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これで安心!しっかり理解したい雇用継続給付

これで安心!しっかり理解したい雇用継続給付

日本でも就業中の育児や介護についての理解が深まってきています。
しかし、一時的な休業は「取得しにくい」と考えられているのが現状です。また経済的な心配もあり、休業の取得に踏み切れない方も少なくありません。
そうした方をサポートするために設けられた給付金制度が、今回ご紹介する「雇用継続給付」です。

この記事では、「育児や介護のための休みを安心して取得したい」「定年後も金銭面の心配なく働きたい」と考えている方に向けて、雇用継続給付の3種類の給付金について分かりやすく解説していきます。

法的に定められた制度を活用して仕事と家庭のバランスを整えるために、給付金に関する基本的な知識を身につけましょう。

雇用継続給付とは何なのか?

雇用継続給付とは、諸事情でこれまで通りに働けない場合に一定の所得を保証したり、給付金を与えることで継続的に働ける仕事環境を促進するために設けられた、働く人を金銭面でサポートする制度のことです。

雇用継続給付には、以下の3種類の給付金があります。

①育児休業給付
②介護休業給付
③高年齢雇用継続給付

それではそれぞれの概要や受給条件・給付期間などを以下に解説していきます。ご自身の現状に当てはまる給付金をしっかりとチェックして、制度を積極的に活用しましょう。

育児休業給付とは?

育児休業給付とは、育児のために休業が必要な場合、休業中に不足する賃金を補う制度のことです。
育児休業給付は産前産後休業と異なり、男性・女性に関わらず条件を満たす方であれば誰でも給付金を受け取ることができます。

育児休業給付の受給条件は以下になります。

・雇用保険の被保険者であること
・原則として、育児休業の取得前の2年間で11日以上仕事をした月が12か月以上あること
・育児休業中の就業日数が月10日以下であること

育児休業給付の支給期間
育児休業給付の支給期間は、産後休業期間が終了した翌日から、子どもが1歳になる前日までです。
ただし、保育所の受け入れ先が決定していない場合や、配偶者が病気やけがを理由に育児が困難となった場合などは、最長2年まで受給期間を延長できます。
育児休業給付は、母親のみ、または父親のみではなく、両親がそろって安心して育児を行えるよう法律で定められている制度です。
仕事と家庭を両立したい方は、育児休業給付の活用を検討しましょう。

介護休業給付とは?

介護休業給付とは、家族の介護に専念するために仕事を休まざるを得ないと認められた場合に、給与の67%分の賃金を保証する制度です。
介護休業給付制度における「介護休業」とは、病気やけが等の身体的な障害や認知症のような精神的な障害によって、食事や排泄など常時介護が必要な家族の介護を目的として取得する休日のことを指します。

介護休業給付の受給条件
介護休業給付の受給条件は、以下の通りです。

・雇用保険の被保険者であること
・家族の介護に2週間以上の休業を要すること
・職場復帰を前提に介護休業を取得すること

一方で上記の条件を満たしていても、以下の仕事状況に該当する場合は、給付金を受け取ることができなくなります。

・介護休業の取得前の2年間で、11日以上仕事をした月が12か月に満たない場合(入社後すぐであったり勤務日数が足りない場合など)
・介護休業中に月10日以上仕事をした場合
・介護休業中の月額賃金が休業前の80%以上である場合

介護休業給付は、介護休業によって賃金が著しく低下する方を支援する制度であり、例えば有給を消化して介護をする場合はこの要件を満たしません。
介護休業給付を検討している方は、休業中の賃金について会社に事前に尋ねて、介護休業給付の要件を満たすかどうかを確認しましょう。

高年齢雇用継続給付とは?

高年齢雇用継続給付とは、働く意欲のある60歳以上の高齢者を賃金の面でサポートする制度です。
働き方の多様化や定年の引き上げ・平均寿命の上昇などに伴い、60歳を過ぎても現役で働きたいと考えている方が増えてきています。
しかし、現状は60歳を過ぎて再雇用や再就職を行うと、仕事に対する意欲も能力もあるのに給与額が大幅に減ってしまうことがほとんどで、これが再雇用を断念してしまう一因となっています。
高年齢雇用継続給付は、「現役の頃と比べて給与が減る」ことの対策として設けられた制度であり、活用することで定年後の月収の低下を補うことができます。

高年齢雇用継続基本給付と高年齢再就職給付の違い


高年齢雇用継続給付は、「再雇用」もしくは「再就職」によって以下の2種類に分けられます。

①高年齢雇用継続基本給付…基本手当等を受給していない高齢者の賃金を保証する制度
②高年齢再就職給付…再就職により賃金が以前より低下した高齢者を支援する制度

退職後に、雇用保険の基本手当等を受給することなく再雇用あるいは再就職した場合は、①の高年齢雇用継続基本給付を受け取ることができます。
一方で、基本手当を受け取っている間に仕事が決まった場合は、基本手当の支給残日数に応じて、②の高年齢再就職給付を受給できます。
まずは、①の高年齢雇用継続基本給付の詳しい受給条件について見ていきましょう。

高年齢雇用継続基本給付の受給条件と支給期間
・基本手当の受給後の期間が、通算5年以上あること
・60歳以上65歳未満の雇用保険の一般被保険者であること
・60歳到達後も、継続して雇用されていること
・原則として、60歳以降の月額賃金が60歳到達時の月額賃金の75%未満であること
また、高年齢雇用継続基本給付の支給期間は、60歳に達した月から65歳に達する月までの5年間です。
高年齢再就職給付の受給条件と支給期間
・60歳以上65歳未満で失業給付を受給したのち、再就職した者
・再就職後の月額賃金が、基本手当の基準となった賃金日額を30倍にした額の75%未満となった者
・基本手当の算定基礎期間が5年以上あること
・再就職日の前日の基本手当の支給残日数が、100日以上あること
高年齢再就職給付の支給期間は、高年齢雇用継続基本給付よりやや複雑です。

再就職日の前日の基本手当の支給残日数が200日以上の時は、再就職日の翌日から2年を経過する当日の月まで。
支給残日数が100日以上200日未満の場合は、再就職日の翌月から1年まで給付金を受け取ることができます。
高年齢雇用継続給付の支給額
高年齢雇用継続給付の支給額は、賃金の低下率によって以下のように定められています。

【低下率が61%以下の場合】
支給対象月の賃金額×15%
【低下率が61%超75%未満の場合】
支給対象月の賃金額×賃金低下率に応じて変動

例えば、60歳の時点の賃金が月30万円で、高年齢雇用継続基本給付を受給しながら働き、賃金が60%の18万円まで低下した場合、1か月あたりの支給額は18万円の15%である27,000円となります。
現役の頃より決して多くはありませんが、再就職や再雇用を考えている方は、制度を使うことで年30万円ほど収入を増やすことができます。
老後の仕事とプライベートの充実のために、条件を満たす方は高年齢雇用継続給付を活用しましょう。

まとめ

雇用継続給付の活用によって、育児・介護・定年後の金銭面を安定化させて、生活を楽にすることができます。
それぞれの雇用継続給付の申請は、会社あるいは個人でも申請が可能です。
申請するだけで経済的な不安がかなり解消されますので、休業後のお金について悩んでいる方は制度を利用できるかどうかを会社に尋ねたり、実際に申請を行ってみましょう。

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