退職代行サービスについて調べていると「労働組合運営」などという記載を見かけることがあり、「何が違うの?」と疑問に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
退職代行サービスの運営元は大きく3つ、「一般企業」「弁護士」「労働組合」に分けることができ、それぞれに費用や特徴が異なります。
そこで今回はその中でも、労働組合が運営する退職代行に焦点を当て、メリットや注意点などを解説します。
労働組合が運営する退職代行は違法?
労働組合が運営する退職代行サービスは違法ではありません。そもそも退職代行サービス自体に、違法性は全くありません。しかし、退職代行サービスでは運営元によって対応できる内容に違いがあり、場合によっては違法行為とみなされてしまうケースもあります。
ここではまず労働組合が運営する退職代行サービスの特徴について解説し、ほかの退職代行サービスとの違いを比較します。
労働組合が運営する退職代行の特徴
民法第627条第1項では、労働者は「いつでも解約の申入れをすることができる」と定められています。そのため、基本的に退職自体はどの業者を利用しても100%成功するのです。
しかし、退職をする上では次のような交渉が必要になることがあります。
- 未払い賃金の交渉
- 退職金の交渉
- 有給休暇の消化や買取りに関する交渉
これらの交渉は、一般企業が運営する退職代行サービスでは対応できません。法律上、対価と引き換えにこれらの交渉ができるのは弁護士に限られているからです。
しかし、例外的に労働組合には団体交渉権が認められており、団体交渉権を行使することで、本人の代わりに交渉や請求ができるようになります。つまり、団体交渉権を行使できることを目的として、労働組合が運営する退職代行サービスが存在しているというわけです。
そのため、退職代行の労働組合は一般企業が作った「形だけの組織」であることも多く、労働組合としての実績はほとんどないというのが実状です。利用者は退職代行費用とともに労働組合の入会費を支払う必要がありますが、サービス内容は一般企業の退職代行とほとんど変わらないケースも少なくありません。
一般企業や弁護士との違い【比較表】
以下の表は、労働組合が運営する退職代行サービスとそのほかの退職代行サービスとを比較したものです。
退職代行 | 勤務先との交渉 | 費用の相場 | |
---|---|---|---|
一般企業の退職代行サービス | ◯ | ✕ | 20,000円〜50,000円 |
労働組合が運営する退職代行サービス | ◯ | △ | 25,000円〜60,000円 |
弁護士 | ◯ | ◯ | 50,000円〜250,000円 |
退職することだけを希望するのであれば、料金が最も安い一般企業の退職代行サービスがおすすめです。例えば退職代行EXITの場合、費用は初回利用で20,000円、リピート利用で10,000円と業界最安値で依頼できます。
一方、退職することに加え、法的な対応を求めるのであれば、費用は高くなりますが確実性の高い弁護士への依頼がおすすめです。
労働組合が運営する退職代行サービスも交渉は可能ですが、中身が一般企業系と変わらないことも多いため、業者選びは慎重に行う必要があります。また、労働組合への入会費が加わるため料金が高くなる傾向もあります。
労働組合が運営する退職代行に依頼するメリット
労働組合が運営する退職代行サービスには2つのメリットがあります。
- 退職する会社と団体交渉権による交渉ができる
- 弁護士に依頼するよりは費用がお得
以下ではそれぞれのメリットについて解説します。
退職する会社と団体交渉権による交渉ができる
労働組合が運営する退職代行サービスは、退職する会社と団体交渉権による交渉ができます。団体交渉権とは労働者が会社と交渉する権利のことを指し、日本国憲法第28条によって次のように保障されています。
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
会社はやむを得ない事情がない限り、交渉には必ず応じなければなりません。労働組合法第7条においても「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」は不当労働行為であると定められています。
労働組合が運営する退職代行サービスでは、弁護士のように訴訟代理人にはなれませんが、未払い賃金の支払いに関する交渉などは対応可能です。退職だけでなく交渉が必要な場合は検討してみると良いでしょう。
弁護士に依頼するよりは費用がお得
労働組合が運営する退職代行サービスは会社と交渉できることに加え、弁護士に依頼するよりも費用がお得です。次のように、弁護士に依頼する場合と比較すると金額が2倍以上違うことも珍しくありません。
労働組合が運営する退職代行サービス | 25,000円〜60,000円 |
---|---|
弁護士 | 50,000円〜250,000円 |
弁護士への依頼費用が高い理由は、相談料や成功報酬など追加の費用が発生することも多いからです。場合によっては、請求額が数十万円になることもあるでしょう。
退職に加え交渉を希望するものの、費用はできる限り抑えたいと考えるのであれば、労働組合が運営する退職代行サービスの利用を検討してみましょう。
労働組合が運営する退職代行に依頼する際の注意点
労働組合が運営する退職代行サービスを利用する際は、特に次の2点に注意が必要です。
- 退職時に会社に訴訟されると対応できない
- 一般企業が運営する退職代行より費用が割高
以下では、次の2つの注意点について解説します。
退職時に会社に訴訟を起こされると対応できない
労働組合が行使できるのは、あくまで交渉権のみです。交渉が決裂し、会社から訴訟を起こされた場合、労働組合が運営する退職代行サービスでは対応できません。
そうなると対応できるのは弁護士のみです。弁護士資格を持っていない業者が訴訟の対応をすることは弁護士法第72条で禁止されています。
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
もっとも、退職は労働者の権利であるため、退職に関して訴訟を起こされることはほとんどないと考えられますが、可能性はゼロではないと覚えておきましょう。
一般企業が運営する退職代行より費用が割高
労働組合が運営する退職代行サービスの費用は、弁護士に依頼した場合よりも割安ですが、一般企業が運営する退職代行サービスよりは次のように割高になります。
一般企業の退職代行サービス | 20,000円〜50,000円 |
---|---|
労働組合が運営する退職代行サービス | 25,000円〜60,000円 |
費用が割高になる理由として、労働組合の入会費が挙げられます。退職代行のサービス料金に加え、労働組合への入会費として、2,000円〜5,000円程度の入会費が発生するからです。
退職することだけを希望するのであれば、労働組合への入会は必要ありません。一般企業が運営する退職代行サービスを利用し、少しでも費用を安く抑えることをおすすめします。
退職のみ希望なら一般企業の退職代行がおすすめ!
次のような方は一般企業が運営する退職代行サービスがおすすめです。
- とにかく会社を退職できればいい
- 費用をできる限り抑えたい
訴訟や交渉を希望せず、退職だけを希望するのであれば一般企業が運営する退職代行サービスを利用しましょう。退職は労働者の権利であるため、雇用主は原則として無理やり引き止めることができません。したがって、退職は基本的に100%成功するといえるでしょう。
有給消化や未払い賃金の交渉は労働組合や弁護士しかできませんが、そもそも交渉自体必要がないという可能性もあります。有給休暇を与えることや賃金の支払いは、労働基準法によって雇用主(使用者)に義務付けられています。したがって、退職同様、請求しても基本的に断られることはないのです。
退職代行を使って会社を辞める流れ
一般的な退職代行サービスを利用した場合の主な流れは以下のとおりです。
- LINE・電話・問い合わせフォームから相談
- 申込内容や支払方法などの確認
- 退職代行の担当者と打ち合わせ
- 退職代行が退職の意思を会社へ伝える連絡&退職日確定
- 会社からの貸与品を返却
- 退職完了!
- 退職後の書類受け取り(離職票など)
ここからは、それぞれのステップについて解説します。
1.LINE・電話・問い合わせフォームから相談
まずは退職代行業者に相談をしましょう。多くの場合、次のような相談方法があります。
- LINE
- 電話
- 問い合わせフォーム
退職代行業者によっては、土曜日・日曜日・祝日も営業しています。相談する際は、次の3点を必ず伝えましょう。
- 退職希望日
- 現在の状況
基本的に相談は無料であることがほとんどです。ただし、弁護士に相談する場合は、相談料が必要になることもあるため注意が必要です。交渉が必要な場合は、労働組合もしくは弁護士運営の退職代行サービスに相談しましょう。
2.申込内容や支払方法などの確認
依頼する方向で話がまとまり次第、申し込み内容や支払い方法について担当者から案内があります。多くの場合、次のような内容を伝えることになるでしょう。
- 自分の基本情報
- 会社の連絡先
- 退職したい理由など
自分の基本情報や退職したい理由については、深く問われるわけではありません。基本的に退職に必要な情報以外を問われることはありません。
支払い方法は業者により異なりますが、一般的な支払い方法は以下の2種類です。
- 銀行振り込み
- クレジットカード
中には後払いに対応している業者もあります。ほかの支払い方法を希望する場合は、担当者に尋ねましょう。
労働組合が運営する退職代行に依頼する場合、この段階で組合に加入する手続きを行います。
3.退職代行の担当者と打ち合わせ
申し込みと支払いが確認できたら、退職代行業者の担当者と打ち合わせをします。打ち合わせでは以下の点について確認することが一般的です。
- 残りの有給日数
- 貸与品、私物などの処理方法
- 転職サポートの要・不要
退職代行業者によっては転職サポートを受けることも可能です。例えば退職代行EXITでは、次のような転職サポートを行っています。
- 自分にマッチする求人の検索
- 履歴書、職務経歴書の作成
- 求人への応募〜面接日程調整
転職先が決まっていなかったり、退職後すぐに転職を考えている場合は、このようなサポートが受けられる退職代行サービスがおすすめです。
打ち合わせ内容を確認したら、あとは退職日を待つのみです。
4.退職代行が退職の意思を会社へ伝える連絡&退職日確定
退職代行業者が退職の意思を伝えたのち、退職日が確定します。退職代行業者から依頼者へは、次のような内容の連絡があります。
- 退職届の書き方の指定(会社によっては指定される)
- 貸与物の処分方法
会社とのやりとりは基本的に全て退職代行業者が行いますが、場合によっては、会社から直接連絡が来たり、上司や人事担当者が自宅に訪問してくるかもしれません。このような場合でも、基本的に対応する必要はありません。電話に出なかったり、居留守を使うといった方法でやり過ごすケースがほとんどです。
5.会社からの貸与品を返却
会社からの貸与品や退職届など指定された書類があれば会社宛に送付します。退職代行業者によっては、退職届のテンプレートを提供してくれるケースもあるでしょう。
貸与品は必ず全て返却してください。万が一、借りたままになっていると、損害賠償請求される恐れがあります。何を返却すべきか不安な場合は、退職代行業者に何を返却すべきかを確認してもらいましょう。
6.退職完了!
退職日を迎えると、退職完了です。転職サポートのオプションを利用している場合は、引き続き、退職代行業者と転職に関するやりとりを行います。
すぐに転職しない場合、退職後は保険の切り替えや失業保険の申請などさまざまな手続きがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
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退職代行を利用したその後はどうすればいい?【よくある心配事にも回答】
7.退職後の書類受け取り(離職票など)
退職後、会社から以下の書類が送付されます。
- 雇用保険被保険者離職票(離職票)
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証(会社に預けている場合)
- 年金手帳(会社に預けている場合)
転職先の会社に提出を求められることがあるので、送付後は大切に保管しましょう。
会社がこれらの書類を送付することは雇用保険法で義務付けられています。会社からの送付がない場合は退職代行業者に相談しましょう。
自分の目的に合った退職代行サービスを活用しよう
退職代行サービスの料金や対応可能範囲は業者によって異なります。退職することだけが目的であれば、一般企業が運営する退職代行サービスの方がリーズナブルです。交渉を必要とする場合は、労働組合が運営する退職代行サービスや弁護士への依頼を検討しましょう。
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