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給料の未払いが発生したらどうしたらいい?回収はできる?どこで相談できるの?

給料の未払いが発生したらどうしたらいい?回収はできる?どこで相談できるの?

突然ですが、あなたは貰えるはずの給与を払ってもらえなかったという経験はありませんか?
あってはならないことですが、そんなときは極力速やかに回収したいものです。
今回は、給与の未払いが発生したらどうしたらいいか?を解説していきます。

そもそも未払いの給与は回収できるのか?

状況によって回収方法などが変わってきますが、給与は回収できます。
考えられる給与未払いのケースとしては、大きく分けて以下の2パターンが考えられます。

1.経営不振などで会社側が支払うことができないパターン

2.会社側の人間が嫌がらせや悪意をもって支払っていないというパターン

1.のパターンについては、一定の条件を満たしていれば「未払賃金立替払制度」という制度を利用し未払い給与の8割を受け取ることができます。

2.については、労働基準監督署や労働局からアプローチを行うことができます。こちらは、どちらかといえば回収に向けて動く形になります。
では、それぞれの状況について詳しく見てみましょう。

未払い給与はどうやったら回収できる?

1.経営不振などで会社側が支払うことができないパターン

「未払賃金立替払制度」は、企業の倒産や、事実上の倒産により賃金が支払われない状態で退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払いしてもらえる制度です。
この制度では、給与の全体の8割を立替払いしてもらうことができます。

この制度で立替払いをしてもらうには一定の条件を満たしている必要があります。
厚生労働省のWebサイトでは以下のように記述があります。

(1) 使用者が、
[1] 1年以上事業活動を行っていたこと
[2] 倒産したこと
大きく分けて次の2つの場合があります。
法律上の倒産
([1]破産、[2]特別清算、[3]民事再生、[4]会社更生の場合)
この場合は、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。
必要な用紙は労働基準監督署に備え付けてあります。
事実上の倒産
(中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合)
この場合は、労働基準監督署長の認定が必要ですので、労働基準監督署に認定の申請を行って下さい。
(2)労働者が、倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること

つまり、

  • 会社が1年以上事業活動を行っていること
  • 法律上の倒産、もしくは事実上の倒産状態にあり賃金を支払うことが不可能であること
  • 会社が倒産もしくはその認定を受ける日の6ヵ月前から2年の間に退職していること

が条件になります。

会社がまだ破産や民事再生など、法律上の倒産をしていないが、もう既に会社の事業活動が停止している場合は、労働基準監督署に事実上の倒産の認定を貰う必要があります。また、これは事業が停止してしまった日から6ヵ月以内に行う必要がありますので、注意が必要です。
同じ会社に勤めていたほかの労働者がこの認定を取っていた場合は申請は必要ありませんが、いずれにせよ早く行動して損をすることはありませんので速やかに行動してしまいましょう。

なお、未払賃金が2万円以内である場合や、ボーナスは対象として含まれません

労働基準監督署が相談窓口となっていますので、一度相談に行ってみるとよいでしょう。

2.会社側の人間が嫌がらせや悪意をもって支払っていないというパターン

雇用者は労働者に対して賃金を支払う義務があります。その上で意図的に支払わないのは許されないことです。では、この場合はどうしたらよいでしょうか。
そのような状況に陥っている場合、もはや会社に味方や頼れる人はいないでしょう。賃金を支払うなと命令している人に逆らうことが誰もできないという状況は火を見るよりも明らかですので、早々に然るべき機関へ相談に行きましょう。

労働基準監督署から労働基準法に違反しているとして申告
真っ先に思い浮かぶのがやはり労働基準監督署ですね。賃金未払いのため労働基準法に違反しているとして申告をすることができます。
ですが、労働基準監督署は調査や是正のために指導勧告を行うことはできますが、給与を支払うように命令をすることができません。また、そのような観点から自分一人の支払われていない給与の問題について後述の労働局による口頭助言制度やあっせんなどを紹介される可能性もありますので、労働基準監督署はあくまで会社そのものを通報してしまいたい場合に相談に行くのがよいでしょう。

労働局に行く
労働局では「口頭助言制度」に則って、申請用紙を労働局に提出し「一般的意見」として、労働局から企業に進言してくれる制度があります。
口頭助言制度で解決がしない場合は「あっせん」に移行することができます。あっせんは紛争当事者の間に専門家などが入り、双方の主張の要点を確かめ、調整を行い、話し合いを促進することにより、紛争の解決を図ります。

こちらは労働に関する専門家と相談のうえで、会社側と話し合う機会を持つことができます。話し合い、給与を支払ってもらう方向で和解ができれば無事に給与の回収ができます。

給与が支払われていない状況を証明するもの
どのような機関に相談に行く場合でも「給与が支払われていない状況を証明するもの」を持っていくとよいでしょう。
根拠になり得るのはタイムカードや業務日報など日々の就業状況を示すものと、最新の日まで記帳した通帳などです。賃金が通常通り支払われていないことを示すために持っていきましょう。
材料は多いに越したことはありませんので、就業規則や雇用契約書などもあると安心です。

また、材料を増やすという意味では内容証明郵便にて「給与を支払ってほしい」という内容の物を会社に送るという手段もあります。相手に自分の送った郵便物の内容を郵便局側が証明してくれるので、自分がすでに賃金の未払いについて会社側にきちんと意思表示をしているという証拠ができます。
運がよければ会社側もそれに則って支払ってくれる場合もありますし、結局支払ってくれなくても現在の状況を示す根拠の一つになり得るでしょう。
内容証明郵便は各郵便局により微妙にレギュレーションが異なる場合があるため、事前に郵便局側に問い合わせをしておくとスムーズです。

少しでも怪しい会社からは早めに脱出しよう

今回は給与未払いとその相談先や回収方法について解説しました。会社が倒産してしまった場合は「未払賃金立替払制度」という比較的分かりやすい方法で給与の8割を回収することができますが、会社側が悪意をもって支払わない場合、非常に長い戦いになることが予想されます。
少しでも会社が給与について怪しい動きを見せたり、悪意のある未払いが発生した場合は早めに会社に見切りをつけるのも一つの手段です。
もう関わりたくない会社から退職したい場合は、退職代行の利用も視野に入れるとよいでしょう。

ライター:つばき

23歳。前職はメディア系。試用期間のうちに合わないと感じ、新卒で入った会社を即退職。辞めたいと思っていた日々に見つけたEXITに魅力を感じ入社する。“やめる”をポジティブにするべく、ライターとして日々奮闘中。

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