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退職給付金とはどんなもの?種類やメリット・デメリット、受け取った後の対処法などをご紹介!

退職給付金とはどんなもの?種類やメリット・デメリット、受け取った後の対処法などをご紹介!
この記事の監修者
新野 俊幸(「退職代行」専門家)
自身が会社を退職する際に苦しんだ経験から、日本初の退職代行サービス「EXIT」を2017年に開始。「退職で苦しむ人をなくしたい」という思いで、退職代行を日本に広め続けている。

仕事を行っていても自分の事情や環境変化などにより、辞めなくてはいけない場合もあるでしょう。正社員として一定期間働いているなら、辞めるときに会社側から退職金を得ることができます。

ただ「退職給付金」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。そのため「退職金と退職給付金では何か異なる点があるの?」と疑問を感じる人もいるはずです。退職給付金の内容についてメリットやデメリット、注意すべき点について紹介します。

退職給付金とは何か

退職給付金とは、労働者の生活を保護するための制度であり、退職後の手続きを終えた後に受給できます。退職給付金はいろいろな種類があり、一時金制度や確定給付企業年金制度、中小企業退職金共済制度など、目的や支給形態によって異なります。

制度を活用することにより、労働者は退職した後に一定の資金を得るなど、収入を確保できるので生活面で安心できます。また、退職給付金制度は会社によって種類が異なるケースがあるので、事前に確認する必要もあります。

中には、複数の制度を組み合わせて導入していることもあるので、しっかり収入として得られるように把握しておきましょう。

退職給付金の種類とは

退職給付金は上記でも紹介しましたが、いろいろな種類があります。それぞれの種類の特徴を理解しておくと、自分のもらえる給付金額変わります。退職給付金の種類について詳細な内容を紹介しましょう。

確定給付企業年金

確定給付企業年金制度は、企業と従業員が将来受け取る年金給付額を決め、必要な掛け金を搬出していきます。会社は退職金を外部機関に委託して、積立による形態で運用しますが、従業員とは最終的な給付額を事前に決定しています。

そのため、運用が予想通りにいかず成果が悪かった場合、会社側が責任を取らなくてはならず、従業員は約束された金額を受け取ることができるので、退職金に関して心配いりません。

一般的には生命保険会社や信託銀行と契約を締結し、積立の運用や給付の管理を委託します。確定給付企業年金は退職金を一時的にも一括でも受け取ることができ、公的年金等の控除に使用できるメリットがあるので、利用すべきか考慮できるでしょう。

退職一時金

退職一時金制度は退職時に、退職金の全てを一括で受け入れる制度になります。退職一時金の額は、一般的に従業員の勤務年数や最終給与、定年までの残りの勤務年数などに基づいて計算されます。

そして、退職一時金は自社側で資金のやり繰りを行い、積み立てしていくため、決算日をまたいだ場合、会社は利益として課税対象になるケースもあるようです。そのため、企業は従業員の退職金を積み立てる際に、念入りに金額について計算する必要があるでしょう。

従業員の場合は受け取った退職金は所得税や住民税がかかりますが、退職金所得控除を受け取れるケースもあるため、会社に確認してください。

企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金制度は、従業員や企業が積み立てる金額が事前に確定されています。従業員が将来受け取れる金額は積立資産の運用結果によるので、成果が出れば予想以上の金額を受け取ることも可能ですが、悪ければ減少するリスクもあります。

従業員は運用メニューから自由に選択できますが、内容によってはリスクも高いので、自分の許容範囲を考慮して選ぶ必要があるでしょう。そして、企業型確定拠出年金制度は、60歳になるまで引き出しできません。従業員にとっていろいろなリスクがあることを考慮して、退職給付金の掛け金を決定しましょう。

中小企業退職金共済

中小企業退職金共済は、中小企業が従業員の退職金の積立や支払いをサポートする制度です。独立行政法人勤労者退職金共済機構が主催しており、加入者は月額5,000円〜3万円までの16種類から掛け金を選べます。

そして、退職するときは掛け金から算出する基本金額と、運用利回りが予定を上回った場合の付加退職金を受け取ることが可能です。ただ、企業が加入するためには条件があります。

例えば、一般業種は、300人以下の従業員または3億円以下の資本金が必要です。掛け金も上限設定されているため、他の種類の給付金制度と掛け合わせて設計するのが一般的と言えます。

企業による退職給付金制度の違い

企業による退職給付金制度の違いは、従業員が受け取る給付金の額や形式に大きな影響を与えます。

一般的に、退職給付金は企業の財務状況、業種、企業規模、労働組合の存在などによって異なります。いくつかの企業では定額制を採用しているのに対し、他の企業では勤続年数や給与水準に基づいて給付金が計算されます。また、退職給付金の支給方法も企業によって異なり、一時金として全額を受け取る場合、年金形式で分割して受け取る場合などがあります。

これらの違いを理解することは、退職計画を立てる上で重要です。

退職給付金の税制面

退職給付金の税制面に関する理解は、受け取る際の重要な考慮事項です。

退職給付金に対する税金は、受け取る金額や個人の状況によって異なります。一般的に、退職給付金には所得税が適用されますが、一時金として受け取る場合と年金形式で受け取る場合では、税金の計算方法や控除額が異なります。特に、一時金の場合、退職金の計算基準や支給額が税額に大きな影響を与えます。また、退職時の特別控除や税務対策についても理解することが重要です。

これらの要素を総合的に考慮し、必要に応じて税理士などの専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

退職給付金それぞれのメリット・デメリットとは

退職給付金制度は、いろいろな種類がありますが、それぞれのメリットやデメリットは何があるのか把握しておきたいでしょう。メリットとデメリットが理解できれば、リスクも予想できるので対策も考慮できます。4種類それぞれの内容について紹介しましょう。

確定給付企業年金のメリット・デメリット

確定給付企業年金のメリットは、受給権が保証されている点です。制度として「規約型」と「基金型」の2種類から選ぶことができ、「規約型」は企業が拠出した掛け金を提携している生命保険会社や信託会社などに委託して運用します。

「基金型」は企業から独立した法人団体に管理や運用、給付を行う仕組みです。運用は企業が責任を取るため、受け取る金額に関してリスクを背負わなくて済み、安心感もあります。

ただ、デメリットとしては運用成果がかなり良くても給付金が増額しないことです。すでに給付額は決定しているため、運用の成果に関わらず金額が大きく上がることはありません。

退職一時金のメリット・デメリット

退職一時金制度の場合、企業にとっては掛け金を損金扱いにできるため、経費として税金の支払い額を抑えることが可能です。個人の場合は退職金を一括で受け取ることができるので、収入面で安心感を得ることができ、退職所得控除を適用できるため、税金の支払い額を抑えられます。

企業と従業員共にメリットがありますが、デメリットもあります。企業の場合は、退職金の積み立てで資金が不足するなら、穴埋めをしなくてはいけないので、余計な出費が出る可能性があるでしょう。

そして、従業員も年金と比べると、最終的な受取金額が少なくなる可能性もあるため、将来的に損するリスクを明記してください。

企業型確定拠出年金のメリット・デメリット

企業型確定拠出年金のメリットは、運用の成果によって給付金を得られる金額が増額する可能性があります。運用が順調であれば予想以上の収入となり、退職後の生活も安心できます。

また、限度額の枠内で一定の条件を満たせば、掛け金の上乗せも可能です。ただ、デメリットは運用が悪い場合に給付金が減少する点です。

給付金を得られる額は固定されておらず、運用の成果によって左右されるため、予想以上に少なくなる可能性もあります。責任は従業員が負う仕組みになっているため、よく考慮する必要があるでしょう。

中小企業退職金共済のメリット・デメリット

中小企業退職金共済のメリットは、従業員にとって受給権の保全性が高い点です。企業が掛け金を拠出し、独立行政機関が会社の代わりに運用してくれるので、給付金を受け取れる安全と信頼は高いと言えます。

企業側も、運用を任せられるので業務負担や受給におけるリスクを減少できるでしょう。ただ、デメリットもあります。中小企業退職金共済は上記でも紹介したように、業種において加入条件が備わっているので満たしている会社のみ利用可能です。大企業の場合は資本金や従業員数の多さから加入はできません。

また、従業員も掛け金の上限が決まっているので、物足りなさを感じる可能性もあると覚えておきましょう。

退職給付金を受け取ったら気を付けるべきこととは

退職給付金を受け取ることができれば安心できますが、注意すべき点もあります。どのような点に注意すべきなのか、把握しておくと思わぬリスクも回避できます。注意すべき内容について紹介しましょう。

退職所得の受給に関する申告書の提出が必要

退職給付金を受け取る際は、申告書の提出が必要になります。申告書を提出すれば、適正な退職所得の額と所得税額が計算されて、源泉徴収を行えるからです。退職所得の受給に関する申告書は勤務先情報や退職者本人の情報を記載しますが、さらに詳細な内容は年数によって必要欄がそれぞれ異なります。

まず、初めて受給する方は、勤務先情報と退職者本人の情報項目の直ぐ下の欄に内容を記載します。「退職手当等の支払いを受けることになった年月日」には、退職日を記入してください。「退職の区分」は「障害」以外の理由であれば「一般」に○をつけ、生活扶助を受けているなら「有」にも○してください。

「この申告書の提出先から受ける退職手当等についての勤続期間」は、退職金を受け取るなら「勤続期間」を記入しましょう。そして「自」には入社日「至」には退職日を記入してください。他の記入欄は同じ年に他の職場からも退職金を得ている場合に記載します。自分の状況に応じて漏れなく記載して提出してください。

申告書を提出しないと確定申告が必要に

退職給付金の受給に関する申告書を提出しないなら、退職所得控除が適用されません。そのため、退職手当などに20.42%をかけた所得税が源泉徴収されます。例えば、退職金で500万円を受給した際、20.42%がそのままかけられるため、源泉徴収税は102万1,000円です。

申告書を提出していれば源泉徴収は抑えることができるので、必ず提出すべきです。万が一、事情などによって提出できなかった場合は、確定申告を考えてください。

確定申告する際、源泉徴収額より退職所得控除後の所得税の方が低いなら、還付金を受け取れるからです。源泉徴収税の幾らかは自分の手元に戻ってくる可能性があるので、期日までに提出しましょう。

退職所得控除の額面は勤続年数で変わる

退職給付金の所得控除の額面は、勤続年数によって変化します。退職金にかかる所得税は退職所得×税率で求められますが、退職所得は(退職金ー退職所得控除)×1/2になります。つまり退職所得控除の額面が大きいなら、所得税は減額が可能です。そして、退職所得控除は勤続年数によって決定されています。以下の表をご覧ください。

 

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年以上 800万円+70万円×(勤続年数ー20年)

例えば、勤続年数が30年であれば退職所得額は800万円+70万円×(30ー20)=1,500万です。

退職金が2,000万円だった場合は(2,000ー1500)×1/2=退職所得は250万円になります。所得税の計算式に当てはめると250万円×10%ー42万7,500円=0円になるため、所得税は無しです。

勤続年数が20年以上で長いほど、所得税の支払い額は減額できると覚えておきましょう。

受け取った後の運用方法を考えておく

退職給付金を受け取った後は、運用方法を考えておくのも大事です。退職金を受け取った後も生活は続いていきます。将来的なことを考えると、退職金のみで生活していくのは難しいと言えるため、得た金額の幾らかを投資などで運用していくのがおすすめです。退職金の運用方法としては

・不動産投資

・投資信託

・株式投資

などがあります。

不動産極

退職給付金の運用というのは、人生の新たな段階への門出において、賢明な航海の計画に他なりません。この重要な資産をどのように運用するかは、退職後の生活の質と安定性を大きく左右します。

選択肢は多岐にわたり、安定性を重視した定期預金から、より高いリターンを求める株式投資や投資信託、さらには不動産投資に至るまで、各々に独自の風味とリスクがあります。これらの運用方法を選択する際には、自身の財務目標、リスク許容度、そして何よりも長期的な展望を見据える必要があります。分散投資によりリスクを軽減し、退職金のポテンシャルを最大限に引き出す道を選ぶことが肝要です。また、この道のりでは、資産運用の専門家からの助言を求めることも、賢明な舵取りの一環となります。

投資の場合は家賃収入があるので、毎月いくらかの収入を得る仕組みを作れます。地価が上がれば売却した際に、高額な収入を得られる可能性があるので、運用として候補にできるでしょう。

投資信託は満期が来れば利益分が追加されて収入を得ることが可能であり、株式投資は配当金を得ることが可能です。ただ、投資運用はどれもリスクがあるので、内容を把握した上で選ぶ必要があります。退職給付金を受け取った後の使い方をしっかり考えておきましょう。

退職給付金制度が会社になかった場合にできることとは

退職給付金制度を活用できれば、仕事を辞めたときに大きな収入を得られるチャンスがあります。ただ、退職給付金制度は会社によっては採用していないケースもあるため、その場合の対策も考慮しておくべきです。3つの方法があるので内容を紹介しましょう。

退職給付金がある会社に転職する

退職給付金は、全ての会社が採用しているわけではありません。会社の特徴として、成果主義制度を導入している場合、自分の成績によって収入が変動する仕組みになります。成績によってはインセンティブなどで高額な給与を支払っているため、ベンチャー企業などは退職給付金制度が無い会社が多いです。

また、退職金は従業員が会社に貢献した利益分を積み立てて支給しています。そのため、会社として積立てしていない会社は、毎月の給料やボーナスに反映させているケースがあり、退職給付金がない場合もあります。

このように退職給付金がない会社にも理由があるわけですが、自分の心情として会社を辞めたときに、退職金が合った方が安心できる人も多いはずです。その際は、退職給付金制度がある会員に転職するのがおすすめです。

ほとんどの会社では退職給付金制度を実施していますが、一部成果重視などの会社は実施していないので、求人票など詳細な内容を確認して転職先を決めましょう。

iDeCoなどを活用する

退職給付金がない場合はiDeCoを利用するのも良い方法です。iDeCoは私的年金制度の1つであり、掛け金と運用益の合計額を元に給付金を受け取ることが可能です。設定金額は自分で選ぶことができ、掛け金を拠出して積み立てていきますが、運用商品は定期保険や投資信託など自由に選択できます。

そのため、今の給与から自分がどれほど拠出できるのか考えて、iDeCoで運用してみるのもおすすめです。会社に退職給付金がなくてもiDeCoで運用しておけば、期間が満了した際に収入として受け取れます。

ただiDeCoは原則として60歳にならないと引き出すことができず、途中で解約して資金を得ることはできません。またm給付金額は運用成績により、元本が確保されていないものもあるため、注意してください。

副業を行って収入を増やして貯金を目指す

退職給付金がない会社の場合は、副業を行って収入を増やすこともできます。会社の給料のみの収入では、不安になる人もいるはずです。そのため、今から副業を始めて他の収入源を作っておくと、将来的に生活を安定できる基盤を作れます。

例えば、不動産を購入して家賃収入を得るようにすれば、毎月給与以外の収入を得られます。株式や債券などの投資も収入として計画でき、他にもサイトの運営やダブルワークなども行えるでしょう。

副業をして収入を増やせれば貯金額も増やせるため、老後の生活面でもリスクを抑えることが可能です。ぜひ自分の仕事や状況に合う副業を考えてみましょう。

退職給付金がある会社へ転職を目指すなら退職代行でスムーズな退職を!

退職給付金がある会社へ転職を目指すなら、将来的に安心感があるので計画してみるのがおすすめです。もし今の職場で退職が難しいようなら、退職代行を利用してみるのも良い方法です。自分ではなく退職代行のスタッフが対応してくれるのでトラブルを抑えて辞めることも可能です。ぜひ考慮してみてください。

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