退職したら損害賠償?!退職の際の通知にお困りのあなたへ

最終更新日 2022年12月26日
自分が居たくない場所から抜け出す事は人として当然の権利と言えます。
退職もまた、労働者に認められた当然の権利です。会社は労働者を無理やり働かせる事など出来ません。
これ以上職場に行けないという状況であれば、郵便や電話を使って退職のやり取りを行う必要があります。
退職代行サービスに従事している筆者の経験上、郵送での退職のやり取りに寛容な会社が大半です。従業員の気持ちを汲んでくれる会社がほとんどであることが分かります。
しかし、一方で働いている私たちの立場が弱いことを逆手にとって会社から手紙や通知書が送られてくることがあります。
そこには「出社をしないと法的措置を取らせていただきます」といった、労働者に出社を促す内容が書いてあります。
こうした通知に脅されるような形で、会社を辞めたいのに辞められなかったり、転職の機会を棒にふった人もいると思います。しかし、きちんとした対応をすればこの通知によって泣きを見る事はありません。
それでは、このような通知に対して具体的にどのように対応していけばよいのかを見ていきましょう。
通知書が来たらこうしよう~基本的には無視で問題ない~
表題の通り、基本的に無視で構いません。これがこの記事の全体を通しての結論となりますので納得出来た方はここで読むのをやめていただいて構いません。
まだ不安な方のためにこれからその理由について解説していこうと思います。
まず、具体的に通知書とはどのようなものなのでしょうか。内容は様々ですが、基本的に次のような内容を含んでいることが多いです。
①退職届を受理しませんという内容
②損害賠償、違約金を請求するという内容
③直接会社に出向いて退職手続きを行いなさいという内容
こうした内容を非常に堅苦しい文面で送って来ることがあります。時には半ば脅迫のような文章が送られて来ることもあります。
社長から手紙という形で送られて来ることや、弁護士から内容証明郵便で送られて来ることもあります。このため、何も知らない立場では脅しに屈してしまうことも少なくないです。
しかし、大前提としてこの手紙や通知書自体には法的な強制力はありません。それは送り主が弁護士であっても社労士であっても会社の社長であっても同じことです。内容証明郵便で送られても書留で送られても法的な強制力がないことに変わりありません。
つまり、この通知書の内容に従う義務はないという事です。
それではなぜ、このような通知書を送ってくるのでしょうか?
それは「会社が望む方向に労働者を誘導する為」なのです。
出勤をしない労働者に対して会社は出勤命令を出すことが出来ますが、本人に就業の意思がない以上、命令を出しても仕方ありません。会社は事実上、「労働者自らが進んで会社の望む行動を起こすように促すこと」しか出来ないのです。そのため、法律を持ち出して脅しをかける会社もあるという訳です。
つまり、重苦しい文章で書かれた半ば脅迫のような文章でも、見方を変えれば会社が最後の悲しい抵抗をしているに過ぎず、その内容はほとんどがブラフであると言えます。
それでは、会社から送られて来る手紙や通知書の具体的な内容とともに、そこにある真実を見ていきましょう。
通知①:退職届を受理しません
真実①:出勤しなければいずれ退職手続きを進める
労働者の意思に反して「退職届を受理しない」という通知を送ってくる会社は異常と言えます。しかし、そんな異常な会社でも放っておけば結局、退職届をもとに退職の手続きを進めるでしょう。
なぜなら、労働をしない人をいつまでも雇っておく事は保険の関係上、会社の無駄なコストとなる為です。
労働者の気持ちも考えず、わざわざ悪質な通知を送りつけてくる会社が優先するのは「人よりも金」でしょう。そんな会社にとっては労働者の為に無駄なコストをかけるほど避けたい事はない訳です。
仮にですが、いつまでも退職の処理を進めない場合には退職届を内容証明郵便で送り、労働局の総合労働相談コーナーに謄本を見せて相談すると良いでしょう。
通知②:損害賠償、違約金を請求する
真実②:会社が退職者相手に裁判を起こす可能性は非常に低い
会社が退職者相手に裁判を起こすこと自体は可能です。
しかし、退職をした労働者の為に長い期間とお金をかけて裁判を起こすメリットがなく、裁判で会社側が勝つ判例が極めて少ない為、裁判を起こしてくる事はまずないと考えるのが妥当です。
それではこの件に関して細かく解説していきましょう。
1.裁判を継続するために長い期間とお金が必要
それなりの見返りがなければ長い期間とお金のかかる裁判を起こすメリットはないでしょう。指標として「経済的利益」と呼ばれるものがあります。これは訴えを起こして勝訴した場合にどの程度の金額を手に入れることができたか、という指標です。
退職者相手に裁判を起こしてもこの経済的利益はあまり見込めないと言われています。
2.会社は裁判に勝つことが難しい
これは、退職した人や退職しようとする人を訴えても勝つことが難しいという根本的な部分になります。
基本的に労働者には職業選択の自由が認められています。これは憲法第22条に明確に記載されています。この条文からは、就職と退職の自由についても認められています。
そのため、基本的にはこの条文の時点でたとえ会社が裁判を起こしてもほぼ勝つ事は出来ないでしょう。会社が勝つ判例も極めて少ないと言われています。
会社が勝つことが難しく、勝てても利益があまり見込めない裁判を起こすことは考えづらいです。
退職代行サービスに従事している筆者は突然会社に出勤しなくなる労働者を2000人以上見ていますが、会社に裁判を起こされたという事例は1度も見たことがありません。
しかし、会社が勝訴したというレアな判例もあるようですのでご自身が退職することにより会社に莫大な損害が出るような場合には弁護士に相談する事も大切です。
退職による損害賠償請求が認められた判例についてはこちらの記事へ
通知③:直接会社に出向いて退職手続きを行いなさい
真実③:退職の手続きは郵便でも可能
退職について認められているという点でこの通知は比較的ソフトなものと言えます。
しかし、職場の方と会う事、話をすることが辛いという方にとってこの要求は耐え難いものでしょう。
このような通知が届いたとしても特に困る必要はありません。
退職の手続きは基本的に郵送でも行えます。
会社がこのような通知を送ってくるのは郵便での退職手続きがめんどくさいという理由からです。
出社すれば一日で終わる処理なのに何度も郵送しなければならないうえ、不備があればまた送り直してもらわなくてはならないため、会社としては出社してもらえることに越したことはないのです。
ときにはこの通知にも「会社に出向けない場合には退職手続きが行えません」のように書いてあることがありますが、こちらもブラフですので怖がらなくても大丈夫です。
どうしても会社に出向く事が出来ない場合には、通知に従えないという内容の手紙を書いて会社に送ると良いでしょう。
通知書は脅しに屈しなければ問題ない~ただのブラフです~
退職時に送られてきた通知書に対して具体的にどのように対応していけばよいのかを見ていきました。基本的に通知書自体には法的な強制力がなく、どう行動を起こすかは通知を送られた側の自由となります。
このため通知書を受け取った段階で焦って、ブラフに引っかかることは最も避けたいことです。
会社が通知書を送る真意は単純に労働者を呼び出して説教をする事だったりするのです、突き詰めればただの嫌がらせです。
好意的にみたとしても「この忙しい時期に辞めるとか社会人としてどうなの?」という程度のものでしかありません。日本人は、このような状況に罪悪感を感じる傾向が非常に強いですが、感じる必要はありません。
労働者は会社の経営層ではないのです。経営層からすれば、権限も備えていないのに経営者に近い考え方を持ってくれれば大変都合がいいため、あえて責任感や情に訴えてきます。この点をきちんと把握しておくことが大切です。
個人的な感情が入ってしまいますが筆者はこのような退職者に対する脅しには非常に憤りを感じております。この記事に書いてある内容を既にご存知の方は「そんなことで怒るなんてくだらない」と思うかもしれませんが、会社は世の中をあまり知らない未成年の労働者や、無知な労働者を狙ってこのような通知を送ってくるのです。
この記事の内容を多くの方が知り、退職が出来ない労働者が減ることを心から祈っております。
ライター:キタガワ
◎EXIT ?退職代行サービス?とは?
EXIT株式会社が提供するサービスで、「辞めさせてもらえない」「会社と連絡を取りたくない」などの退職におけるさまざまな問題に合わせ、退職に関する連絡を代行してくれる。相談当日から即日対応が可能で、 会社との連絡は不要。離職票や源泉徴収票の発行確認など、退職後のフォローも行ってくれる。
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