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アルバイトを退職する際の伝え方は?辞めるタイミングやおすすめの退職理由

アルバイトを退職する際の伝え方は?辞めるタイミングやおすすめの退職理由
この記事の監修者
新野 俊幸(「退職代行」専門家)
自身が会社を退職する際に苦しんだ経験から、日本初の退職代行サービス「EXIT」を2017年に開始。「退職で苦しむ人をなくしたい」という思いで、退職代行を日本に広め続けている。

 

正社員と比べると、アルバイトは責任の重さという点で軽い部分があると感じる人も多いのではないでしょうか。しかしながら、アルバイトを退職する場合も本当は正社員と同じようなプロセスを踏むべきです。アルバイトを退職する際、連絡もしないで逃げ出す人がいますが、いいことではありません。

今回ご紹介するのはアルバイトを退職する際の伝え方や辞めるタイミングなどです。正社員を辞める時の対応と実は似ている部分も多く存在します。

「アルバイトを辞めたい」、「別のバイト先で働きたい」などの思いを持ち、退職を検討している方は必見です。

アルバイトを退職するタイミングは原則2週間前

アルバイトを辞めたい場合、タイミングとして適切なのは退職したい日から2週間前のタイミングです。民法627条1項で定められており、2週間前までに退職の申し出を行えば、辞めることが可能となります。

雇用契約には無期雇用と有期雇用があり、要するに雇用期間が定まっているかいないかを示します。アルバイトは無期雇用がほとんどですが、雇用期間に限りがない場合です。有期雇用の場合は1年、2年と決められており、その期間が終了するまでは原則として辞めることができません。

無期雇用であればいつでも終了できるような状態であり、その場合は退職の申し出を行ってから2週間後に辞められます。

アルバイトを退職する際の伝え方

アルバイトを退職する際には主に3つの伝え方があります。

  • 基本的に電話やメールを使用しない
  • 直接上司に伝える
  • 感謝の気持ちを伝える

いずれの場合もアルバイトを退職する際のマナーとして知っておくべき部分であり、どれを1つ欠いても失礼な状態になります。失礼がないように退職に向けての準備を進めていくには、この3つの伝え方は必ず実行した方がいいでしょう。

基本的に電話やメールを使用しない

1つ目は、基本的に電話やメールを使用しないことです。

退職の申し出を行うのはとてもナイーブなことであり、辞めたいと伝えることで相手が悲しむのではないか、もしくは怒るのではないかと思ってしまう人もいるはずです。ただメールで退職の申し出を行うことに対し、一般的な感覚として直接伝えない形で退職の申し出を行うのは失礼ではないかと感じる人の方が多いでしょう。

もしも、メールで退職の申し出を行う場合、「なぜ退職するのかの真意」が相手に伝わらない可能性があります。真意が伝わらないとなると、当事者間で気まずい状況となり、いつ退職したいのかを伝えるのもしにくくなるでしょう。結果的にスムーズに辞めることが難しくなることも十分に考えられるでしょう。

もちろん、体調を崩しているなどの要因があればメールや電話で退職の申し出を行うのは仕方ないですし、相手が忙しくて直接伝えるのが難しい場合であればメールでまずは退職の申し出を行い、その後伝えるという手もあるでしょう。

ただ、退職の申し出はできれば直接伝えるのがいいですし、何か特別な理由がない限りはメールや電話を避けるのが確実です。

直接上司に伝える

2つ目は直接上司に伝えることです。

退職の申し出は基本的に直属の上司、アルバイトの場合は店長や店舗責任者に直接伝えることが一般的です。もしも同僚に先に伝えた場合、店長や店舗責任者に又聞きの形で退職したい旨が伝わる可能性があります。

又聞きの形で退職を知る店長や店舗責任者の心中は当然穏やかなものではないですし、なぜ直接言ってくれないのかと怒りの気持ちを持つ人もいるでしょう。スムーズな退職を目指す中で又聞きの形になってしまうのは避けなければなりません。

そのため、退職を伝える場合は真っ先に上司に伝えるのが確実です。その後で同僚などに伝える形にすれば面倒なことにはなりにくいでしょう。忙しくて直接伝えることが難しい場合はメールなどで時間を作ってほしいと伝えた上で、その後直接会って伝える形が理想的です。

感謝の気持ちを伝える

3つ目は感謝の気持ちを伝えることです。

退職に至る理由は人それぞれであり、実際には腹立たしい思いを抱きながら辞める人も多いでしょう。しかし、マナーとして感謝の気持ちを伝えることが大切であり、今まで一緒に働いた人たちに感謝の思いを述べていくことは重要です。

退職のあいさつをする際にはタイミングも重要で、これから仕事を引き継いでいく同じ部署で働く人に対しては店長や店舗責任者に退職を伝えた直後ぐらいに伝えるのがおすすめです。退職に至る理由をストレートには出さず、いつ退職をするのか、引き継ぎの内容などを伝えていきましょう。退職理由は前向きな理由であれば伝えても問題ありません。

アルバイトを退職したい人のリアルな本音

アルバイトを退職したい人の退職理由ですが、表向きは「一身上の都合」の都合が目立ちますが、実際はネガティブな理由、本音が垣間見えます。

  • 人間関係が最悪
  • 給料の上がる見込みがない
  • 上司や先輩の指導が理不尽
  • キャリアの展望が見えない

いずれのケースもどの職場でも十分に起こり得るものばかりです。特に人間関係や給料の部分は、次のアルバイト先でもあり得る理由であり、注意しなければならない部分と言えます。ここからはアルバイトを退職したい人のリアルな本音に迫っていきます。

人間関係が最悪

1つ目の本音は、人間関係が最悪というものです。

アルバイトを辞めた理由に関する調査を実施した企業があり、圧倒的に多かったのは「人間関係が悪い」という理由でした。2位が卒業や進学など、3位が学業専念を考えると、ネガティブな理由に限ればダントツで多い理由であることがわかります。

参考:株式会社ビズヒッツ「アルバイトを辞めた理由に関する意識調査」

具体的に人間関係が悪い・最悪の中身を見ていくと、同僚との関係性が悪いというものもあれば、ハラスメントを含んだ指導が目立つ、厳しいなど指導面においていい状況ではなかったことが垣間見えます。また社員とアルバイトの関係性があまり芳しいものではなく、社員からの扱いがいいものではなかったというケースも見受けられます。

バイトリーダーと呼ばれる立場の人から厳しい指導を受けた、店長からパワハラを受けた、性格が合わないなど色々な理由が透けて見えます。バイトリーダーもアルバイトなので、アルバイト同士のちょっとした力関係がこじれていくことで人間関係の悪さにつながっていくと考えることができます。

同僚との人間関係では、自分のいないところで同僚が悪口を言っているなども人間関係の悪さにつながります。どれだけ仕事が楽しくて時給が良かったとしても、人間関係があまり良くないとなると我慢して続けるのは相当苦痛であり、精神的に辛いものがあります。

よほど長く働き、順調に時給を増やしていれば別かもしれません。一方でそのような状況ではない場合は、人間関係が悪いなどの状況ならば「さっさと辞めてしまおう」と考えるのが普通でしょう。

特に近所のお店でアルバイトで入っている場合、人間関係の悪さを理由に退職したら近所で買い物を行うのもしにくくなるかもしれません。ですので、人間関係が理由であることをオープンにする人は少ないでしょう。

給料の上がる見込みがない

2つ目は給料が上がる見込みがないことです。

アルバイトの場合は時給が大きな影響を与えます。近年は最低時給もどんどん高くなっていくので、額面が自然と増える人もいるでしょう。ただ最低時給であることに変わりはなく、最低時給からの上乗せがほとんどないケースも珍しくありません。

アルバイトの時給に関しては就業規則などで昇給に関する取り決めがない限りは、最低時給を下回る状況でなければ問題ありません。また昇給があると就業規則で定めていても、能力で判断するなどの文言があれば、昇給がなくても違法とはならないと言われています。

自分自身としては一生懸命頑張っていたとしても、能力を判断するのは雇用側であり、雇用をする側が、「あの人は頑張っていない」と判断すれば、仮に昇給がなかったとしても違法とはなりません。

本来、昇給があればやる気が高まるだけでなく、離職防止にもつながります。にもかかわらず、昇給を頑なにしないのはそれだけ余裕がない状況と言えるでしょう。給料が上がる見込みがない状態で働き続けても、場合によっては店を畳む可能性まで想定しておかなくてはならず、いずれにしてもプラスはないでしょう。

昇給に関しては本来企業側が率先して動くべき案件ですが、実際はそこまで動こうとはしません。昇給幅も時給5円や10円など小幅にとどまるケースも多いでしょう。だったら、最初から高い時給に設定し、昇給の条件も明快に決められていた方が労働者側としては働きやすいです。

時給を理由に辞める人の中には、既に時給のいい転職先が決まっているケースもあるでしょう。その際に、時給が少ないから辞めたなどの捨て台詞を吐き、本当のことを言って立ち去るよりも、一身上の都合と伝えて立ち去った方が円満な関係性を保って辞めやすいと言えます。

上司や先輩の指導が理不尽

3つ目は上司や先輩の指導が理不尽な点です。

理不尽な指導を行うケースとして、上司や先輩もアルバイトである可能性が高く、上司や先輩自身にも責任がない場合があります。この場合は上司や先輩もさらにその上の店長・店舗責任者などから理不尽なことを言われ、渋々後輩などに理不尽な指導をせざるを得ないケースも想定できます。

また、上司や先輩が憂さ晴らしのために理不尽な指導をするケースもあるでしょう。これは社員に気に入られようとするあまり、点数稼ぎのために社員が望んでいること以上の指導をしてしまう場合があります。社員自体が管理できておらず、上司や先輩の指導がかなりやり過ぎたものであることもあり得るのです。

社員や店長、店舗責任者からすれば、理不尽な指導があまり見えていないため、なかなか人材が定着しないことを不思議に感じるかもしれません。あまりにも理不尽に感じた場合は店長などに尋ねてみることをおすすめします。理不尽な指導を行う上司や先輩を擁護するような態度をとった場合、改善は期待できないので思い切って辞めるのも1つの手段です。

仮に辞めない場合、理不尽な指導はさらに続き、場合によってはエスカレートすることも十分に考えられます。精神的にもダメージを受けやすく、ただただバイト先に恨みを抱いて辞めるハメになるので、理不尽な指導を行う上司や先輩を、合理的な理由なしに擁護する場合には辞めた方がいいでしょう。

キャリアの展望が見えない

4つ目はキャリアの展望が見えない場合です。

どれだけ働いても、このままでは先が見えないと感じることがあります。先が見えないと感じる理由にはいくつかのケースが想定できるでしょう。

  • 売上が上がらない
  • 利用客が少ない
  • 同業他社が強豪
  • 辞める人が多い
  • 他のバイトのやる気が低い

一番先が見えないと感じるのは、利用客が少ないケースや売上が上がらないケースです。結局売上が少なく、利用客が少なければ、どれだけ頑張っても意味がなく、改善のしようがありません。場合によっては閉店の可能性が出てくるほか、その状況で時給が上がることは考えにくいでしょう。「このままやってもジリ貧」と感じ、本音を見せない形で辞める人は多いでしょう。

また利用客が少なく売上も上がらない場合、実際に働いているバイトのモチベーションが低く、適当な仕事をして給料をもらおうとする人も出てくるでしょう。頑張っても仕方がないので、たとえ時給が低くても省エネで給料を得られるのであれば、高い時給で必死に頑張るよりも楽です。

アルバイトでどんどん稼ぎたい、スキルアップなどにつなげたいと志を高くしてアルバイトに臨んでいる人からすれば、頑張っても売上がアップしない、モチベーションが低いバイトが多いとなると、「こんなところで働いても何も得られない」と愛想をつかしても不思議ではありません。

とはいえ、「売上が低く、バイトのモチベーションも低いので辞めます」と本音をぶちまけるのはあまりに筋が悪く、失礼にあたります。だからこそ、このような本音を見せず、一身上の都合と表面上は取り繕って辞めていくのです。

アルバイトで認めてもらいやすいおすすめ退職理由

アルバイトを辞めたい場合には、様々な理由を見繕って退職しようとする人も多いでしょう。その場合、あまり引き止められることもなく、退職できる理由をまとめました。

  • 学業が忙しくなった
  • 就職活動に専念したい
  • 長期的な健康問題が発生した
  • 家族の都合など個人的な事情

学業を理由に辞めるのはよくある話であり、学業に専念したいとウソをついて退職しようとしても咎められることは少ないでしょう。同様の理由に就職活動があります。最近の就活は長期化しやすく、就活に専念したい学生は少なくありません。ここからはアルバイトで認めてもらいやすい退職理由についてご紹介します。

学業が忙しくなった

1つ目の退職理由は、学業が忙しくなったという理由です。

学業が忙しくなるというケースの場合、例えば受験が迫ったので受験に集中したくて辞めたいというケースが考えられます。国家試験を受けなければならない、大学院の試験が迫っているなど、将来がかかっている受験が目前に迫り、バイトどころではないとアピールして退職を試みることは自然な考えでしょう。

学業が忙しくなったという理由で辞めたいと願い出る人の中には、大学の成績が落ち、奨学金をもらい続けるために猛勉強を行わないといけなくなったケースもあります。奨学金は1度受給対象になったら卒業までずっともらえるとは限りません。安定した成績を常に確保し続けない限り、成績を落としたら奨学金をストップさせられる場合があります。奨学金の存在は学業を続ける中で欠かせないものであり、時にはアルバイトよりも優先されてもおかしくありません。

卒業論文を書かないといけない場合もバイトを辞める理由になり得ます。卒業論文は就活と並行して作成しないといけないので多くの時間を費やすことになる場合もあるでしょう。そのため、「卒業論文を作り上げたいので辞めたい」と申し出ることもあります。

また「学業」にも色々な意味が込められています。大学での活動を優先したいという意味が学業に込められている可能性があり、部活やサークルを優先したい場合にバイトを辞めて、働きやすいところにシフトするという考え方もあるでしょう。学業=受験、勉学とは限りません。

仮に学業を理由に辞めたい場合には注意しなければならないことがあります。それは辞めるのではなくお休みの状態にさせられる場合です。例えば、夏休みや春休みなど大学生にとってまとまった休みになる時期があります。「成績が落ちたので一旦学業に専念したい」という理由で辞めようとしても、夏休みや春休みの時期に戻ってきてほしいと言われた際に、返す言葉がなくなってしまうかもしれません。

これは次にご紹介する就活を理由にアルバイトを辞めたい場合でも同様です。「いつでも戻ってこればいい」と店長などに言われることは十分に考えられます。その場合には「別業種のバイトを行い、スキルを磨きたい」などの理由を付けると、スムーズに辞められるようになるでしょう。

就職活動に専念したい

2つ目の理由は就職活動に専念したいというものです。

就職活動を理由にバイトを辞めるメリットとしては以下の点が考えられます。

  • 就活に全力投球できる
  • 就活優先でスケジュールを立てられる
  • 体力を温存できる

就活が始まると、学生はやるべきことがたくさんあります。就職説明会への参加だけでも、大学で行われる説明会や大きな会場で行われる説明会など様々な場所で開催される説明会に足を運んでは、慣れないリクルートスーツと革靴で様々な企業の話を聞かなくてはなります。

これに加えてエントリーシートを作り、筆記試験対策の勉強を行い、面接対策もこなさないといけません。特に面接対策は自分だけでできるものではなく、誰かにチェックをしてもらう必要があります。これが続くわけですから、もはやバイトどころではありません。このため、就活が始まる前にたくさんバイトで働き、アルバイトを辞めても耐えられるだけの貯金を作る人も少なくありません。

就活中は就活最優先でスケジュールを立てることが求められます。アルバイトを理由に突然決まった面接をパスするなんてことになれば悔やんでも悔やみきれないことになるかもしれません。バイトを辞めておけば、企業研究や業界研究など熱心にでき、志望度の高い企業への就職も狙えるようになります。

アルバイトの場合、事前にシフトを出していつ入れるかをバイト先に提示しなければなりません。その時は予定が入っていなくても、就活を進めていく中で予定が入ってくる可能性は十分に考えられます。下手にアルバイトを入れられない状況になるので、だったら辞めておく方が確実と言えるでしょう。

そして、就活に専念するということは、体力の温存にもつながります。就活は就活でとても疲れるため、バイトと就活のダブルヘッダーを行おうとしても、毎日それをこなし続けるのは至難の業であり、どちらのパフォーマンスも落としてしまうことはあり得ることです。そのせいでどちらも芳しくない状況になるのは避けたいところです。

また、就活が本格化する前にバイトを辞める人もいます。これは長期のインターンシップに参加するためで、富裕に時給も発生するのである種バイト的な感覚で臨むことになります。働きぶりは社員的な形で働くため、アルバイトどころではなくなるでしょう。

長期的な健康問題が発生した

3つ目は長期的な健康問題が発生した場合です。

正社員ではなく、アルバイトやパートタイマーで働く人の中には健康に不安を抱え、長時間は働けないなどの問題を抱えている人が少なくありません。以前は正社員として働いていた人が精神的な病気で退職を余儀なくされ、社会復帰のためにアルバイトとして働くケースは多いです。その社会復帰がうまくいかず、再び精神的な病気が悪化して辞めざるを得なくなることもあります。

一方、うつ病など精神的な理由でバイトを辞めたい場合、認められやすい状況にあります。以前は精神的な病気に対する無理解が多くの人に見られましたが、病状の改善のためには休息が必要であるなどの理解が浸透してきています。例えば、適応障害の場合はストレスが原因で発症し、ストレスを軽減させることが重要です。適応障害を治したいのでバイトを辞めたいと言えば認められやすくなります。

雇用する側としては、ストレスの原因が職場にあるのではないかと不安視する可能性があります。そのため、決して職場が原因ではないと伝えることも配慮としておすすめです。精神的な病気は長い時間をかけて治療を行うことで完治につなげられます。だからこそ、病気を理由にバイトを辞めたい場合は正直に伝えた方がスムーズに辞めやすくなるでしょう。

家族の都合など個人的な事情

最後は家族の都合など、個人的な事情の場合です。

バイトやパートでありがちなのは「年収の壁」です。一定の年収を超えてしまうと扶養から外れてしまい、税金の支払いなどが生じて手取り収入が減ってしまうケースがあります。年収の壁として106万円ないし130万円があり、これを超えないようにバイトの調整を行う人も多いです。

年収の壁を超えないようにするのも個人的な事情の1つと言えるでしょう。「そのためにバイトを辞めるのはやりすぎだ」と思われるかもしれませんが、年収の壁を微妙に超えるぐらいであればより多く稼いだ方がプラスは大きいので、より稼げるところで働くために現状のバイトを辞めようとする人はいます。

また家庭の都合など、個人的な理由でバイトを辞めたいと願い出る人は多いでしょう。個人的な理由なので、内容次第では引き止められることもあり得ます。ただプライベートのことを深く突っ込んで辞めないようにお願いしてきた場合、雇用する側の配慮は感じにくいため、いずれにしても辞めた方がいいかもしれません。

アルバイトを退職する前に押さえるべきポイント

アルバイトを退職したい場合に、事前に抑えておくべきポイントが4つ存在します。

  • 引継ぎを行う
  • 仕事仲間に挨拶をする
  • 有給休暇を消化する
  • 貸与物を返却する

これらの理由は正社員が退職をする場合と共通しており、いずれのポイントも正社員が退職する場合に押さえておくべきポイントとして取り沙汰されるものばかりです。正社員とアルバイトで立場こそ異なりますが、退職するという行為自体は変わりません。そのため、やらないといけないことも大して違いはないのです。

ここからはアルバイトを退職する前に押さえるべきポイントについてご紹介していきます。

引継ぎを行う

1つ目は引継ぎを行うことです。

大手チェーンのアルバイトであれば、事前にマニュアルが存在するため、引継ぎをしようとしなくてもマニュアルさえ読んでおけば特に問題はありません。ですので、フランチャイズチェーンなどマニュアルが存在するバイト先であれば、引継ぎに関してそこまで深く考える必要はないでしょう。

その一方、アルバイトでも一定の裁量権が与えられて仕事を行うケースがあります。この場合はマニュアルがなく、その人の裁量権の中で行っている仕事に関して引継ぎを行うことになるでしょう。とはいえ、裁量権が与えられているといっても限定的な範囲なので、引継ぎそのものにかなりの時間を割かれるとは考えにくいです。

引継ぎにどれくらいの時間がかかるかは、どのような仕事が与えられているか次第で、マニュアルがあるかないか、裁量権がどれくらい与えられているかによって引継ぎに要する時間は大きく変わるでしょう。

仕事仲間に挨拶をする

2つ目は仕事仲間に挨拶をすることです。

アルバイトを退職する際にはまず直属の上司、バイトリーダーなどに伝えることが求められ、同僚に関してはその後に伝えることになります。伝えるタイミングは上司に伝えた後であればいつでもよく、できれば上司に伝えた当日か翌日ぐらいに伝えるのが理想的です。

仕事仲間などに退職の挨拶をするタイミングは最後にバイト先に出勤するタイミングがおすすめです。またシフトの都合上、最終出勤日の前にお別れになってしまう人がいたら、その都度、お別れの挨拶を行い、今までのことを振り返りながら挨拶を行い、プレゼントを渡せればマナーとしては完璧です。

仕事仲間の側も送別会などをしたいと考えていたり、最後にプレゼントを渡したりするために一定の時間を準備期間として確保したい気持ちがあるでしょう。それもあるので、ギリギリに伝えるのは避けるべきです。

有給休暇を消化する

3つ目は有給休暇を消化することです。

有給休暇は正社員だけの権利ではなく、アルバイトやパートにも存在します。アルバイトの場合は年間で働く日数と勤務期間に応じて付与される有給休暇が異なります。例えば、週1日程度のバイトの方は半年間働くと1日分の有給休暇しかもらえず、5年以上働いても3日程度の有給休暇にとどまります。

これが週3日相当の労働日数となれば、半年間だけで5日分、5年でおよそ10日分の有給休暇が与えられます。フルタイムであれば半年で10日間付与されるなど、労働日数と勤続年数が重要な意味を持つでしょう。

有給休暇は次年度に持ち越せることが法律で定められ、繰越できる有給休暇の上限は20日なので、最大40日分の有給休暇が未消化の状態になる可能性があります。これらを完全に消化するには、まず退職日の調整が求められます。その後、引継ぎにかかるであろう日数を調査し、残っている有給休暇との兼ね合いから退職の申し出のタイミングを調整する形になります。

労働者にとって有給休暇は大事な権利の1つであり、場合によっては有給休暇の買取を認めてくれる企業もあります。有給休暇の買取制度がある企業であれば無理に休む必要はありません。ただ全ての企業で有給休暇の買取制度があるわけではないので、有給休暇の買取制度があるかどうかを含めて対応を進めていきましょう。

貸与物を返却する

4つ目は貸与物を返却することです。

アルバイトの場合は制服・ユニフォームなどが貸与され、場合によってはIDなどが渡されることがあるでしょう。アルバイトを退職することになれば、当然これらを返却しなければなりません。返却のタイミングは退職する日が理想的です。もちろん退職してから返すのも貸与物次第では問題ありません。

注意しなければならないのは戸締まりのためにバイト先のカギを持っていた場合です。アルバイトによっては社員から信頼され、戸締まりを任されることがあります。うっかり貸与物である事務所のカギを返却し忘れており、そのカギをうっかり落としてしまったら大変なことになってしまいます。

カギを入れ替えるだけで済めば全く問題はありませんが、悪用された場合にはその責任を負うことになるでしょう。これはIDにも同じことが言えます。責任を負わないようにしていくには借りたものはすぐに返すことがおすすめであり、いわゆる「借りパク」がないように細心の注意を払いましょう。

アルバイトの退職に関するQ&A

アルバイトの退職に関しては様々な疑問が生じるケースがあります。ここではアルバイトの退職に関してよくある質問をまとめました。

  • バイトを始めてすぐに辞めたい場合どうする?
  • バイトを即日で辞めるのは可能?
  • バイトを勝手に辞めるとどうなる?
  • 退職を引き止められたらどうする?

アルバイトを長く続けている人が辞める際にはスムーズに辞められることがほとんどで、配慮も行き届きやすいです。ただ、長く働き続けていることで退職を引き止められる可能性は十分に考えられます。一方ですぐに辞めたい場合にはよほど理由がないとスムーズな退職につながりません。

ここからはアルバイトの退職に関してよくある質問についてご紹介します。

バイトを始めてすぐに辞めたい場合どうする?

1つ目の質問は、バイトを始めてすぐに辞めたい場合にどうするかという質問です。

実際に仕事をする中で、体力的に厳しい、指導がきついなど様々な要因からバイトを辞めたいと考えることがあります。この場合は正直に退職理由を伝え、お互いが合意をする形で辞めることが求められます。

民法では退職の申し出から2週間後に辞めることができると定められています。しかし、労働者側と会社側双方の合意があれば、すぐに辞めることができます。これならば、穏便に辞めることができるため、特段トラブルには発展しにくいでしょう。

建設現場など体力的にきつい仕事では、退職理由などを全く伝えずに無断欠勤し、電話にも一切出ず、連絡の取りようがなくなる場合があります。こうした行為はあまりいいことではなく、無断欠勤によって多大な損害が発生した場合は賠償請求の対象になる可能性があるので無断欠勤は避けましょう。

その一方で、退職理由を正直に伝えても取り合ってくれないケースがあるのも事実です。その場合は退職の申し出をメールなどで伝えるなどして、まずは退職の意思があることをはっきりと示しましょう。

バイトを即日で辞めるのは可能?

2つ目は、バイトを即日で辞めるのは可能かどうかです。

先ほどもご紹介しましたが、バイトを即日で辞めることは可能です。やむを得ない事情があった場合に正直に理由を伝えて、双方の合意によって即日で辞めることが可能になります。

この場合の「やむを得ない事情」には、自らが体調不良など働けない状況にある場合や、家族の都合で働けない状況になった場合、あとは学業や就活などの専念です。理由としてはいずれも正当なものであるので、合意さえ得られればその日のうちに辞めることは可能です。

一方で、即日辞めることを伝えておかなければなりません。その日から働き始めた人が「やはり自分には向いていない」と即日で辞めることになるのは企業側としても避けたいところであり、本人としても気を付けなければならないでしょう。

場合によっては直接伝えるのではなく、メールを休憩時間等に送って退職理由を伝えるのもおすすめです。お店のLINEグループに入っていたら責任者のアカウントを見つけて伝えるのもいいでしょう。

バイトを勝手に辞めるとどうなる?

3つ目はバイトを勝手に辞めるとどうなるかという質問です。

先ほども軽くご紹介しましたが、無断欠勤の形で辞めることになるため、状況次第では損害賠償請求が生じる可能性が出てきます。無断欠勤を行いそのまま辞める場合、制服などを返さずに辞めてしまえば業務上横領などの罪に問われるケースも想定されます。そのため、貸与物がある場合には早急に返済しましょう。

一方で、勝手に辞めたとしても、その間に発生した給料は受け取ることができます。逆に勝手に辞めたことを理由にして給料が支払われないというのは法律的に認められていないため、早めに受け取りに行くことをおすすめします。もちろんかなり気まずい思いはするでしょうが、せっかく働いて得た賃金を放棄するのはもったいないでしょう。

何も言わずに辞めるのは企業側に様々な面倒をかけることにつながるほか、突然の人員調整にてんてこ舞いとなるので絶対に避けるべきことです。精神的・体力的に厳しい場合は致し方ない部分も大きく、特に肉体労働では何も言わずに辞めることは珍しいことではありません。しかしながら、本来想定されていた人数よりも少ない状況で働くのは現場の人からすれば非常に大変です。

退職を引き止められたらどうする?

最後の質問は退職を引き止められたらどうするかという質問です。

「辞めるとは言わずに戻ってきてほしい」など退職をスムーズには認めてくれないケースが存在します。引き止められることで退職の決断をしたのに心が揺らいでしまうことがありますが、ここで揺らいで休職の形にするのは、後々面倒なことになる可能性も出てくるので避けたいところです。

ここでおすすめなのは、プラスの理由で退職することを前面に押し出すことです。結婚などのライフステージの変化があればそれを伝え、女性であれば当面専業主婦に徹するとか、新居の近くで働きたいなど様々な理由をつけられるでしょう。引越しがある場合には引越し先で働きたいと言えば無理に引き止められないでしょう。

ネガティブな理由だった場合には、改善することを約束されて辞めにくくなるケースが想定できます。給料面や待遇面などを理由に退職を申し出た場合、できる限りの改善を行いたいので我慢してほしいと言われることも考えられます。この場合はいつまでに改善するか、期限を設けることがおすすめです。

ある程度条件を突きつけていけば、1人のアルバイトのためにすべての要求を受け入れてくれるはずはないので、結果的に退職が認められるでしょう。改善しやすいものだと引き止められやすいのでその点に気を付けるべきです。

アルバイトをどうしても辞められないなら退職代行がおすすめ

肉体労働のアルバイトなど体力的にも精神的にもきついアルバイトの場合は翌日から姿を消し、連絡もとれないようにするケースが目立ちます。社会人としては褒められた行動ではありませんが、そこまで追い込まれていることを意味します。

アルバイトをすぐにでも辞めたい、だけど、どうしても退職できないケースがあるかもしれません。その場合におすすめなのが退職代行サービスです。退職代行サービスは正社員のみを対象としたサービスではなく、アルバイトでも退職代行サービスを活用できます。

退職代行サービスは当事者に代わって退職の申し出を行い、手続きを進めていきます。当事者間だと感情的なやり取りが出やすいですが、第三者が入ると冷静な対応をしてもらいやすくなり、結果的にスムーズな退職につながりやすいです。

アルバイトをどうしてもやめたい場合には退職代行サービスを活用しましょう。リーズナブルに対応してくれる退職代行サービスもあるので、費用面などに注意しながら活用を目指しましょう。

退職代行サービス「EXIT」