スムーズに退職したいのに……。退職時によくあるトラブルの解決方法とは
誰しも退職するときには、スムーズに退職したいと思っているはず。そのために、退職交渉のマナーについて調べ上げたという方もいるかもしれませんが、それでもなおトラブルが起きてしまうことは珍しくありません。
そこでこの記事では、退職によくあるトラブルとその解決方法について紹介します。起こり得るトラブルと解決方法を知っておくことで、適切な対応ができるようにしましょう。
強引な引き留めによるトラブルの解決方法
退職のトラブルは誰にでも起こる可能性があり、その確率は決して低いものではありません。
総合転職エージェントの株式会社ワークポートが、同社を利用した全国の転職希望者535人を対象に「【退職】に関するアンケート調査」(調査期間:2018年12月5日~12月13日)を行ったところ、退職時に会社からの引き留めにあった人は62.4%、そのうち17.7%がトラブルにまで発展したことがあると答えています(ワークポート調べ https://www.workport.co.jp/)。
特に強引な引き留めがあるとトラブルに発展することが多く、結果として退職届を受理してもらえなかったり、給与を払ってもらえなかったりするトラブルもあるようです。
では、実際にトラブルが起こってしまったとき、どうすれば解決することができるのでしょうか。ここからは、いくつかの事例を挙げながら、具体的な解決方法を見ていきます。
退職日を引き延ばされたときの解決方法
退職日の引き延ばしを避けるためには、まず退職を申し出るタイミングが重要です。就業規則にある退職に関する条項を確認し、規定に沿ったスケジュールで進められるように心がけましょう。また、繁忙期を避けるなどの配慮をすることで、さらに引き留められる可能性は低くなります。
退職までの手順については、こちらの記事でも紹介しているので参考にしてみてください。
これらの退職手順を踏んでも、「後任者が見つかるまで」「プロジェクトが終了するまで」などと理由をつけて、退職日の延期を求められることがあります。このような会社側からの要求は、一度応じてしまうとズルズルと退職日が延びてしまう恐れがあるので、「退職日までは引き継ぎを含めて業務を全うします」などと誠意を見せつつ、退職日延長はきっぱりと断りましょう。
そもそも後任者不在や人手不足はあなたの責任ではなく、会社が解決すべき問題。引き継ぎをする相手がいないのなら、しっかりとしたマニュアルを残しておけば十分です。
退職届を受け取ってもらえないときの解決方法
退職したくても、退職届を受け取ってもらえない、あるいは一時預かり状態のままなかなか受領されない、という場合はどうすればいいのでしょうか。
このような場合は、内容証明郵便で退職届を郵送するという方法が効果的です。内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便が証明する制度です。
民法627条では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」とされています。さらに民法97条には「隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」とあります。要するに、退職届の受け取り可否に関わらず、退職届が会社に到着した時点で退職の意志表示をしたことになり、その日から2週間が経過すれば退職することができるのです。
上司に伝える際に、内容証明郵便で送る心づもりがあることを伝えれば会社側も対応してくれるでしょう。それでも拒否されるようであれば、実際に社長(代表取締役)宛てに、内容証明郵便で退職届を送りましょう。
有給休暇を取得させてもらえないときの解決方法
年次有給休暇を取得することは労働基準法第39条によって保証されているため、会社は従業員からの取得申請を拒否することができません。直属の上司から許可が得られないという場合は、人事部・総務部に直接申請しましょう。
それでも拒否される場合は、労働基準監督署に相談するのもひとつの手です。そこでの助言に従って行動しても、申請を断固拒否される場合は、会社に「許可が得られなくても年次有給休暇を取得する」ことを宣言してしまうという方法もあります。その際は、会社に「それで給料が支払われなければ賃金未払いについて監督署に相談します」と告げましょう。
労働基準法に違反するような待遇の解決方法
「退職するなら損害賠償請求する」と脅されたり、給料の未払いがあったり、退職金制度があるにも関わらず退職金が支払われなかったりと、労働基準法に違反する扱いを受けた場合、積極的に労働基準監督署を利用しましょう。
総合労働相談コーナーでは、退職関連のトラブルのほか、会社からのパワハラや嫌がらせなどについての相談にも乗ってくれます。
また、労働基準監督署では「相談」以上の「行動」を起こすことも可能です。パワハラや賃金・退職金未払いの問題が起きた場合、証拠を集め、「ハラスメント差止要求書」や「未払賃金請求書」の内容証明郵便を送り、監督署で「申告」の手続きをしてください。その結果、監督署が動いてくれれば会社への「立ち入り調査」や「勧告」が行われることになります。
強引に辞めたときのデメリット
会社からの引き留めを受けても、あなたには退職する権利があります。しかし、強引な退職にはデメリットもあります。
強引に辞めた場合、デメリットとしては、転職先への嫌がらせ、業界内へ悪い噂を流される、転職後に在職企業で蓄積してきた人脈を活用できなくなる、退職後の事務手続きがやりづらくなる、などが挙げられます。
引き留められても強い意思を持って断ることは重要ですが、できるだけスムーズな退職を目指せるとベストです。
トラブルが起こってしまったときの相談先は?
トラブルが起こってしまった場合の、役に立つ相談先はいくつかあります。
労働基準監督署のほかに、東京都には「東京都労働相談情報センター」、大阪府には「大阪府総合労働事務所」、神奈川県には「かながわ労働センター」などの相談窓口があり、各都道府県に配置されている「総合労働相談コーナー」でも相談が可能です。
こうした公営のサービス以外には、弁護士や社会保険労務士に相談する方法もあります。社会保険労務士は企業からの人事雇用などに関する依頼を受けるイメージが強いかもしれませんが、実は従業員からの相談にも乗ってくれます。
民間サービスでは、退職代行サービスを利用するという方法も最近注目されています。辞めたいと言えない、言い出しづらい、強い引き留めにあって辞められるかどうか不安……といった場合に、本人に代わって会社に退職する意思を伝えてくれるサービスです。
どうしてもトラブルを解決できそうになければ……
退職時のトラブルを適切に対処するためには、事前にトラブルをある程度想定しておくことが大切です。そうすることで気持ちにも余裕ができ、トラブルが起こった場合にも冷静に対応することができます。
ただし、それでも限界はあります。自分では言いづらいという状況に追い込まれたら、退職代行サービスなどを積極的に利用するというのも手です。ひとりで抱え込まず、最善の方法を選択できるようにしましょう。
◎EXIT −退職代行サービス−とは?
EXIT株式会社が提供するサービスで、「辞めさせてもらえない」「会社と連絡を取りたくない」などの退職におけるさまざまな問題に合わせ、退職に関する連絡を代行してくれる。相談当日から即日対応が可能で、 会社との連絡は不要。離職票や源泉徴収票の発行確認など、退職後のフォローも行ってくれる。
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