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望まない異動が原因で退職は大丈夫?会社都合の異動を拒否できるケースや対処法も紹介

望まない異動が原因で退職は大丈夫?会社都合の異動を拒否できるケースや対処法も紹介
この記事の監修者
新野 俊幸(「退職代行」専門家)
自身が会社を退職する際に苦しんだ経験から、日本初の退職代行サービス「EXIT」を2017年に開始。「退職で苦しむ人をなくしたい」という思いで、退職代行を日本に広め続けている。

「今の仕事が天職」、「今の部署で人間関係もうまくいっている」など今の環境に満足している方も多いのではないでしょうか。しかし、会社側にとっては個々の満足度に関わらず、効率よく業績を上げることが最も重要だと考えます。そのため、適材適所やキャリアアップの観点から、部署異動になるケースも珍しくありません。

一方現状でかなり満足している方からすれば、たとえキャリアアップが狙いだったとしても「望まない異動」と感じるでしょう。この場合、望まない異動が原因で退職することは可能なのか、気になるところです。

結論から言えば「望まない異動」を理由とした退職は可能です。また異動を拒否することもできます。

本記事では、「望まない異動」によって退職を検討している方などが参考になるような、退職できる根拠や異動命令を拒否する方法、実際に退職する流れなどをまとめました。

ぜひ最後までご覧ください。

【結論】望まない異動が原因でも退職は可能!

結論からも、望まない異動が原因でも退職することは可能です。そもそも退職するのに正当性のある理由は必ずしも必要はなく、何となく辞めたいという漠然としたものでも実は退職はできます。

民法第627条1項では、退職の申し入れから2週間が経過すると雇用契約が終了すると定められています。正当な理由など退職に関するルールは他に記載がないため、理由の中身は特に関係ないことが言えるでしょう。(※)

※参考:e-GOV「民法」

異動命令は原則望まなくても拒否することが難しい

実際に異動する場合、会社から辞令が交付されることで正式に人事異動に関する命令、いわゆる異動命令が出されます。命令と名が付くぐらいなので、異動命令を拒むことは非常に難しいとされています。

異動命令を拒否するのが難しい最大の理由は、会社の人事権が守られていることです。会社側は正当な理由がない限り、社員をクビにすることができません。その代わり、人事に関するあらゆる命令について幅広く認められています。このため、基本的に拒否はできません。

万が一、正当な理由なく拒否をした場合、命令に背いたということでペナルティーの対象となり、場合によっては解雇も考えられます。この場合の解雇は「命令違反」という正当な理由が生じるので認められやすいのです。

退職する必要なし!異動命令を拒否できるケースもある

会社からの異動命令は基本的に拒否できないとご紹介しましたが、あくまでも「正当な理由がなければ」の話であり、「正当な理由があれば」異動命令を拒否することは可能です。ここからは異動命令を拒否できるケースをご紹介します。

  • 雇用契約の規定に反している
  • 家族の健康状態や育児に問題が起きる
  • パワハラやいじめなど不当な理由
  • 給与が減額される

いずれのケースも異動命令を拒否できるだけの正当な理由ばかりです。労働者としての権利を蔑ろにするような行為があると拒否できる理由が生じることになります。ここからはそれぞれのケースを深掘りしていきます。

雇用契約の規定に反している

1つ目は雇用契約の規定に反している点です。

近年は特定のエリア内での転勤がある雇用形態にしている会社も多く、関東なら関東、四国なら四国という形で勤務地などが限定されます。ところが、本来関東限定で仕事をしていた人がある日突然北海道への転勤を命令した場合、明らかな雇用契約の規定に違反しています。

契約上は関東に限定した働き方しかできないので、契約を無視した命令と言えるでしょう。雇用契約の規定違反は異動命令を拒否できるだけの正当な理由であることは間違いありません。

家族の健康状態や育児に問題が起きる

2つ目は家族の健康状態や育児に問題が起きることです。

例えば、「親の介護ができるのは自分しかいない」、「子どもが病気がちで保育園などに預けにくい」などその人にとってのやむを得ない事情が生じてくることがあります。今の働き方であれば両立できるのに、異動をすれば両立できなくなる場合、異動命令の拒否が可能です。

実際に異動命令を拒否する場合、家族の健康状態などを証明することが求められるので、診断書などを提示することになります。

パワハラやいじめなど不当な理由

3つ目はパワハラやいじめなど不当な理由です。

例えば、特定の人物を辞めさせるために嫌がらせで異動命令を出す場合は会社側に正当性が全くないので拒否できます。内部告発などを行った人物が、会社側から報復として仕事が何もない部署へ異動させる場合などは明らかな不当な理由です。

一方で、不当な理由だったとしてそれが不当であることを証明するのに時間がかかります。時に裁判に発展し、長い時間をかけてようやく決着がつくこともあります。パワハラやいじめなどがあった場合はその事実を証明しないといけないのでなかなか大変ではあります。

給与が減額される

4つ目は給与が減額されることです。

実は異動がある場合、異動によって給与が下がるということはありません。異動や転勤の際に今の条件が変更されることなく引き継がれる形となるため、異動をきっかけに突如として給与が下がる事態にはならないのが本来のルールです。

仮に異動や転勤をした上で給与が下げるには、労働者の同意が必要です。つまり、労働者の同意がなく、異動をきっかけにした給与の下落はありません。にもかかわらず、異動をきっかけに給与が減額されるとなれば、異動命令を拒否する正当な理由となります。

望まない異動が原因で退職する方法

もしもこの記事を読んでいるあなたが「望まない異動」を経験し、今すぐにでも退職したい場合、2つのステップを踏むことをおすすめします。

  1. 辞める意思を自分ではっきりと伝える
  2. 退職代行サービスを利用する

「これ以上は仕事をし続けられない」など、はっきりと会社を辞める意思を伝え、その後退職代行サービスを利用すれば、退職の申し出から2週間後にスムーズに辞めることができます。ここからは2つのステップについて解説します。

辞める意思を自分ではっきりと伝える

最初のステップは、辞める意思を自分ではっきりと伝えることです。

民法第627条1項のルールを活用するには、退職の意思をはっきりと会社側に伝える必要があります。この時、退職の意思をメールなどで伝えるのも法律上は大丈夫ですが、マナー違反であるほか、退職の意思をしっかりと伝える点において不十分です。

仮に退職届を受け取ろうとしないなどの対応をされたら内容証明郵便の送付などが必要になります。このように辞める意思をしっかりと示すことが重要であり、スムーズに辞めるためにも欠かせません。

退職代行サービスを利用する

2つ目のステップは退職代行サービスを利用することです。

退職代行サービスは労働者から依頼を受けた第三者として会社側へあなたの代わりに退職の意向を伝え、退職までの段取りをつけていきます。当事者間では感情的な対立が起こりやすくなりますが、第三者が介入することでそう言ったトラブルも避けられます。

退職代行サービスでは弁護士の監修など専門家がサポートに入っており、会社側からしてもこれ以上面倒なことは避けたいという思いからスムーズに退職できるように対応してくれます。スパッと辞めたい時は退職代行サービスの活用がおすすめです。

退職代行を利用して異動による退職が完了する流れ

実際に退職代行を利用して望まない異動を原因とした退職が完了する流れですが、概ね以下の流れとなります。

  1. 問い合わせ
  2. 退職代行に関する情報の聞き取り
  3. 料金の支払い
  4. 退職代行のサポート開始
  5. 退職完了

退職代行サービスでは、交渉ではなく退職する際の連絡や通知を行います。明確な退職の意思を伝えるなど、辞めるのに必要なことを相手方に伝えるのが主なサービス内容です。実際に退職が完了するまでにやり取りする量は異なりますが、回数無制限のところがほとんどなので、安心して任せられます。

望まない異動を原因に退職する際の注意点

望まない異動によって退職を検討し、実際に退職する際には主に3つの点に注意しましょう。

  • 自己都合退職になる可能性がある
  • 会社の就業規則を確認しておく
  • 前向きな退職理由を伝える

明らかに会社側の都合に振り回されただけなのに、場合によっては自己都合による退職として扱われ給付制限などの不利益を被ることがあります。「望まない異動」なのでついつい悪態をつきたくなる気持ちはわかりますが、それではスムーズな退職につながらない可能性もあるので注意が必要です。以下詳しくみていきましょう。

自己都合退職になる可能性がある

先ほどもお伝えしましたが、1つ目の注意点は、自己都合退職になる可能性がある点です。

実は異動命令の拒否のケースにおいて、会社都合退職と自己都合退職に分けられることがあります。例えば、単なる異動や転勤を断る場合、基本的に自己都合退職となってしまいます。

一方で、親の介護などやむを得ない理由から異動や転勤を断り、結果的に退職することになった際、「特定理由離職者」という扱いになります。「特定理由離職者」は会社の事情によって辞めざるを得なかった労働者を対象にしたもので、給付制限がなくなるなどの特徴がみられます。

自己都合退職にならないようにするため、正当な理由があって異動命令を拒否したという証拠を用意しておくなど、すぐに立証できるようにしておくことがおすすめです。

会社の就業規則を確認しておく

2つ目は会社の就業規則を確認しておくことです。

会社の就業規則には様々なルールが書かれており、そのルールの中で業務を行っていくことになります。事前に会社の就業規則をチェックしておくことで、退職の申し出からどれくらいで辞められるかが明らかになり、民法のルールとの違いを感じるでしょう。

理想は就業規則に記載されたルールに従うことですが、スパッと辞めたい時は民法の2週間ルールを活用していくのも手です。

前向きな退職理由を伝える

3つ目は前向きな退職理由を伝えることです。

本音の部分では「望まない異動」があったことを理由にしていても、素直に退職理由を伝えても、「会社とはそういうものだ」など諭されてしまい、先延ばしの憂き目に遭う場合が出てきます。

実際に辞めたい時はもっともな理由を付けた方が会社側も受け入れやすいでしょう。「自己研鑽に励んでからキャリアアップを目指したい」などあくまでも前向きに退職を考えていることを伝えられるのが一番であり、印象も良くなるでしょう。

望まない異動が原因で実際に退職した体験談

実際に望まない異動が原因で退職を決断した方の体験談をご紹介していきます。

年齢で決断したケース

およそ10年ほど、経営に関する仕事を行ってきたという男性。しかし、ある日急に今までの業務とは全く関係のない部署への異動を命じられてしまいます。その部署の仕事は10年のキャリアとはほとんど関係のない仕事だったため、このまま続けても意味があるのかと思うようになりました。

引用元:https://doda.jp/guide/episodes/018.html

決め手になったのは年齢で、このままズルズルと会社にいるぐらいなら転職した方がいいということで、望まない異動を原因に退職した人がいます。

今まで同じ仕事をやってきたのに、いきなり全く違う仕事、しかも、キャリアと全く関係のない仕事をやらされるというのは、結構なエネルギーを使います。「望まない異動」のパターンとしてはありがちと言えるでしょう。

望まない異動で辞めたいなら退職代行EXIT

実際に望まない異動によって今の会社を辞めたい場合、退職代行サービスの中でも有名な、退職代行EXITの利用がおすすめです。

退職代行EXITは弁護士が監修しており、スムーズに退職できるほか、業界最安値の値段で利用できるのが大きなポイントとなります。引き継ぎなども簡単な内容に関しては退職代行EXITを通じて伝えてもらえるなど、スムーズな退職に向けてありとあらゆることに協力します。

望まない異動はどんな方にも降りかかってくる出来事です。今までやってきた仕事と全く違うことを命じられることになり、慣れない仕事に耐え切れなくなってしまうこともあるでしょう。こうした局面で退職代行EXITなどの退職代行サービスを活用することでこれ以上ダメージを受けることなく、スムーズに辞められます。

望まない異動を経験し、将来的に退職を検討している方は引き継ぎの準備などできる限りのことを行っていき、来るべき時に備えましょう。

退職代行サービス「EXIT」