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これって退職出来ないの?有期雇用の中途解約

これって退職出来ないの?有期雇用の中途解約

最終更新日 2023年4月25日

「まだ契約期間が終わっていないから退職は出来ないよ」
退職について上司に相談するとこのように言われる事があるかもしれません。

雇用契約書を見てみると「期間の定めあり」と書かれており、確かにまだ契約期間が終わっていません。実はこっそり進めていた転職活動がうまくいき、転職先には来月から来てほしいと言われています。

こんな時でも絶対に退職ができないのでしょうか?

結論から言うと退職が出来る場合もあります。

この記事では、有期雇用の中途解約について解説していきます。転職に限らず、退職を考えている有期雇用の皆さんはぜひご覧ください。

無期雇用と有期雇用の違い

まずは無期雇用と有期雇用の違いについて知っておきましょう。

無期雇用(期間の定めがない)

無期雇用とは雇用期間を定めていない雇用契約の事で、労働者、使用者どちらかから解約しない限り基本的に定年まで雇用が続く働き方です。

無期雇用の場合、雇用契約書の契約期間の欄に「期間の定めなし」と記載されます。
正社員の方は無期雇用である事が大半ですが、例外もありますので雇用形態には惑わされず、「期間の定めなし」という雇用契約書の記載を確認しましょう。

無期雇用の場合は、民法627条第1項により、原則2週間前に退職を申し入れることで、特別な理由がなくてもいつでも労働契約を解約できることになっています。

有期雇用(期間の定めがある)

一方、有期雇用とは「一定期間働きます」という契約を結ぶ働き方のことを指します。
この契約が結ばれている場合、雇用契約書の契約期間の欄に「期間の定めあり」と記載され、契約期間が記載されます。

有期雇用の場合は、民法628条に「やむを得ない事由がない限り、契約期間の中途で解約することはできない」と記載されています。

期間の途中で退職するという事は雇う側からすると、一定期間働くと約束したのに、その約束を破られるようなものです。
労働期間はお互いの合意の上で決められたものであり、お互いに遵守しなければいけないという趣旨から、原則として途中で退職は出来ないことになっています。

ただし、この原則にはいくつかの例外があります。
その例外に当てはまる場合は、雇用者が何と言おうと途中での退職ができます。
この例外については、下で詳しく解説していきます。

有期雇用の労働者が途中で退職できる場合

先述した通り、有期雇用の労働者であっても、定められた事由に当てはまる場合は途中で契約を解除できます。
途中で退職できる事由とは以下のようなものです。

・やむを得ない事由がある場合
・1年以上勤めた場合
・労働条件が事実と異なる場合
・使用者との合意がある場合

特に「やむを得ない事由」は表現が曖昧で、よく疑問に挙がるポイントです。
この4つの条件について、1つずつ解説していきます。

やむを得ない事由がある場合

民法628条により、期間の定めがある場合でもやむを得ない事由があれば退職が出来る事になっています。
このやむを得ない事由とは、たとえば以下のような例が挙げられます。

・怪我や病気で働けなくなった
・家族の介護が必要になった
・ハラスメント行為を受けていた

このように、労働者に働く意思があっても働けない状況職場の環境が客観的に見て悪く、労働者の権利が保障されていないという場合は有期雇用の契約期間中であっても途中で退職できます。

民法628条引用
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

1年以上勤めた場合

労基法137条により、期間の定めがある場合でも1年以上勤務していれば退職出来る事になっています。
労基法137条は民法628条の規定にかかわらない為、やむを得ない事由がなくても退職できる事になります。

労基法137条引用
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

労働条件が事実と異なる場合

労基法15条第2項により、労働条件が当初明示されたものと異なる場合は契約を即時解除できます。

当初明示された労働条件とは賃金、労働時間、労働環境といった雇用契約書等の内容になります。

「契約時は良い条件を言っていたのに話が違う」というトラブルは、労働契約では付きものです。
雇用者との話し合いや労基署への相談などでも労働条件が改善されない場合は、いつでも中途解約できることを覚えておきましょう。

労基法15条第2項引用
前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

使用者との合意がある場合

労働者、使用者いずれかからの解約の申し入れに対し、もう一方の者が承認することで労働契約を解約することを、合意解約と言います。
合意解約の場合、有期雇用の契約期間中でも退職をする事ができます。

有期雇用を中途解約する場合には退職理由をしっかり伝えましょう


有期雇用契約の場合には基本的に途中で解約する事が出来ませんが、使用者との合意がある、やむを得ない事由がある、労働条件の相違がある、1年以上勤めた等の場合には退職が可能という事を見ていきました。
有期雇用の中途解約の場合には退職理由がとても大切になってきますのできちんと退職理由を書いて提出するようにしましょう。

契約期間中でも退職の権利はあります。正しい知識を身に着けて自身の権利はしっかりと主張できるようにしておきましょう。

ライター:キタガワ

EXIT株式会社で一番最初の社員。労働組合でボランティアをしている。こちらのブラック研修の記事も要チェック

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