めよちゃんの「今」を生き抜く処世術|【第4話】アルコールハラスメント
春は出会いの季節と言います。進学や入学をしたり、今年から新社会人という人もいるでしょう。
新たなメンバーが加わるときに、必ずと言っていいほどくり返される行事・・・そう、歓迎会が待ち構えています。
成人済の人が多く集まる一大イベントに欠かせないものと言えば、やはりお酒ではないでしょうか。
めよちゃんの職場も例に漏れず、歓迎会の真っ最中のようです。
お酒の効能
お酒には食欲増進や、リラックス効果があります。そのためコミュニケーション面においてとても重要な役割を果たします。
宴会などでお酒が進み、腹を割って話ができたという経験を持つ人は少なくないでしょう。人は、お酒によって抑制が取れることで緊張がほぐれ、普段よりも陽気で快活な性格になったり、会話が弾むようになったりするのです。
一方で、この「抑制が取れる」や「緊張がほぐれる」という効能が悪い方向に働くこともあります。
飲みニケーションという言葉をgoogleで検索してみると・・・関連キーワードとして、「嫌い」「いらない」等ネガティブなイメージの言葉が目立ちます(2019年3月現在)。
アルハラとは
厚生労働省は、アルハラを「飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為、人権侵害を指す」として、具体的には以下の5項目を挙げています。
- 飲酒の強要
上下関係・部の伝統・集団によるはやしたて・罰ゲームなどといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むことです。 - イッキ飲ませ
場を盛り上げるために、イッキ飲みや早飲み競争などをさせることです。「イッキ飲み」とは一息で飲み干すことで、早飲みも「イッキ」と同じです。 - 意図的な酔いつぶし
酔いつぶすことを意図して、飲み会を行うことで、傷害行為にもあたります。ひどいケースでは吐くための袋やバケツ、「つぶれ部屋」を用意していることもあります。 - 飲めない人への配慮を欠くこと
本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる、宴会に酒類以外の飲み物を用意しない、飲めないことをからかったり侮辱する、などです。 - 酔ったうえでの迷惑行為
酔ってからむこと、悪ふざけ、暴言・暴力、セクハラ、その他のひんしゅく行為です。
※特定非営利法人ASKの定める定義による
最悪のケースでは死亡することも
往々にしてハラスメントは被害者にとって非常に迷惑この上ないですが、アルハラに関しては「迷惑」という言葉では済まされない事態に発展することがあります。
「暴力的になる」「言動が過激になる」「パワハラやセクハラが横行する」等様々なケースが挙げられますが、中でも深刻なのは、飲酒を強要された結果急性アルコール中毒を起こして死亡するケースと言えるでしょう。
東京消防庁によると、毎年1万人以上が急性アルコール中毒により救急車で病院に運ばれています。搬送者を年代別に見てみると、男女ともに20歳代の人数が圧倒的に多く、全体の43%を占めます(平成28年のデータより算出)。
もちろん、まだお酒を飲むという経験自体が浅く、自分に合ったペースや飲酒量の限界がわからなかったという人もいるでしょう。
問題なのは、適切な飲酒をしたくてもできないケースです。場合によっては命に危険が及ぶ大変危険な行為のはずですが、特に大学生における死亡事故のニュースは後を絶ちません。
20代の若者が自発的に大量飲酒する傾向にあるとは考えにくく、大学生や社会人になったばかりの若者が新人歓迎行事などでその場の雰囲気にのまれ、あるいは通過儀礼と称して、非自発的に先輩や同僚に飲酒させられていると考えられます。イッキ飲みによる死亡者は毎年一定数発生し続けています。
嗜好品であるはずのお酒で命を落としてしまうなんて、本来あってはならないこと。
・・・とは言え上司や先輩に勧められたお酒を断るというのも勇気が要ります。
めよちゃんはどうするのでしょうか。
飲みたいけど飲めない(飲みたいとは言っていない)
酔った人の中には、社会的抑制が外れ、正常な判断ができなくなってしまう人もいます。
それでいて他人の話を聞かなかったり押しが強かったりするので、とても厄介です。
なのできっぱりと断りつつ、「飲みたいと思う自分の気持ちとは別に、どうしても飲めない事情がある」ということをアピールすることで、なるべく相手を刺激することなくその場を乗り切りましょう。
もし当時のことを詳しく知りたいと言われても「酔っていて何も覚えていない」とはぐらかすことができます。
万が一、「救急車」「急性アルコール中毒」などのワードを持ち出してもしつこく飲酒を勧めてくるような相手の場合、まともな会話ができる状態とは到底思えません。
そのときは手に負えない人の相手をするのではなく、周りに向けてより大きな声で同じ内容をくり返して、助けてもらいましょう。
立派な犯罪として成立することもある
自分はお酒にそこまで弱くないから大丈夫、と思う人もいるかもしれません。そんな人は、危険な目に遭っている人がいないか確認して、みんなが気持ちよく親交を深められる場になるように配慮ができると最高ですよね!
自分が平気だからと言って、お酒が飲めない人に対して飲酒をしつこく勧めるのはもちろん、その場のノリでイッキコールに便乗するなどの場合でも、責任を問われる立場になる可能性があります。
「強要罪」は脅迫して無理やり飲ませた場合。
「傷害罪」は最初からつぶすことを目的に飲ませた場合。
「保護責任者遺棄致死罪」は酔いつぶれた仲間に必要な保護をせずに死に至らしめた場合。
「傷害現場助勢罪」は傷害行為を扇動した場合にあてはまります。他にも、相手が酒に弱いのを知っていて無茶な飲み方をさせ、急性アルコール中毒になれば「過失傷害罪」、死亡すれば「過失致死罪」に問われることもあります。
お酒は嗜好品、好きで楽しむものです。全員が被害者にも加害者にもなることなく、素敵なひとときを過ごしてくださいね。
まとめ
残念なことに、芸能人や立場のある方が酔ってしまったことで様々な失態を犯してしまうというニュースはまだまだ無くなりません。人一倍気を遣っている人たちでさえそうなのです。
当然、お酒そのものは悪者でもなんでもありません。適量を守れば料理をよりおいしく、その場をより楽しくさせてくれる素敵な存在です。
ただ、どんなに楽しくてもお互いに最低限のマナーは必要です。お酒の席なら横柄なふるまいをしてもいい、なんてことは絶対にありません。
きっぱりと拒否の意を示しつつ、言いがかりをつけられないように「救急車」のような深刻さを伝えられるワードを使ってアルハラをかわしてしまいましょう。
理屈が通じない相手には、逃げるが勝ちが鉄則です。
もしも、アルコールやほかの要因関係なく日常的に暴言を吐く人がいる環境に身を置いているのであれば、矛先が自分に向けられる前に逃げてしまうのもありだと思います。
その環境が職場だとしたら、退職代行EXITがあなたの力になれるかもしれません。
ライター:ぽったー
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