が認められるかどうか確実とは言えないのです。診断書は医師が書くため、書類としての正当性がありますが、その診断書がないと、「もしかするとウソをついているかもしれないと思ってしまった」と主張すれば、責任を逃れられる可能性も考えられます。
結局のところ、休職に関する法的なルールはないので、自由に決められるのが実情です。だからこそ、診断書を用意して確実に休職を目指していくことが大切です。
休職後も体調が芳しくないようならば退職代行サービスを活用して退職を目指す
休職を行うことで、しっかりと休むことができ、その中で社会復帰もしくは復職を目指せます。その時点で退職を考えていなかったとしても、休んでいく中で退職を検討していくケースも出てくるでしょう。
特に休職を重ねてもなかなか体調が回復しない、そして、当初の休職期間では体調の回復が見込めないという場合に退職せざるを得ない状況になる場合があります。そんな時は退職代行サービスを活用していくことをおすすめします。
退職代行サービスを活用していくことをお勧めする理由は、事務的な手続きを任せられる点にあります。精神疾患などを抱えて休職している場合に退職の申し出をするのもなかなかのストレスです。回復途上にあると罪悪感などもあり、退職の申し出1つをとっても罪悪感を感じやすくなります。
退職代行サービスを活用していくことで罪悪感は多少ありながらもそこまでの負担はかかりにくくなります。ですので、退職をしたいと思ったら退職代行サービスを活用していくことを検討していきましょう。
また退職代行サービスを活用していく際には色々な通知を一手に担ってくれるので、引継ぎなどもしてもらうことができます。色々な引継ぎもストレスがかかりやすいですが、そのストレスも軽減されるのであれば、退職代行サービスを活用する価値はあると言えるでしょう。
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