辞める前に知っておきたい! 退職に関するお金の話

最終更新日 2022年11月7日
ひとつの会社に長く勤めることがよしとされる価値観が変わりつつある現代。よりよいキャリアやワークライフバランスのために転職したり、起業・独立を考える人も増えてきています。
人生の大きな岐路である退職というイベントに備え、お金まわりの手続きも取りこぼすことなく準備をしておきたいですね。
この記事では、退職をする際に知っておきたいさまざまなお金について解説します。会社の規定や雇用条件によって異なりますが、確認するべき大まかな項目は下記の通りです。
- 退職金:退職をする際に会社側から支給されるお金
- 健康保険:退職後も加入は義務、切り替え手続きが必要
- 年金:退職後も加入は義務、切り替え手続きが必要
- 所得税:払いすぎにより、還付金として戻ってくる場合も
- 住民税:退職後、無職になったとしても支払わなければならないお金
- 失業保険:退職後、失業状態になった際にもらえるお金
今回は、1〜5の内容について詳しく解説していきます。
6の「失業保険」については、関連記事「残業続きなら辞めてすぐに給付が受けられる!? 失業保険の裏ワザと注意点を社労士さんに聞いてみた」で解説しているのでご覧ください。
1. 退職金について
退職金は法律で定められたものではない
会社を退職した際にもらえるお金のひとつが退職金ですが、退職金制度は会社が独自に定めるものなので、会社によってはない場合もあります。近年では、大手企業であっても退職金制度を廃止するケースが増えているようです。
退職金の種類
退職金の種類には、大きく分けると4つあります。
1.退職一時金制度
退職金制度といえばこの制度が一番ポピュラーかもしれません。会社の退職時に一括で支払う制度です。
2.中小企業退職金共済制度
独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営しており、会社にとっては管理しやすい中小企業のための退職金制度です。
3.退職年金制度
退職後に年金として退職金を支払う制度です。5年や10年など期間はさまざまですが、分割で定期的に支払われます。退職年金制度には、確定拠出年金、確定給付年金、厚生年金基金などがあります。
4.退職金前払い制度
従業員の給料やボーナスに上乗せする形で、退職する前に退職金を支払う制度です。
退職金の金額相場
会社の就業規定や業種、職種によっても差はありますが、退職金の金額相場は学歴や退職理由、勤続年数によって大きく変わってきます。
自己都合退職より会社都合退職のほうが金額は高くなります。勤続年数が1年〜5年ほどで数十万円、10年〜15年ほどで数百万円、20年を越えると1千万円前後〜が相場です。
東京都産業労働局が発表している「中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)」のモデル退職金によると、大学卒の人が自己都合で退職の場合、勤続年数1年で8万7,000円、3年で23万6,000円、5年で44万円となっています。
2.健康保険について
健康保険の加入は義務? 任意?
健康保険制度は、日本国内に住所がある人であれば必ず加入しなければならない制度であり、加入は義務となっています。退職後に健康保険の加入手続きを行わず、未加入が発覚した場合は、前回の健康保険脱退時までさかのぼって請求される仕組みとなっています。
退職後の健康保険はどうすればいいのか
退職後の健康保険については、任意継続健康保険・国民健康保険・ご家族の健康保険(被扶養者)のいずれかに加入する必要があります。
●任意継続健康保険
退職前の被保険者期間が2ヵ月以上あれば、会社勤めのときと同じ健康保険を最長2年間まで維持することができます。この制度を利用するためには、退職日翌日から20日以内に手続きを行う必要があります。この期日が過ぎてしまうと加入ができなくなってしまうので注意しましょう。
●国民健康保険
市町村の国民健康保険窓口に問い合わせをして手続きを行います。市町村が保険者となっているので、住んでいる地域によって保険料は異なります。退職日翌日から14日以内に手続きを行うことが原則ですが、万が一過ぎてしまっても手続きは可能です。
●ご家族の健康保険(被扶養者)
退職後の年収が130万円未満であり、なおかつ規定の要件を満たすことで、家族の保険に扶養として加入することができます。家族が加入している健康保険組合または全国健康保険協会に問い合わせをして手続きを行います。
3.年金について
国民年金と厚生年金の違い
年金は、日本国内に住んでいる20〜60歳までの人が必ず加入するものであり、基礎年金と呼ばれるものが国民年金です。国民年金の保険料は、国の定めにより毎年定額で決まっています。この国民年金(基礎年金)に上乗せされて保険料を支払うのが、厚生年金です。
厚生年金は、法人事業所と従業員が常時5名以上在籍する個人事業所(一部業態を除く)
は加入が必須となっており、被保険者と事業主が折半して支払います。保険料は、被保険者の収入と保険料率を掛け合わせた上で算出されます。
国民年金加入の手続き
退職後、厚生年金に加入しない人は国民年金への変更手続きが必要となります。個人で国民年金に加入する場合は、原則として退職日翌日から14日以内に、年金手帳または基礎年金番号通知書を持って市町村の窓口で手続きを行います。
また、ご家族の扶養となる場合には、厚生年金に加入している家族の勤務先を通じて手続きを行います。
4.所得税について
源泉徴収とは何か
給与や報酬、配当や利子などの支払いを行う際に、あらかじめ所得税として税金を差し引かれることを源泉徴収といいます。源泉徴収される所得税が源泉徴収税です。
一般的に、会社員や公務員であれば、給与から自動的に天引きされているものですが、職場で年末調整をしてもらえない場合は、1月末までに届く源泉徴収票をもって確定申告を行う必要があります。
年内に再就職した場合
退職後、年内に再就職した場合は、その新たな就職先が年末調整をまとめて行ってくれますので、元の勤め先から発行された源泉徴収票が必要となります。原則として会社側は、源泉徴収票を退職後1ヵ月以内に交付する義務がありますが、転職先や時期がすでに決まっているのであれば、担当者に事前確認しておくことをおすすめします。
万が一、元の勤め先から源泉徴収票を受け取るのが遅れてしまい、年末調整の手続きに間に合わなかった場合は、自身での確定申告が必要となりますので注意が必要です。
年内に再就職しなかった場合
退職後、年内に再就職しなかった場合は、自身で確定申告を行わなければなりません。確定申告の時期は毎年2月16日〜3月15日頃で、必要な書類は、確定申告書(給与所得者であればA様式)、源泉徴収票の原本、保険料などの控除証明書です。
源泉徴収された所得税は、1年間の給与を考慮した上で算出されています。そのため、年の途中で退職し、その後再就職をしなかった場合には、税を多く支払いすぎている可能性があり、確定申告をすることでその分を還付してもらえます。
5.住民税について
住民税の仕組み
住民税とは、地方税法に基づいて、市町村が道府県民税と市町村税を徴収するものです。地域行政の一般経費を賄うためのものなので、市町村によって徴収額は異なります。
住民税の額は前年1月〜12月までの1年間の所得を元に算出され、その翌年の6月から納付が始まります。そのため、退職して無職になったり、所得が下がる人にとっては、翌年の住民税が大きな負担となる場合があります。
住民税の納付方法
住民税の納付方法には、会社の給料から天引きされる特別徴収、転職先に引き継ぐ特別徴収継続、自分で納税する普通徴収があります。
退職後、すぐに次の会社に就職する場合には、特別徴収継続が可能ですので、あらかじめ担当者に確認することをおすすめします。また、退職後に無職になる、または自営業者になるという場合は普通徴収となり納付書が届きます。
普通徴収の納税方法は、6月、8月、10月、1月と分割で支払う年4期払いと、6月末に一括払いをする2通りから選ぶことができ、コンビニや金融機関の窓口、口座振替などで支払います。
6月〜12月末日の間に退職した場合は、退職月までは給与からの天引き、その後は普通徴収に切り替えての納税となります。退職前に会社で特別徴収継続の対応をしてくれたり、給与や退職金から住民税の一括払いをすることも可能なので会社に確認をしてみましょう。
1月〜5月末日に退職した場合は、5月分までの住民税を給与から一括で天引きされます。徴収される住民税が退職月の給与や退職金よりも多い場合は、普通徴収に変更してもらうことも可能です。
まとめ
このように退職する際には「もらえるお金」もありますが、「支払わなければならないお金」も多く、これらの収支バランスを見通しておかないと、思いがけないお金の苦労に見舞われることがあります。
退職後のライフプランがスムーズに進むように、事前にリサーチや準備をしておくことが大切です。
そして、お金のことについてしっかりと準備ができたら、いよいよ退職……。退職にあたって不安なのはお金のことだけではありません。「本当に会社を辞められるのか」「上司に強引に引き止められるのではないか」と不安に思う方もいらっしゃるかと思います。
お金のことや将来のことで準備ができたのであれば、あとは行動するのみ。その新しい一歩を踏みだせない理由の一つが退職なのであれば、退職代行サービス「EXIT」の利用も検討してみてください。
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EXIT株式会社が提供するサービスで、「辞めさせてもらえない」「会社と連絡を取りたくない」などの退職におけるさまざまな問題に合わせ、退職に関する連絡を代行してくれる。相談当日から即日対応が可能で、 会社との連絡は不要。離職票や源泉徴収票の発行確認など、退職後のフォローも行ってくれる。
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