有休消化はできる?上司と会わずに退職は可能?民間企業とは違う公務員の退職
5つのポイント

最終更新日 2020年8月26日
安定志向の人に不動の人気を誇る職業「公務員」ですが、様々な理由でやっぱり辞めたいと思う方もいるでしょう。
公務員は民間の企業とは違う部分が多々ありますが、退職に関しても同じことが言えます。
今回は筆者が実際に公務員として勤務し、その後退職した経験も踏まえて公務員の退職について解説します。
公務員は自由に退職できない
最大の特徴として、公務員は原則自由に退職することはできません。
一般的な民間企業だと、無期雇用契約を結んでいる場合基本的には「2週間前までに申し出れば労働者側からいつでも辞めることができる」と定められています。
会社の就業規則によって「退職の際は何カ月前に申告する」と定められていることもありますが、原則会社側には労働者の退職の意思自体を拒否する権利はありません。
ただ公務員の場合は労働者側からの申し入れだけでは不十分で、上司にきちんと退職を認めてもらうことで退職が可能です。
詳しい解説
一般的に労働者は「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」のいわゆる「労働三法」によって待遇や安全が保護されています。
ところが公務員の場合は「地方公務員法」(もしくは「国家公務員法」)に基づく法律や規定が優先され、労働三法が一部適用されません。地方公務員法を例にすると、公務員は職務上の義務として法令及び上司の命令に従う義務(同法32条)、職務に専念する義務(同法35条)が課せられています。
いくら辞めたくても業務命令には従わないといけないので、必ずしも労働者側からの一方的な通知だけで自由に退職ができるとは言えません。
自由に退職ができないとは言え、もうやる気のない職員を積極的に働かせようと思う上司はあまりいないでしょうから、退職そのものは認めてもらえると考えていいと思います。
実際私の公務員時代の上司は、退職の相談をした時とても親身になってくれました。
ただやはり時期によってはすぐには退職できないという可能性はあります。話し合いを重ねるのが無難です。
有給休暇(年次休暇)は取得・消化できる
有給休暇(年次休暇)は取得・消化できます。むしろ法令順守には一般企業より厳しい部分があるので、安心できるとも言えます。
「時季変更権」といって雇う側が有休の取得時期を調整する権利もありますが、行使するとすればどんなに人員を調整しても業務に支障がでてしまう、よほど危機的な状況ということになります。
あまり現実的ではありませんので、基本的には消化できると考えて問題ありません。
ですが、私は実際のところ有休消化はしませんでした。誰かに何かを言われたわけではなく自分の意思で取得しなかった、ということになります。
理由としては自分が在籍している限り、代わりの人員を補充してくれることはないだろうなと考えたからです。
おそらく同じような状況の職場も多いと思いますが、仕事がまわる最低人員でなんとか日々の業務をこなしているのではないでしょうか。
退職をする時点で既にいろいろな迷惑をかけているのに、1人いない状態で周りの方に頑張っていただくのは申し訳ないと思い、退職直前に使ったのはたった3日分でした。
もちろん権利なので有休を取得・消化することはなんの問題もありません。心置きなく有休を消化するためにも引継ぎについてはきちんと準備しておくのがいいですね。
上司と一切会わずに退職も可能だが、場合による
先ほど述べた通り、公務員であることで退職に制限がかかることがあります。
「辞令交付式」はその一例と言えるでしょう。
公務員が退職する時には「〇〇の職を解任する」といった辞令が交付されます。
厄介なことに、この辞令を受け取る「辞令交付式」を避けて通れないケースもあります。
式と言っても内容としてはただ辞令の紙を渡すだけなので、郵送で送ってもらえることもあります。その場合は職場の人と一切会うことなく退職できます。
ただ自治体や担当者によっては「直接の手渡し」へのこだわりが強く、過去には5分だけ職場に来てほしいと言われたり上司が自宅に手渡しに来たというケースがありました。
多少の融通が利かないことも公務員の特色の一つ。長年の体質が変わらないのは仕方がないのかもしれません。
退職金は必ずもらえる
一般企業は会社ごとの就業規則によって退職金があるかどうか、金額はいくらか等が定められています。そのため退職金がそもそもないという会社もあります。
その点地方公務員であれば各自治体の条例、国家公務員であれば国家公務員退職手当法に基づいて「退職手当」に関する規定があり、必ずもらえます。
退職手当額 = 基本額 + 調整額
基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額
勤続年数が長いほど多くもらえるようになっています。
雇用保険には新たに入る
退職後に民間企業に就職するときは、雇用保険に新たに入る必要(※1)があります。
これはなぜかというと、公務員は民間企業と違い、失業、つまり倒産やクビになる心配はまずないだろうと考えられているため「万が一失業した時のための保険」である雇用保険は最初から加入対象になっていません(※2)。
筆者も退職する時に初めて知り、混乱しました。
では公務員が退職した時には何の保障もないのか・・・というと、それも違います。
雇用保険の代わりとして整備されているのが先ほどの「退職手当」の規定です。
なのでまったくのゼロではありませんが、手厚いとまでは言えないでしょう。
(※1)新たに入ると言っても難しい手続きは不要。多くの場合で転職先に提出を求められる書類の中に「雇用保険被保険者証(原本もしくはそのコピー)」という書類があり、転職先の担当者に「前職が公務員なので持っていません」と伝えれば会社側で手続きをしてくれますので心配はいりません。
(※2)公務員の中でも雇用が不安定な非正規職員(臨時職員や非常勤職員)は失業の可能性があるため雇用保険に加入しています。そのため退職後に失業手当を受け取ることができます。
まとめ
「公務員を辞めるなんてもったいない」と言う人もいるでしょう。でもそれはその人の価値観で、自分自身の価値観とは異なります。
安定を捨ててまで辞めたいと思うようになるまでには、もちろん色々な悩みや複雑な事情があると思います。つらいことを我慢し続けて、心に傷を負ってしまっては元も子もありません。
長い目で見て、自分の納得できる決断ができるのが一番です。
ただし公務員は完全に自由な退職、というものはできません。辞めたいと思った時はまず職場の規則をよく確認して、上司の方に相談してみてください。
そもそも相談しようがない「職場の人間関係」が問題の根源だったり、相談してもあしらわれてしまった時には、退職代行EXITがあなたの退職をサポートします。
ライター:ぽったー
◎EXIT −退職代行サービス−とは?
EXIT株式会社が提供するサービスで、「辞めさせてもらえない」「会社と連絡を取りたくない」などの退職におけるさまざまな問題に合わせ、退職に関する連絡を代行してくれる。相談当日から即日対応が可能で、 会社との連絡は不要。離職票や源泉徴収票の発行確認など、退職後のフォローも行ってくれる。
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